先日、両TKA術後の患者さんから身体障害者診断書・意見書への記載を求められました。この患者さんは私の前任者の引継ぎで、今回初めてお会いしました。


ご存知のように、今では TKAやTHAをしてもほとんど身体障害者認定基準を満たしません。このため、この数年は身体障害者診断書の記載件数はゼロでした。


カルテを見ると、前任者はかなり無理矢理診断書を作成したようです...。う~ん、客観的にみてかなりビミョーな感じの記載内容です。


前任者は執刀医なので診断書を引き受けたのは分かりますが、私にはそこまでの義理は無いというのが本音です。取りあえずウソは書けないという前提で受領しました。


TKAの術後は、非該当もしくは7級がほとんどです。そこで改めて認定基準を確認すると、以下のとおりでした。


  1. 関節可動域90度以下のもの
  2. 徒手筋力テストで4に相当するもの
  3. 筋力低下で2km以上の歩行ができないもの


①の可動域は歴然としているので該当しません。一方、MMT 4というのはビミョーです。一応定義はあるものの、検者の主観が入る余地があります。


どうやら前任者もMMT 4で通しているようです。MMT 4の基準は「抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる」なので、ちょっと弱いかな? ぐらいなら嘘ではありません。


7級だけならほとんど役に立ちませんが、6級になると公共交通機関の割引を受けられるようです。患者さんがかなり鬼気迫る勢いだったのは、このことが理由でしょう。


今回の件で学んだのは、7級であれば意外と認定される可能性があるかもしれないという点です。本来なら前任者が毅然とした態度を取るべきだったのでしょうが...。





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