先日、転倒してから歩行不能になった右股関節部痛の患者さんが搬送されてきました。さっそく単純X線像を撮影すると、大腿骨頚部骨折です。



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上の画像のように、パッと見ると Garden stage 2のように見えます。少なくとも転位はさほど大きくなさそうですね。



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ところが、CTを撮像すると驚きました。ナント、Garden stage 3ではないですか! もちろん、ストレッチャー移動の際に転位した可能性は否定できません。


しかし、Garden stage 2までなら、比較的安定しているはずなのですが...。これまで、私は大腿骨近位部骨折でCT検査まで施行するのは邪道だと思っていました。


その理由は、単純X線像だけでも十分に診断できるため、CT検査まで実施するのは医療費の無駄遣いにしか思えなかったからです。


しかし、今回の症例を経験して考え方が変わりました。ちなみにこの方の術中所見は、更に衝撃的でした。


CT撮影から土日をはさんで2日しか経過していなかったにもかかわらず、大腿骨頚部まで粉砕して骨欠損ができていたのです。ほとんどカルカーが無くなっている...。


それほど脆い骨だったわけですが、初診時の単純X線像のまま手術に臨むと、術中にワタワタしてしまいそうな感じでした。これからはCT検査も入れるようにしよう...。





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