先日、鎖骨遠位端骨折の治療法について、いくつかの論文を抄読する機会がありました。自分の中では、鎖骨遠位端骨折は基本的に手術と決めています。


しかし、保存治療して偽関節になったとしても、実際にはどの程度の障害が残るのかイマイチ自信ありませんでした。何となくそれほど大きな障害ではなさそうに思えます。


まず、保存療法 vs 手術療法ですが、可動域制限は保存療法の方が残ってしまう症例が多いようでした。偽関節化を防ぐために、可動域訓練開始時期が遅いことが原因でしょう。


当然ですが、保存療法では偽関節化率が高いです。鎖骨遠位端骨折の保存療法で偽関節率が高いのは当たり前ですが、肝心の痛みはどうでしょうか?


もちろん、多少の痛みはあるようですが、劇的な痛みというわけでは無さそうです。そして特筆するべきは、可動域制限が残ったとしても「軽度」であったようです。


残念ながら、正確な数字が無かったので、どの程度の可動域制限だったのかが不明ですが、痛みも可動域制限もそれほど高度ではなかったようです。


一方、手術療法では皮膚トラブルと可動域制限(特に外転)があったようです。総合的に考えると、早期に抜釘するのであれば、やや手術療法が有利かな?ぐらいの感覚でした。


う~ん、圧倒的に手術療法の方が成績が良いことを期待していましたが、保存療法も悪くないようです。ますます悩みが深くなりそう...。






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