先日、転倒してから左股関節部痛を訴える患者さんが受診されました。大転子部に圧痛があり、明らかに身体所見からは骨折が疑われます。
既往歴には人工骨頭置換術があります。しかし、CR、CTとも、大転子部の異所性骨化以外には、明らかな異常所見は無さそうです。
インプラントがあるので、転位の無いステム周囲骨折(特に大転子部骨折)は診断が難しい症例を散見します。そこで、MRIを撮像してみました。
えっ、人工関節が入っているのにMRIを撮像するの?!という声が上がってきそうです。たしかに、人工関節がハレーションになって、周囲の情報は得られないイメージがあります。
しかし、実際には上記のような画像になります。少し分かりにくいですが、左大転子の骨折もしくは骨挫傷を確認できました。
しかも、インプラントはブラックアウトするだけで、CTのように周囲に線状のハレーションが発生することもありません。
何度かご紹介しているように、私は人工関節後の患者さんにも積極的にMRIを施行しています。人工関節後の感染疑い症例も、関節内に液体が貯留しているか一目瞭然に分かります。
人工関節、脊椎インストゥルメンテーション、骨折手術のプレート、髄内釘であっても、チタン合金であるかぎり、MRIは有用だと思います。
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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です