先日、橈骨遠位端骨折の手術がありましたが、術中に整復鉗子を使っていて知的財産権の問題を思い出しました。
その整復鉗子とは、反対側を皮膚の上から圧迫できる鉗子です。最近では橈骨遠位端骨折の内固定材料にセットで付いてくることが多いと思います。
この鉗子は、とある医師の発案で某メーカーが試作品を作成しました。自分の思っていた通りの使い勝手の良い整復鉗子が出来上がったので大喜びしたそうです。
ところが、試作品を作成したメーカーは、発案した医師に無許可でその整復鉗子の特許を取得してしまいました。発案者には何のインセンティブもありません。
いわゆる「パクリ」なのですが、医師には何の対応策もありません。そして今では他社からも類似の製品が投入されて市場に氾濫しています。パクリ製品が更なるパクリを産む状況。
確実に患者さんの利益にはなっていますが、医師のアイデアを盗用するメーカーに対してはアレな気持ちを抱かざるを得ません。
ほとんどのアイデアはたいしたモノではないので難しいところですが、本当に良さそうなら後ろ盾を確保するなどして、メーカーに対して慎重に臨む方がよいかもしれません。
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