医師をやっていると、必ず遭遇するのが患者さんとのトラブルです。どれほど注意しても患者さんとのトラブルをゼロにすることは不可能です。


最近の医師は非常に勉強熱心なので、医療サイドに重大な過失がある事案はあまり見かけません。それにもかかわらず患者さんとのトラブルが発生するのは結果が悪いからです。


医療サイドに過失が一切無い ≠ 患者さんとのトラブルは発生しないが真理であることは、医師であれば誰でも分かることでしょう。結果が悪ければトラブルは発生し得るのです。


運悪く患者さんとのトラブルが発生した時にはどうすれば良いのでしょうか? 私が若い時には、何とか自分の力で解決しようとしたものです。


シビアな症例も自分で抱え込んで何とか解決の糸口を探る...。しかし、今にして思えば、あまり推奨できるモノではありません。


今の私であれば、患者さんとのトラブルに発展してしまったら、すぐさま病院マターにします。医師としてのプライドは無いのか? という声が聞こえてきそうですね(笑)。


しかし、以下の理由で、必ずすぐに病院全体の問題として対処してもらうようにしています。

  • 自分独りで抱え込むよりも精神衛生上良い
  • 病院全体で対応する方が立場が強い
  • 第三者からの助けを得られる


やはり独りで抱え込んでいると精神的に参ってしまいます。正直言って、今の私であればその気になれば自分だけで解決できる力と経験があります。しかし決してそんな事はしない。


病院マターにした方が気がラクだし、対患者さんで大きな力を持てるからです。ヒトのお金で弁護士に相談することも可能です。


さらに看護師さんも巻き込むと、患者さんとの話し合いの際に強力な援軍になります。これだけの理由があれば、やせ我慢して自分独りで抱え込むのが馬鹿らしくなりますね。


たしかに、病院マターにすると直接の上司や病院上層部に迷惑がかかります。しかし若手はそんなことを気にしてはいけません。もっと甘える所は甘えましょう。


そんなこと言っているけど、オマエはぜんぜん若手じゃないだろ? という声が聞こえてきそうですね。結論から申し上げるとおっしゃるとおりです。


しかし、私は院内の医療安全委員会の責任者です。したがって、病院マターにした問題事案は、結局自分で処理するから誰にも迷惑をかけていないのです(笑)。






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