先日、かなり激しい足関節脱臼骨折(SE stage 4)の手術がありました。文字通りブランブランの関節で、下腿を持ち上げただけで距骨が後方脱臼します。
後果骨片は天蓋の1/2でした。このため、後果の再建が手術の勘所となります。定石通り、外果の整復固定を試みます。
通常、30分以内に骨接合が完了しますが、実際に展開すると外果もかなり粉砕していたため、30分オーバーになってしまいました。う~ん、雲行きが怪しい...。
次は後果の整復固定です。3果骨折で最も難しいステップですが、今回は内果骨片を末梢側に引き下げることで、骨折部から天蓋が丸見えになりました。
これまで足関節脱臼骨折のSE stage 4を数多く手術してきましたが、天蓋内部をはっきり見たのは初めてです。どうして今まで内果骨折部から天蓋を観察しなかったのだろう...。
直視下でラクラク天蓋を観察できるので、後果骨片を短鋭鈎で引き下ろして完璧な整復位を獲得できました。その状態で「直視下」にスクリューを挿入します。
天蓋の操作が直視下なので、これほど楽な手術はありません。後果、内果ともサクサクと終わって、無事ワンターニケットで手術を終了しました。
今回の手術のポイントは、内果骨片を末梢側に排除して、天蓋内部を直視下に観察することでした。この点さえクリアできれば、3果骨折も恐れるに足りずです。
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