整形外科医のブログ

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シップ処方枚数の上限 35枚は回避!

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先日、薬剤師さんと雑談していると、4月以降はシップの処方枚数が月35枚になるので注意してくださいという話題になりました。えっ、35枚っていきなり半減ですか...。


今でも月70枚の縛りに対して患者さんのクレームが多いです。これが半減となると、4月からの外来は荒れそうだな。少し憂鬱になりました。


ところが、2022年2月9日に開催された中央社会保険医療協議会中医協の総会では、最終的に 63枚で厚生労働相に答申したようです。もちろん、リフィル処方はできません。






まぁ普通に考えると、シップが保険診療で認められている状況自体がありがたいと思うべきでしょう。シップは保険診療外の国も多いそうですから。


医療財政はひっ迫しています。シップが保険診療から外されるのも時間の問題でしょう。国民皆保険制度は、私たち国民の貴重な財産。長持ちするよう大事にしなければいけません。


厚労省は、中国のサラミ戦術のように、少しずつシップ処方枚数を削っていく方針のようです。現場の反発はキツそうですが、国民皆保険制度を守るためには仕方ないでしょうね。






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毎年100人に1人が整形外科手術を受けている?!

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皆さん、JOANRの入力していますか? 私は日々自分で入力しているので、面倒くさいことこの上なしです。しかしその成果(?)が日整会広報ニュースに掲載されていました。


2020年の結果

  • 総登録件数:900509件
  • 一般整形外科手術:676601件
  • 人工関節(股、膝、肩):138126件
  • 関節鏡視下手術:76797件
  • 脊椎インストゥルメンテーション手術:8987件


私は関節外科医なので、
人工関節(股、膝、肩):138126件の結果には目新しさはありません。しかし脊椎インストゥルメンテーション手術:8987件には驚きました。


意外なほど症例数が少ない?!もちろん脊椎外科医にとっては常識的な数なのでしょう。しかし近年の脊椎外科の隆盛を傍から眺めていると、もっと症例数があると思っていました。


それにしてもトータルで1年間に100万件ちかい全麻/腰麻手術が日本で実施されていることには感慨深いものがあります。局麻手術を含めると優に100万件を超えていますね。


ざっくり言って日本の総人口の100人に1人が整形外科手術を受けていることになります。う~ん、今更ながらに整形外科医の果たす社会的役割の大きさを感じます...。







管理人 お勧めの医学書

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




75歳以上医療費2割負担で日常診療はどうなる?

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2021年6月4日の日経新聞で興味深い記事がありました。75歳以上医療費2割負担、関連法成立へ 年収200万円以上 です。


私たちの肌感覚で言うと、75歳以上の高齢者の窓口負担額が2割になると、かなりの受診抑制になるのではないか? という感覚ですが、日経の論調はそうではありません。



2割負担を導入しても支援金の軽減効果は25年度で830億円にとどまる。現役世代の負担を1人あたり年800円軽減するにすぎない。事業主との折半などもあり、本人の軽減効果は月30円程度と試算される。今後も給付と負担の議論は避けて通れない。



その理由は上記に記載されています。たしかに月30円程度の負担減では、まったくお話にならないレベルです。現役世代的には歓迎するべき法案成立でしょう。


一方、医療従事者的には受診抑制が危惧されます。そしてそれにも増して最もモヤモヤするのは「いったいどこが着地点なのか」という点です。


つまり、2割負担でも全く不足するのであれば何割負担が望ましいのかという論点です。試算では単純に現時点での削減効果しか論じられませんが、当然受診抑制がかかります。


今回のコロナ禍で判明したように、受診抑制は開業医だけではなく勤務医も痛撃されます。このため「俺には関係ない」と言い切れる人はほとんど居ないと思われます。


残念ながら、日経には着地点は明示されていません。個人的には 5割負担ぐらいになるのではないかと考えています。5割になると相当な受診抑制がかかることでしょう。


また、高額療養費制度も段階的に上限が引き上げられていくでしょうから、まさに経済的余力で命の選別が行われていく可能性が高いと考えます。


このことは、すでに米国などでは実践されており、日本の現状は実力に見合わない分不相応な状態なのかもしれません。


来るべき高齢者の窓口負担額引き上げに対して、私たちも経済的に自立する準備をすすめておく必要がありそうです。





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序盤戦の勝者は東京女子医大の理事会

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既にご存知の方も多いことでしょうが、東京女子医大で大量の医師が今年の3月に退職しました。


スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か


合計1100名程度の医師のうち、100名ほどが退職したことになります。もちろん、補充はあるのでしょうが、1割弱の医師が退職するとは異例の事態ですね。


大量退職の理由は、東京女子医大の理事会が、今まで勤務医に認めていた週1回の外勤を事実上禁止してしまったことです。

  • 「研究日」に医師の「外勤」をあてる慣例があったが、国が推進する「医師の働き方改革」に合わせて、今年3月末で廃止する

  • 東京女子医大に勤務する医師は「週39時間」の労働義務を負う

  • 「外勤」を継続する医師には「週32時間」勤務の選択肢を用意するが、給与は相応の水準とする


東京女子医大で週5日働けば従来通りの給与が維持されるが、従来通り週4日では給与を1日分削るという方針です。単純化すると、給与を20%削減するということになります。


有無を言わせず20%もの賃下げするとは、東京女子医大の理事会は強気です。ところが、私が驚いたのは、医師がたった 100名超しか退職しなかったことです。


1100名の医師の中で100名退職したとしても、労働力の減少率は 10%未満です。一方、勤務員の労働時間が週4日→5日に増えれば、25%も労働力が増加します。


もちろん、多くの医師は外勤有りを選択するのでしょうが、単純な損得計算で言うと25%>10%なので理事会側の完勝です。いやはや、やることがエグイです。


短期的な目線では理事会側の完勝ですが、もちろん理事会が無傷で済んだわけではありません。今回の短期的な利益と引き換えに「信頼」を失いました。


東京女子医大はヤバイという認識が医師の心に刻まれたはずです。人は水だけでは生きていけません。労使間の信頼関係を平気で踏みにじる所で骨をうずめる人は居ないでしょう。


だいたい経営が傾くと、まず従業員のコストカットから着手します。ここで捻出したキャッシュで経営改革を目指すのですが、東京女子医大の理事会も同様の方針のようです。



医師をはじめとする職員たちは、経営立て直しのために人件費の削減を受け入れてきた。だが、黒字経営になっても、理事会は職員に利益を還元するのではなく、大学施設の大半を建て替える計画に着手、莫大な資金を投入している。



経営の常道を踏襲しており、なかなかやるなという印象を抱きます。東洋経済も含めて非常にネガティブなイメージを持つ人が多い中での決断です。理事会のお手並み拝見ですね。


ただし、この経営改革の成果が比較的短期間で出なければ、東京女子医大という存在が無くなる可能性が高いことは論を俟ちません。






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本当に高度医療が停止している!

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緊急事態宣言が発令されましたが、街中の風景は普段と同じように思えます。飲食店が時短営業や休業しているものの、それ以外は大きな変化はなさそうです。


一方、前回の緊急事態宣言時と異なり、医療機関では状況が大きく変わったことを実感しています。この点は、一般社会との認識の落差が激しいように思えます。


まず、私が実感している最も重要なことは、近隣の基幹病院群が高度医療供給機能を停止せざるを得ない状況に追い込まれていることです。


ケアネットのコラムニストでも民間病院の非協力や医療提供体制の分断が原因と主張しているの方がいらっしゃるようですが、基幹病院医師から伝聞した現場の実感としては、

  • ICUがコロナ患者さんで満床
  • ICUが満床のため高度救命救急の受け入れ不可
  • 心臓血管外科などのECMO使用症例の手術不可
  • 職員家族のコロナ感染のためスタッフ減となり、手術を施行する能力が低下


という状況に思えます。この傾向は年始から顕著となっており、複数の医師からお伺いしたところでは、首都圏や関西圏では切実な問題となっています。


一方、私が勤務しているような場末病院にも、高度医療機関の機能低下の影響が玉突き的に発生しています。上位病院からあふれた患者さんが押し寄せて、新規入院が難しいのです。


私は緊急事態宣言には懐疑的でしたが、このような事態を目の当たりにして、少々考え方が変わりました。少なくとも現在の「全員助ける」前提では緊急事態宣言やむを得ずです。


今回のコロナ禍で、経済的被害を最小限に抑制して近隣の大国に対する抑止力を維持するためには、ある程度の命の選別を行って高度医療の提供能力を維持しながら、

  • 暖かくなる季節までがんばる
  • 社会がコロナ罹患での死亡を許容する
  • ワクチン効果でピーク人数をある程度抑制する 


という泥縄式の対応になるのではと考えています。 有効な解決策が無いため、どの政策を採るのがベストなのかは後世の歴史家のみが知る、という状況なので難しいですね...。







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