整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

6センチルールに目から鱗

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日整会誌に興味深い教育研修講演がありました。
順天堂大学准教授の馬場智規先生のインプラント周囲骨折アップデート です。


馬場先生は大腿骨ステム周囲骨折に対する 
Baba分類で有名です。下図は International Orthopaedics (SICOT) からの転載で、ステムと大腿骨との固着部分に注目した分類です。




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さて、今回の教育研修講演では、Baba分類の解説はもちろんのこと、6センチルールが紹介されていました。6センチルールとは下記のごとくです。


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日整会誌から転載


  • ステム周囲骨折では、ステムとプレートを6cm以上オーバーラップして固定(A)
  • 大腿骨遠位にTKAがある場合は、プレートとステムの間を6cm以上あける(B)



この手の骨折治療ではいつも気持ち悪さを感じていましたが、明快に6cm以上という数字を提示いただいたので、目から鱗でした。





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術後に生物学的製剤を再開する時期は?

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関節リウマチ患者さんに手術を施行する際、ガイドラインでは MTXは継続投与、生物学的製剤は 2~6週間前から休薬すると記載されています。




術前休薬に関してはその通りなのですが、生物学的製剤の再開時期はいつ頃が良いのでしょうか? じつは、このことに関してはあまり明記されている文献はありません。


その理由は定かではないですが、個々の症例で差が大きいことと、頻度は少ないものの生物学的製剤再開によって重篤な合併症を併発する症例がときどきあるためと推察します。


もし、ガイドライン等に明記してしまうと、生物学的製剤再開によって重篤な合併症を併発した場合に大変なことになります。このため皆がこの話題を避けているのかもしれません。


そうは言っても、休薬した生物学的製剤は再開しなければいけません。何となくその場の雰囲気で再開することが多いですが、私は投与再開は遅めの方が望ましいと考えています。


その理由は、生物学的製剤再開によって感染や創治癒不全などの合併症を併発してしまうとリカバリーが大変だからです。


一方、生物学的製剤投与を再開しないことによって関節リウマチが再燃しても、その時点でいくらでも対応可能です。


以前、大学のリウマチ専門の先生が同じようなことをおっしゃられているのを小耳にはさんだ時には、妙に得心したことを覚えています。


このように、関節リウマチの患者さんに手術をする際には、術後合併症が併発しないことを完全に見極めてから、生物学的製剤をおもむろに再開することが安全だと考えています。






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人工関節の金属アレルギー対策

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先日、アレルギー科で金属アレルギーの診断された人が来院しました。LST(リンパ球刺激試験)を施行されており、チタンとニッケルにアレルギーがあるようです。


ニッケルやクロムのアレルギーはよく聞きますが、チタンのアレルギーは見たことがありません。金属アレルギーは歯科領域のインプラントで議論されることが多いです。


チタンは溶出率が低いので、一般的にはアレルギーを併発することはありません。しかし、ご丁寧にも LSTが実施されているので無視できない状況です。


チタンが使用されていないインプラントを調査したのですが、やはりセメントレスでは存在しないようです。私自身、これまでチタン合金のインプラント使用経験しかありません。


一方、セメントTHAは基本的にステンレス鋼なので、チタンは使用されていません。ニッケルはクリアできないものの、セメントTHAであればチタンは回避できそうです。


セメントTHAでは長期成績が問題になります。ステムの成績はセメントレスに遜色は無い(むしろステム周囲骨折頻度は低い)ものの、カップの成績はセメントレスに劣ります。


このため、通常症例ではセメントレスを選択することになりますが、LSTまでされてチタンアレルギーを指摘されている症例では、セメントTHAを選択せざるを得ないと思います。


金属アレルギーのほとんどはまがい物ですが、ときどき本物も含まれているようです。そのような時にはインプラント選択で注意をしましょう。






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術中の神経・血管損傷は免責されるのか?

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日整会広報室ニュースの第125号に興味深い記事がありました。人工関節置換術で局所の神経や血管を損傷した場合、合併症として免責されるか? です。


伝聞による記事+著者が股関節外科医ではないので、非常に分かりにくい内容です。おそらく著者自身があまり理解せずに記載している感が満載なので、私なりに意訳してみました。


まず、関節外科医がもっとも興味を持つであろう「
神経や血管を損傷した場合、合併症として免責されるか?」に対する回答は、免責されないとなっています。


ただし、今回の医事紛争は股関節外科医的には少々考え難い状況です。なぜか、手術時に線鋸(ギグリ)で坐骨神経の一部を損傷したとあります。


線鋸(ギグリ)で坐骨神経を損傷??? 
キアリ骨盤骨切り術なら分かるのですが、THA中にいったいどのような状況で線鋸(ギグリ)を使用したのか理解できません。


もしかしたらボーンソーで坐骨神経を一部損傷した可能性もありますが、そうであれば線鋸(ギグリ)と記載するはずがないです。


一般紙で報道される医療訴訟のような、医師にとって到底理解できないトンデモ状況が、よりにもよって専門誌であるはずの日整会誌で展開されています...。


手術の状況(通常の状況なのか否か)がまったく分からないので、今回の症例をもって、術中の神経・血管損傷は合併症として免責されないとは言えないと思います。



その意味で、タイトルがキャッチーでミスリードの記事と言えます。今回の記事を読んでも免責されるか否かは分かりません。もう少し教育的な記事を掲載して欲しいと思いました。






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Girdlestone手術では筋弁を忘れずに

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人工股関節全置換術(THA)は非常に完成された治療法ですが、時として重篤な合併症を併発することがあります。代表的なものは感染でしょう。


比較的頻度は少ないものの、発生した時には治療に難渋します。TKAの術後感染より若干予後が良い印象は受けますが、楽観視できる状態ではありません。


通常は力業で感染を制御しますが、いろいろな患者さん背景のため、最終的に感染コントロールできない症例も散見します。


こうなってしまうと、人工関節をすべて抜去して、いわゆる Girdlestone手術を施行せざるを得ません。しかし、Girdlestone手術を施行すればそれで OKというわけにはいきません。


人工関節後感染の本態は骨髄炎なので、単にインプラントを抜去しただけでは骨髄炎を制御できないからです。腐骨を掻爬しても、寛骨臼~大腿骨近位部に巨大な死腔が残ります。


この死腔が存在するかぎり感染制御は難しいです。このようなケースでは股関節内にできた大きな死腔を埋める必要があります。具体的には筋弁です。


残存している筋肉を有茎で股関節内に持ってくることで、①死腔を充填 ②血行のある組織なので感染制御に資する という効果が期待できます。


股関節外科医にとって絶対に施行したくない手術ですが、どうしても感染制御できずに Girdlestone手術を施行せざるを得ない症例では、筋弁を忘れないようにしましょう。






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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




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