腰椎の Modic変性絡みで酷い目に遭いました。ご存知のように、Modic変性では type 1とtype 2は T2強調画像で椎体終板が高信号になります。


この所見を腰椎圧迫骨折と診断した医師がいたのですが、私はModic変性と言ったために患者さん家族とトラブルに発展したのです。


患者さんが加入している生命保険は、骨折であれば保険金が出るようです。しかし、前医からの画像所見の推移を見ていると、明らかにModic type 1なんですね...。


しかも年齢が40歳代男性で既往歴の無い方です。受傷機転もあやふやで、はっきりしたイベントがありません。もちろん、いつの間にか骨折の可能性もゼロではない。


しかし経験上、既往歴に何も無い 40歳代男性にいつの間にか骨折が発生するとは考えにくいです。肉体労働者だけに、どう考えても Modic変性です。


それにもかかわらず、患者さん家族は強硬に骨折を主張して譲りません。あくまでも圧迫骨折であると診断書に記載しろと迫ってきます。


さすがに Modic変性を圧迫骨折と診断書に記載できません。頑として拒否したところ、家族からはクレームの嵐です。しかし、虚偽記載はできない...。なかなか辛いですね。






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