先日のTHAは、パッと見はカンタンそうな症例でした。
比較的若年者で、OAの程度もごく軽度です。


病期が短いために関節拘縮もほとんどありません。関節水腫による痛みが高度なため、手術に至ったという症例です。手術自体はイージーに見えるため油断しがちな症例でしょう。


しかし、股関節外科医であれば、きな臭さを感じる人が多いかもしれません。こういう症例は要注意なのです。何が要注意なのかと言うと、以下の2点でしょう。


  • 関節拘縮の無い股関節は脱臼しやすい
  • 若年者のTHAは、IPI(iliopsoas impingement)を併発しやすい


上記理由のため、寛骨臼へのカップ設置には細心の注意が必要です。私は後外側アプロ―チなので、カップの前方開角を大きめにすることで両方とも回避できます。


しかし、今回の患者さんは、反対側で前方脱臼を繰り返した既往があったのです...。私自身はその手術に関与していないので詳細は分かりかねます。


しかし、股関節CTを見る限りでは、それほど問題のあるインプラント設置角度ではありません。何が原因なのかイマイチ分からない気持ち悪さがあるのです。


正体の分からないお化けを見るような感じなので、敢えて最後の手術にしました。午前中にやってトラブったら、その日の手術スケジュールをこなせないので。


結果的には問題ない術後経過でしたが、やはり若くて病期の短い患者さんは変なプレッシャーがあります。そこそこ年配で、ほど良い拘縮のある患者さんがいいなぁ(笑)。







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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です





人工股関節全置換術