先日、時間外で小児肘内障の患児が、美人お母さまに連れられて受診しました。病院に来るまでに痛みを訴えなくなったとのことで、診察時には自然整復されていたようです。


これまで 3回ほど肘内障を発症しているため、親御さんも慣れたものです。しかし、病院に連れてくるのは、ご家族にとってもかなりの負担になるはずです。


ご家族から、肘内障を自分たちで整復する方法を教えて欲しいと頼まれました。しかし、以下の2点のためにお断りしました。


  1. 診断が肘内障とは限らない
  2. 肘内障の整復法には何種類かあるため、一般人が習熟するのは難しい


最も懸念されるのは、①診断が肘内障とは限らない でしょう。以前、肘内障だと思って整骨院でゴリゴリされた結果、肘をパンパンに腫らしてやってきた患児が居ました。


診断は上腕骨外顆骨折だったのですが、患児にとっては生き地獄であったに違いない状況を想像するだけで胸が痛みます...。


あと、肘内障の整復法には何種類かあります。ひとつの方法でダメならもう一種類を試す柔軟さが必要です。


経験的に、何となく触った感覚で整復できる方向が分かるのですが、これを一般の人に過不足なく伝えることは不可能です。


それでは、ネットにアップされている動画はどうでしょうか? 残念ながら、現時点でも動画にロクなものはありません。


結論としては、小児肘内障では医療機関を受診してくださいね、ということになりました。整形外科医的には少々面倒くさいですが、前途ある子供の治療をできるので良しとしよう。






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