整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

薬物治療

漢方薬が食前服用である理由

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良薬は口に苦しと言いますが、漢方薬のマズさには特筆するべきものがあります。個人的にはあんなマズい薬を毎日服用するのは大変だなぁ...。


患者さんも同じように考えているようで、芍薬甘草湯などを処方する際に食前服用であることを伝えると「空腹時にあのマズさは勘弁してほしい」というコメントがきます(苦笑)。


このコメントを聞いて、そもそも漢方薬はなぜ食前服用なのか? という基本的な疑問が湧きました。たしか、以前に調べてブログにアップしたような気がする...。


調べてみると、下記のようなブログ記事がありました。自分で書いたのに、肝心の内容は完全に忘れています。



まず添付文書に記載されている臨床試験には食前や食間しか記載がありません。つまり、厚生労働省や製薬会社は、食前や食間の服用しか想定していないのです。


その理由なのですが、漢方の薬物動態から次のように説明されます。漢方薬の薬効成分には配糖体がついており、消化管内の唾液、消化酵素、胃酸から、薬効成分を守っています。


しかし、配糖体が薬効成分にくっついている限り、薬効成分は体内に吸収されません。そして、この配糖体は腸内細菌によって分解されます。


消化管内に漢方薬以外の食物があると、腸内細菌の分解能力が配糖体に集中されません。つまり、食前・食間など消化管内に食物の無い時間帯が、配糖体の分解に都合がよいのです。


このような理由から腸管からの漢方薬の薬効成分の吸収をよくするためには、食前・食間での服用が推奨されるのです。ざっくり言うと「漢方薬は吸収されにくい」のですね。



なるほど、漢方薬は吸収されにくいからBP製剤のように食前・食間服用なのですね。食後に服用しても副作用があるわけではなく、単に吸収されないから無駄になるだけです。


漢方薬=吸収されにくい
覚えておこう。






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seronegative RAにバイオ早期導入してしまった...

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数ヵ月前に、右手関節から手指に限局した関節炎の患者さんが来院しました。特に外傷の既往はなく、数日で発症したとのことです。腫脹が右前腕から手指にかけてあります。


当初、UAが高かったため痛風を疑ったのですが、関節炎がいっこうに軽快しません。精査のためにMRIを施行したのですが、どうやら遠位橈尺関節および腱鞘周囲炎があります。


屈筋腱・伸筋腱とも腱鞘に水腫があるため、結核やMAC感染症ではなさそうです。念のために施行した T-SPOTや MAC抗体は陰性でした。


ACPA、RFは陰性ですが、CRP/ESR、MMP-3はいずれも高値です。ACR/EULAR 2010では、4点ですが、臨床的にはRAを強く疑います。いわゆる seronegative RAでしょうか。


一応、日本リウマチ学会専門医ではあるものの、seronegative RAの診断を下すのはいつも少しプレッシャーを感じます...。本チャンのリウマチ医から見ると失笑モノでしょう。


仮に診断を seronegative RAだとした場合、治療が問題になります。seronegative RAであっても、基本的には治療のアルゴリズムは通常の RAと同じです。


そして、この方は運悪く腎機能が悪かったのです。eGFRが30 mL/min前後なので、MTXを処方することもはばかられます。


弱気に2 ㎎処方しましたが効果が無いため、早期に生物学的製剤へスイッチしました。
seronegative RA+腎機能障害のため、診断に確証を持てないまま生物学的製剤の導入です。


幸い、生物学的製剤を投与開始すると症状は劇的に完全したので、患者さんにはいたく感謝されました。結果オーライですが、今回は運が良かっただけかもしれません。


外科系医師として手術のプレッシャーは毎日のように感じていますが、内科的な治療でもプレッシャーを感じます。う~ん、私の精神構造は医師向きではないのかもしれません...







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初学者が関節リウマチの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です

関節リウマチ患者さんの術前休薬期間

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先日、母校の大学病院から関節リウマチ患者の THA症例をご紹介いただきました。すでに予定手術受入れ制限が発動されており、大学での手術が中止されたことが紹介理由です。


かなりの難症例なので、通常であれば大学病院での手術が望ましいのですが、コロナ禍で逼迫した医療情勢のため仕方ありません。


診療情報提供書をみると、関節リウマチに対しては MTX+ABT皮下注製剤でコントロールされているようです。


一応、私もリウマチ専門医ですが、術前の休薬期間どうだったっけ???と戸惑ってしまいました。たしか、MTXは継続投与、生物学的製剤は1ヵ月前ぐらいから休薬だったかな?


このような時に助けになるのは整形外科医のブログです(笑)。何と言っても当ブログは「自分の診療備忘録」として始めたので、自分の weak pointはたいてい網羅されています。


「生物学的製剤」で当ブログ内を検索とすると、すぐに下記がヒットしました。





この記事では、いかにも私が忘れていそうなことが詳細に記されていました。本当に忘れているところが笑えないのですが...。


ポイントは下記のごとくです。
  • MTX:12mg / 週以下では継続投与が望ましい。
  • 12mg / 週超では個々の症例で判断 生物学的製剤:半減期を考慮した休薬



ちなみに、ABT皮下注製剤は術前 2週間の休薬でした。診療情報提供書に記載されている推奨休薬期間とぴったり符合します。さすが、大学の先生...






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肥満は痛風発症の手強い抵抗因子

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
痛風は生活習慣の改善で予防可能だが... です。


米・Massachusetts General HospitalのNatalie McCormick氏らは、医療従事者を対象に行われているHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)に登録された男性4万例超のデータを用い、生活習慣の改善による痛風発症の初発予防の可能性を検討。

その結果、正常体重、DASH食、禁酒、利尿薬不使用の4項目の達成により痛風発症の77%が回避可能であることが示されたとJAMA Netw Open(2020; 3: e2027421)に発表した。

ただし、肥満の男性では肥満を改善しない限り、他の危険因子を修正しても痛風の予防効果は得られない可能性が示唆された。



BMI 30.0以上の肥満患者さんには、生活習慣改善だけでは痛風発症を抑えることができなかったというところがミソですね。


肥満患者さん恐るべしです。しかし生活習慣を改善し続けていると、BMIも低下するような気はします。やはり生活習慣の見直しは重要なのでしょう。


外来診療では薬物治療に偏った治療が展開されがちです。まずは基本に戻って生活習慣の重要性と、過体重は禁物だということを患者さんには説明していこうと思います。






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ケナコルトでは屈筋腱断裂に注意!

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先日、薬剤部からケナコルトの消費期限が近づいてきているので、継続購入するべきか否かと聞かれました。ケナコルトと聞いて、私は一瞬ビクッとしました。


ご存知のようにケナコルトは、極めて強力かつ長時間効果が持続するステロイド剤です。効果が著明で切れ味抜群なのですが、私は可能なかぎり使用しないようにしています。


その理由は、ステロイド剤としての作用が強すぎて屈筋腱断裂を併発する可能性があるからです。ケナコルト使用後の腱断裂は変性が強いため再建に難渋してしまいます...。


ケナコルトの悪名のために使用していないこともあり、私は屈筋腱断裂をきたした症例を経験していません。しかし、間違ってケナコルトを使用しないようにいつも注意しています。


ところが、結構平気でケナコルトを使用する人がいるので内心冷や冷やしています。一層のことケナコルト採用を止めようと思いましたが、他科医師の反対で継続購入となりました。


う~ん、自分たちの身を守るためにも、少なくとも整形外科ではケナコルト使用を禁止にしなければいけませんね...。





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