日経メディカルで興味深い記事がありました。
縫合時は滅菌手袋を使用すべき? です。


オランダの3つの救急病院で、外傷の縫合時、滅菌の手袋、ドレッシング、そしてドレープを用いる滅菌群に対して、非滅菌の手袋とドレッシングを用いる非滅菌群の非劣性を検証した多施設共同単盲検RCTです。骨、血管、腱、神経、軟骨の損傷があるような複雑な損傷は除外された他、咬傷、手術室での処置が必要な創、受診時既に感染している創、受傷後24時間以上経過している創も除外されています。あくまでも単純な創を対象に、処置後5~14日時点のフォローアップの際に創感染しているかどうかを観察しました。

 2468人を対象とし、無作為化が行われたのは1480人です。滅菌群は747人、非滅菌群は733人が割り振られ、創感染率は滅菌群で6.8%(95%信頼区間[CI]:5.1-8.8%)、非滅菌群で5.7%(95%CI:4.0-7.5%)ということでした。


結論は、滅菌手袋を使用しても有意差が無かったようです。これは、とても勇気付けられる研究ですね。大手を振って、未滅菌手袋で処置できます。



ただ、洗浄するときに異物を残す方がはるかに感染リスクを高めるはずなので、自分がどんな格好で処置するかよりも、異物を残さずに処置することに主眼をおいて縫合するよう心がけています。


薬師寺先生がおっしゃられるように、臨床医の実感としても滅菌手袋を使用するメリットは無さそうです。やはり、創内に異物を残さないことが最優先されるべきでしょう。


最近は、私もかなり外傷縫合での清潔度を下げていましたが、RCTが出ると心強いです。腱縫合などの特殊例を除けば、未滅菌手袋でいこうと思います。







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