2022年秋に、関節リウマチで使用する MTXの注射製薬であるメトジェクトが上市されました。こちらがメトジェクトのプレスリリースです。


それにしても、なぜ経口製剤があるのに、わざわざ注射製剤が必要なのでしょうか。普通に考えると、メリットは無さそうに思えます。


先日、関節リウマチ医と飲む機会があったので、その際にメトジェクトの意義をお伺いしてみました。メトジェクトには以下のメリットがあるようです。

  1. 消化器症状(悪心や嘔吐)が無い
  2. 血中濃度が安定する


主なメリットは①消化器症状(悪心や嘔吐)が無いことのようです。海外では、MTXは注射製剤から始まったそうで、市場シェアが半分近くある国もあります。


一方、日本では関節リウマチの承認が遅れたため、いきなり経口製剤が投入されました。相対的なメリットは経口薬の方が大きいため、今まで注射製剤は上市されなかったようです。


メトジェクトは自己注射しなければいけないこと以外にも、薬価が経口製剤の2倍するというデメリットもあります。フツーに考えたらメトジェクトは処方しなさそう...。


前述の関節リウマチ医によると、消化器症状でドロップアウトする患者さんは全体の約10%なので、この層をターゲットにしているのではないかとのことでした。


私の経験では、大柄な人以外は 8mg以下の投与量で十分に効果を発揮しており、またそれ以上では生物学的製剤を導入するため、あまりMTXの消化器症状はお目にかかりません。


鳴り物入り(?)で上市されたメトジェクトですが、日本においてはこれまでの経緯と体格の問題で、あまり流行らない気がします。







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