Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
オーストラリア・University of SydneyのGiovanni E. Ferreira氏らは、22種の疼痛に対する8クラスの抗うつ薬の有効性をプラセボと比較したシステマチックレビュー26件を包括的に解析。その結果、いずれの疼痛に対しても抗うつ薬の有効性を示す確実性が高いエビデンスを提供するレビューはなかったとBMJ(2023; 380: e072415)に発表した。



整形外科医が、SSRI、SNRI、TCA(三環系抗うつ薬)などの抗うつ薬を処方するケースはあまり無いと思います。しかし、抗うつ薬の主戦場は、慢性疼痛に移りつつあります。


私たちでも処方する抗うつ薬は、SNRIの一種であるデュロキセチン(サインバルタ)と、TCAのアミトリプチリン(トリプタノール)でしょう。


積極的に
抗うつ薬を第一選択で使用することはありませんが、NSAIDs、ミロガバリン、弱オピオイド鎮痛薬でダメな場合には使わざるを得ません。


これらの薬剤で効果が無いということは、かなり厳しい症例なので、サインバルタやトリプタノールが著効しなくても「患者さんの痛みが悪い」と思っていました。


ところが、今回の研究結果では、効果が無いように見えるのは「患者さんの痛みが悪い」のではなく、本当に効果が無いのかもしれないという疑念を抱きました...。





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