先日のTKAで、興味深い術中所見を拝見しました。脛骨を骨切りすると、脛骨骨切り面にびまん性の出血斑を認めたのです。
ターニケットをしているため、明らかに新鮮出血ではありません。色調は暗赤色で、脛骨髄腔の骨梁構造には、外観上の異常所見を認めませんでした。
この方は、かなり高度なOAですが、痛みの訴えも強かったです。あまり経験の無い所見ですが、おそらくいわゆる bone bruiseの肉眼所見ではないかと考えています。
高度OAの患者さんの関節では、ときどき軟骨下骨に脂肪抑制画像などでびまん性の高信号領域を認めることがあります。
これらの所見は、骨内に炎症が続いている bone bruiseもしくは bone marrow edemaだと言われていますが、肉眼的に見ると今回のような所見なのかもしれません。
実際に、bone bruiseもしくは bone marrow edemaを直視する機会はほとんどありません。そして、TKAはこれらの実際の所見を直視できる数少ない機会のひとつかもしれません。
もし術前にMRIを撮像する機会があって、bone bruiseもしくは bone marrow edemaを疑う所見があれば、是非術中の肉眼所見を確認して欲しいと思います。
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