バーベル戦略をご存知でしょうか。バーベル戦略とは、リスクが極端に異なる資産を組み合わせて運用する投資方法です。


この戦略では、中程度のリスクを避けて、低リスクと高リスクの資産をバランスよく持ちます。例えば、90%を低リスク資産に、残りの10%を高リスク資産に投資する形です。


バーベル戦略は、予測が難しい状況や予期せぬ出来事に対応するために有効とされています。例えば、2008年に起こったリーマンショック。


『ブラックスワン』の著者タレブは、85〜90%を安全な資産に投資して、10〜15%をリスクの高いオプションに投資しました。


ブラックスワン(予測不可能な大事件)が起きないと損をする可能性がありますが、もし起きた場合には大きな利益を得ることができるという考え方です。


彼は、バーベル戦略によってリーマンショックで膨大な利益を上げました。バーベル戦略は、予測できない事態が必ず起こることを前提にした投資手法です。


このように、一般的なバーベル戦略は、リーマンショックや東日本大震災などの予測不可能なテールリスク対策と考えられています。


バーベル戦略は人生のアップサイドも狙える!


バーベル戦略を投資の観点だけで考えるのは少しもったいないです。実際にタレブは、投資だけでなく、人生全般にも使える戦略であると提唱しています。


金融でのバーベル戦略は、大部分を安全な資産に投資し、残りの10〜15%をリスクの高い資産に振り分け、予測不能な「ブラックスワン」が起こった時に利益を得る方法でした。


この考え方を人生に当てはめてみると、自分の働き方にも応用できます。例えば、普段は安定した医師としての仕事をしながら、少しの時間をリスクのある副業に充てる方法です。


かく言う私も、場末病院で勤務医をしながら投資や起業を続けて、そのうちのいくつかで、それなりの成功を収めました。これも一種のバーベル戦略と言えるでしょう。


現在の日本では働き方改革により、副業やパラレルワークが推奨されていますが、医師の世界では、もともとアルバイトが公認されています。


医療だけに依存せず、他の分野にも時間を割くことで、突然の変化に備えられます。1〜2割の時間を新しい挑戦や趣味に費やすことで、リスクヘッジとなる可能性が高いのです。


投資や起業と人的資本を組み合わせたバーベル戦略


収入には、投資で得る「金融資本」と働いて得る「人的資本」の2つの方法があります。例えば、卒後10年目の医師が医療に専念していると、医療経済への依存が大きくなります。


そこで、医療以外の分野で起業したり、株式や不動産などの投資を実践することでリスクを減らせる可能性があります。


もちろん、自分の専門分野以外で起業すると成功率が著しく低いです。このため、ある程度自分の特技を生かせる医療の隣接領域での起業が望ましいと思います。


インフレに弱い医療の特性を考えると、投資ではインフレヘッジできる対象に専念するべきでしょう。具体的には海外株式(インデックス)、巨大債務企業、都市部不動産などです。


バーベル戦略では、異なる性質の資産を組み合わせてリスクを分散します。特に若い医師は、起業や投資することで、より効果的な分散が期待できると思います。





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