整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

腰椎

脊椎圧迫骨折後にお腹がすぐに膨れる原因は?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、外来で脊椎圧迫骨折のフォローをしている患者さんから、最近すぐにお腹が膨れてあまりご飯を食べられなくなったという訴えがありました。


この患者さんは、骨粗鬆症が高度のためにいくつかの脊椎に圧迫骨折を併発しています。見た目にも円背であり、脊椎アライメントは著明な後弯変形しています。


今回のように脊椎圧迫骨折のためにアライメントが変わってしまった患者さんには、逆流性食道炎や失禁などを併発することがあります。


円背のために腹腔容積が減少します。
腹腔容積が減少すると、腹圧が高まって逆流性食道炎を併発し、膀胱内圧が高まるために失禁を併発します。



一方、腹腔容積が減少することで胃の容積も減少するため、今回の症例のように以前と比べてお腹が膨れて食事量が落ちるということも併発します。


もちろん、食道や消化管の通過障害の存在を除外診断する必要はありますが、そのような障害が存在しない場合には、円背のために食事の摂取量が落ちたことになります。


私たちは脊柱アライメントや椎体変形そのものに目が行きがちですが、それ以外にも各種の腹部症状を併発しうることを知っておくべきでしょう。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

豚背骨のリアリティに衝撃を受けた

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、勤務先病院の代表として大学医局の集まりに出席しました。予定時間よりも少し早く着いたので、隣で実施されていた若手医師対象のハンズオンセミナーを見学しました。


このハンズオンセミナーは医局の若手医師リクルートの一環として毎年行われていますが、かなりお金をかけた豪勢なセミナーです。


毎年見学しているのですが、今年は2ヵ所で目をひかれました。それは、豚背骨を使った椎弓切除術と VRを用いた TKAです。


豚背骨は脊椎の世界では一般的なようですが、関節外科医の私にとってはかなり新鮮な光景でした。脊椎の形状が人間そっくりなのです!


近くでまじまじと見ましたが、ホントに人間そっくり...。これは若手のトレーニングには最適ですね。ただ、傍脊柱筋だけはいわゆる豚肉なので不思議な光景だと思いました。


豚の脊椎は、解剖学的サイズや機械的特性が人間と似ているため、手術トレーニング以外にもインストゥルメンテーションの評価でよく用いられるそうです。


実際に豚背骨で手術トレーニングを受けた人の感想は、皮下組織が人間と異なりかなり分厚いそうですが、それ以外は人間に近い感覚のようです。


VRは最近いろいろな所で見かけます。かなり一般的になってきましたが、視覚のみの体験なので豚背骨のリアリティにはかなり劣後する印象でした。


今回の経験から、ハンズオンセミナーも年々進化していることを実感しました。自分が若手だった頃と隔世の感があります。時代は良い方向に進んでいそうですね。





★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



骨粗鬆症性椎体圧迫骨折(OVF)の予後不良因子

このエントリーをはてなブックマークに追加


最近、骨粗鬆症性椎体圧迫骨折(OVF; Osteoporotic Vertebral Fracture)の重症化を予見できたか否かで問題になった症例がありました。









手元にある資料を精査すると関節外科の2021年5月号に特集がありました。関節なのに脊椎が載っているのは面白いですね(笑)。拝読すると、一番最初にお目当てがありました。


大阪市立大学の寺井秀富先生の報告ですが、要約すると OVFの予後不良因子はMRIでの下記2つの所見だそうです。


  • T1WI T2WIにおいて低信号領域が受傷椎体面積中50%以上を占める
  • T2WIにおいて高信号領域(髄液と同程度)を認める


T2WIの高信号領域は cleftを形成する予兆となりそうなので理解しやすいですが、T1WIでの広範囲低信号領域は初めて知りました。言われてみるとそのような傾向はありそうです。


すべての症例でMRIを撮像するわけにはいきませんが、単純X線像で強い椎体圧壊や cleftを認めた場合には MRIでの予後不良リスク検索が推奨されています。なるほどですね!






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

骨粗鬆症性椎体骨折の最新の治療動向

このエントリーをはてなブックマークに追加


Medical Tribuneに興味深い記事がありました。
骨粗鬆症性椎体骨折、新たに診療マニュアルが刊行 です。


今回のマニュアルでは、下記のような特筆するべき点が収載されています。

  1. 単純X線像は、坐位と仰臥位の側面像撮影を推奨
  2. ベッド上安静は、2週間程度までの比較的短期間にすることが望ましい
  3. 装具療法についての標準的治療法は確立されていない
  4. 安静にできない高齢者では発症後2〜3週でBKPを検討


上記①③は、2019年の日整会の段階で拝聴していましたが、ようやく全国の整形外科医に対して周知される運びとなりました。


あと個人的には、②ベッド上安静は、2週間程度までの比較的短期間にすることが望ましいということも勇気付けられます。


実際、骨粗鬆症性椎体骨折では早期離床を進めていますが、椎体圧壊が進行して遅発性神経麻痺が併発したらどうしようとビビりながら実施しているので...。


これ以外にも、椎体骨折では叩打痛や圧痛が陽性であることも多いが、必ずしも感度は高くはなく骨折高位との関連性も低いというクリニカルクエスチョンもあるようです。


非常に参考になるマニュアルだと思います。特に若手整形外科医には必須と言えるのではないでしょうか。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








バランスの円錐(cone of economy)

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、cone of economyという概念の存在を初めて知りました。人間は、足を支点とした身体のバランスの円錐を持っており、この円錐を cone of economyと言うそうです。


666 - コピー




上の図が、cone of economyの概念図です。頭部が円錐の中にあれば楽に立位姿勢を維持できますが、この円錐から逸脱すると大きな筋力を必要とします。


一般的に cone of economyが問題になるのは、胸腰移行部の圧迫骨折による脊柱後弯変形です。脊柱が後弯すると頭部は前方に移動するため、立位保持が困難となります。


このアンバランスを代償するため、股関節伸展+膝関節屈曲することで骨盤を後傾します。ご高齢の方が杖無し歩行するときのアノ姿勢です。


このような代償動作を長く続けると、腰背筋群のコンパートメント内圧が上昇して筋肉が阻血状態となります。このため、筋膜性腰痛や腰痛性間欠性跛行を併発するようです。


同じような症状を呈する腰部脊柱管狭窄症では腰部を前屈して間欠性跛行を軽減しますが、脊柱後弯変形では股関節伸展+膝関節屈曲となっているので、鑑別に注意が必要です。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。