整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

膝関節

膝蓋下脂肪体炎の診断と治療

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先日、50歳ぐらいの方が、階段を昇る際の膝蓋骨の裏あたりの疼痛で初診されました。職業はトラック運転手なので重量物を挙上することが多いです。


この問診だけで膝蓋下脂肪体炎を強く疑うことになります。膝蓋下脂肪体炎は、スポーツや仕事による過負荷で発症しやすいです。


膝蓋下脂肪体炎の原因は、外傷や繰り返しの小外傷などと言われており、膝蓋下脂肪体の慢性炎症から線維性肥厚を生じて、いわゆる Hoffa 病となります。


身体所見としては Hoffa signが有名で、膝蓋下を押さえながら膝関節を屈曲位から伸展していくと、同部位に圧痛が出現します。


膝蓋下脂肪体炎の治療は、急性期では安静が必要ですが、慢性期では大腿四頭筋の内側広筋の筋力増強を目的とした理学療法が推奨されます。


局所安静や理学療法で効果が不十分な場合には、膝蓋下脂肪体にステロイド局注が有効であることも多いです。


一方、保存的治療で痛みが軽快しない場合には、関節鏡による脂肪体部分切除術の有用性も報告されています。


膝蓋下脂肪体炎は症状がしつこい場合が多いですが、オーバーユースであることを患者さんに説明して局所安静を促すことが第一だと考えています。





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早期膝OAでは MMEとメトホルミンに注目?!

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今月号の関節外科(Vol.40 No.7 2021)の特集は、早期変形性膝関節症の診断と治療でした。ざっくり拝読しましたが、なかなか興味深かったです。







早期変形性膝関節症の病態が分かれば、膝関節OAの予防治療が可能になります。そんな興味も相まって通読してみました。早期膝OAと画像所見の関係は下記のごとくです。


  • 早期膝OAでは半月板逸脱(MME)の発生率は44%あり、骨棘と強い相関がある
  • 早期膝OAでは 骨髄異常陰影(BML)有病率は 52%あり、膝関節痛と相関した


早期膝OAでは、半月板逸脱(MME)と骨髄異常陰影(BML)の両者と関係がありそうです。BMLは肌感覚として分かりますが、MMEは股関節外科医的には新鮮な病態でした。


おそらく
  1.  MME+骨棘形成
  2.  内側半月変性
  3.  軟骨下のマイクロフラクチャー
  4.  BML
  5.  膝関節痛誘発
という流れなのでしょう。


治療編では、装具療法と薬物療法が興味深かったです。まず装具療法ですが、outer wedgeのMMEに対する抑制効果をエコーで確認していました。


一時期、outer wedgeは効果が無いと言われて過去の遺物となっていましたが、MMEの存在や関節エコーの登場によって復活したようです。なかなか感慨深い...。


薬物療法ではメトホルミンが TKAに至る確率が低かった一方で、スタチンは経時的に単純X線像所見が悪化したそうです。両方とも予防効果がありそうですが分からないモノですね。







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登山中に腸脛靭帯炎を発症したら?

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先日、腸脛靭帯炎(ランナー膝)の患者さんを診察しました。この方は登山愛好家で、今回は下山中に腸脛靭帯炎を発症したようです。


以前から登山中に腸脛靭帯炎を発症することがあったようですが、下山中に発症すると疼痛をこらえながらの下山になるので、非常に困った状況に陥ります。


私自身も長距離サイクリングで腸脛靭帯炎で苦しんだ経験があるので、他人ごとではありません。ロキソニンを服用したりシップを貼っても発症中の症状緩和はあまり見込めません。


登山やサイクリング中に腸脛靭帯炎を発症したらどうすれば良いのでしょうか? 医学的に即効性のある治療はステロイド注射ですが、当然現地では実施不可能です。


現実的な解決法としてテーピングで対応することになります。腸脛靭帯炎ではtoe-inで疼痛が誘発されることが多いです。このため、toe-outの肢位でテーピングすることになります。


具体的には膝関節軽度屈曲位として toe-outにしてから、大腿部と下腿部のアンカーの間で腸脛靭帯に沿って伸縮テープを2~3本回旋するように巻きます。


ちなみに釈迦に説法だと思いますが、toe-outとは足趾が外側に向かう方向です。膝関節軽度屈曲位で knee-inし、足部を外側方向にする肢位でテーピングを巻くとよいでしょう。


これによって、腸脛靭帯と大腿骨外顆の間のインピンジがやや緩和されるので、帰宅までの急場をしのげる可能性が高まります。


腸脛靭帯炎の既往がある方が登山や長距離サイクリングを実施する際には、鎮痛剤やシップに加えて、テーピングテープを持参することを強く推奨します。





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膝関節前方不安定性計測時の注意点

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先日、膝関節前方不安定性の画像評価を行う機会がありました。KT-2000などを使用したのではなく、徒手的にストレスをかけたのは場末病院のご愛敬ということで...。


さて、ストレス下の膝関節側面像を撮影しますが、左右を比較するとどうしてもある程度の回旋が生じてしまいます。


このような場合には、大腿骨内外顆の中点/脛骨内外顆の中点を通過する関節面垂線を作図し、その 2線間距離を用いて前方引き出し不安定性を測定するそうです。


つまり、下のような計測は、大腿骨顆部はほぼそろっているものの、脛骨に回旋がある状態を補正していないため誤りになります。


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正確には下のような計測となります。こちらは脛骨内外顆の中点を通過する関節面垂線になっています。この2つの画像での測定結果の誤差は 5mmにも達します。


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これだけ大きな誤差だと検査を行った意味がありません。膝関節の前方不安定性を計測するときには大腿骨・脛骨顆部の回旋には注意しなければいけませんね。






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伏在神経膝蓋下肢損傷で膝外側しびれ?!

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先日、とある中堅医師が「膝関節の伏在神経膝蓋下肢損傷で、膝関節外側しびれが残っている患者さんが居る」と言っているのを小耳にはさみました。


伏在神経膝蓋下肢損傷で膝関節外側のしびれ???この言葉を聞いた私の第一印象です。周知のように伏在神経膝蓋下肢は膝関節内側を下行する知覚神経です。


解剖の本でも、伏在神経膝蓋下肢の知覚支配領域は膝関節内側になっています。この人は伏在神経膝蓋下肢の走行を内外測逆に覚えているんだな(笑)。


その場はそれで終わったのですが、後日になって髄内釘術後に膝関節外側のしびれを併発した症例について調べたところ、ナント伏在神経膝蓋下肢損傷である可能性とのことです!



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上図は伏在神経膝蓋下肢の走行を示した解剖ですが、膝蓋腱直上に伏在神経膝蓋下肢が横断しています。なるほど、コイツを損傷するので膝関節外側しびれを併発するのか...。


膝関節外科医にお伺いすると、TKAでも膝関節外側しびれは高率に併発し、髄内釘手術でもそこそこの割合で膝関節外側しびれを併発するようです。


たしかに解剖図をみると、膝関節正中切開でアプローチする手術では伏在神経膝蓋下肢損傷を必発する印象です。


実際には、膝関節外側を触ってみるとちょっとニブイかな?程度の症状なので、患者さん自身が気付かないことも多いです。


山のように TKAや髄内釘手術をしているにもかかわらず、この年になるまで膝関節外側しびれが伏在神経膝蓋下肢損傷であることを知らなかったのはかなり恥ずかしいです...。






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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






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