先日、大腿骨頭が急激に陥没してきた患者さんの人工股関節全置換術を施行しました。初診から手術まで2ヵ月足らずだったので、広義の急速破壊型股関節症(RDC)だと思います。


股関節外科医をしていると時々見かけるRDCですが、やはり手術は難しい印象を抱いています。今回の症例では、数年前に反対側の THAを施行していました。


臨床経過は今回と同様に、2ヵ月足らずで大腿骨頭が破壊されてしまいました。前回の術者は私ではありませんが、股関節のエキスパートです。


手術記録を読むと、かなり苦労した形跡が見て取れます。手術時間が2時間もかかっており、それだけでも大変な手術だったことが窺い知れます...。


前回手術では、寛骨臼内は易出血性の瘢痕組織で充満していたようです。しかも、大腿骨と周囲組織が高度に癒着しており展開に苦労したと記載されていました。


パっとみた単純X線像では、寛骨臼の変形も少なく、単に大腿骨頭の上半分だけ無い画像所見です。一見すると簡単そうに見える所見ですが、展開するとやはり地獄でした(苦笑)。


どれだけ切除せなアカンの?!と思うぐらい嫌らしい瘢痕組織で充満しており、案の定展開に苦労しました。骨質も不良で、ちょっとしたことで二次性骨折しそうな感じです。


一応、セメントカップまで準備して万全の体制で臨んだものの、ふうふう言いながらなんとか無事手術を終了したのは、前回手術と同じく 2時間後でした。


もし前回の手術記録が詳細に記載されていなければ、予想外の展開に少々パニックに陥ったかもしれません。貴重な手術記録を残してくれた前回術者には感謝の言葉しかありません。





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人工股関節全置換術