最近、超高齢者のオムツ骨折を診る機会が多いです。ご存知のように、オムツ骨折の治療は難渋します。手術療法を選択しようものなら、皆が不幸になる転帰となる可能性大。


しかし、派手に折れた大腿骨骨折の単純X線像は衝撃的な所見です。これだけ大きく転位した骨折を保存療法で治療するなど正気の沙汰ではない...。


しかし、これまで超高齢者のオムツ骨折と思われる大腿骨骨幹部や遠位端骨折を10例ほど治療してきましたが、現時点では骨癒合率100%です。意外なほど骨癒合するのです。


整形外科医であれば、成人の大腿骨骨幹部骨折は手術の絶対適応だと教わってきたと思います。しかし、最近感じるのは、ADL自立レベルの人に限るのではないかと疑念です。


寝たきりに近い人では、大腿骨骨幹部骨折と言えども、小児と同様に保存療法の対象ではないかと思うのです。


そもそも論として、寝たきりの人に手術を施行するメリットは除痛効果ぐらいです。しかも自力で体位変換不可能な人であれば、体向時に注意すれば、ある程度痛みを抑えられます。


そうであれば、固定力をそれほど望めない超高齢者のオムツ骨折に対して、手術を施行するメリットはほぼ無いのではないかと思うのです。


これまでは、恐々と大腿骨骨折の保存療法を実施していました。しかし、10症例経験して骨癒合率100%の実績をエビデンスとして、自信を持って保存療法を選択しようと思います。






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