予定手術の手術説明は、医師として最も時間のかかる業務の一つだと思います。特に人工関節や脊椎などの緊急性の無い手術では、患者さん(と家族)との信頼関係構築に必須です。
私の場合、30分程度かけてじっくり説明しますが、手術説明が終わるとどっと疲れます(苦笑)。毎週のように手術説明を繰り返していますが、効率化できそうにありません。
その理由は、手術説明が患者さんに情報を伝える場であるとともに、患者さんおよびご家族との信頼関係を熟成する場だと考えているからです。
私は業務を効率化するのが大好きな人間です。おそらく医師としての生産性はかなり高いと自負していますが、手術説明だけは非常に効率が悪いです。
何の利益も産み出さないのに、1日の仕事の1/14もの時間を投入しています。しかし、外科系の予定手術では、信頼関係がすべてに優先されると思います。
このため、必要経費(?)と考え、患者さんの信頼を得られるまでとことん手術説明を行います。ところが最近、手術説明も効率化できることを発見しました。
その方法とは、ずばり「私に任せてください!」と言い切ることです。若い頃の私なら、絶対に言わない禁忌ワードでした。そんなこと言って結果が悪かったらどうするんだ?と。
しかし、よく考えると何か合併症が発生しても「私に任せてください!」と言ったことが不利に働くことはありません。それなら、患者さんのハートを鷲掴みにしてもいいはずです。
最近では、患者さんからお願いしますと言われると、待ったましたとばかりに「私に任せてください!」としっかり目を見て言い切っています。
これだけで患者さんとご家族は安心して退出することが目に見えて分かります。あ~良いこと言ったなと我ながらご満悦(笑)。もちろん、自信の無い手術で言ってはいけません。
管理人 お勧めの医学書
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です

人工股関節全置換術
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