整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外来診療の気付き

脊椎圧迫骨折後にお腹がすぐに膨れる原因は?

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先日、外来で脊椎圧迫骨折のフォローをしている患者さんから、最近すぐにお腹が膨れてあまりご飯を食べられなくなったという訴えがありました。


この患者さんは、骨粗鬆症が高度のためにいくつかの脊椎に圧迫骨折を併発しています。見た目にも円背であり、脊椎アライメントは著明な後弯変形しています。


今回のように脊椎圧迫骨折のためにアライメントが変わってしまった患者さんには、逆流性食道炎や失禁などを併発することがあります。


円背のために腹腔容積が減少します。
腹腔容積が減少すると、腹圧が高まって逆流性食道炎を併発し、膀胱内圧が高まるために失禁を併発します。



一方、腹腔容積が減少することで胃の容積も減少するため、今回の症例のように以前と比べてお腹が膨れて食事量が落ちるということも併発します。


もちろん、食道や消化管の通過障害の存在を除外診断する必要はありますが、そのような障害が存在しない場合には、円背のために食事の摂取量が落ちたことになります。


私たちは脊柱アライメントや椎体変形そのものに目が行きがちですが、それ以外にも各種の腹部症状を併発しうることを知っておくべきでしょう。







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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

体外衝撃波治療は尿路結石だけではなく整形外科でも有用

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Monthly Book Oethopaedicsの2021年 7月号は整形外科領域における体外衝撃波治療の実際でした。体外衝撃波(Extracorporeal shockwave therapy : ESWT)は尿路結石で有名です。


ところが、上腕骨外側上顆炎の治療では、ストレッチとステロイド注射以外にも、PRP療法(多血小板血漿療法)と体外衝撃波療法があることを知りました。


ESWTには深部に集束させて高エネルギーの衝撃波を作用させる集束型衝撃波治療(FSWT)と、浅い領域に圧力波を拡散させる拡散型圧力波治療(RPWT)があります。


FSWTは身体の深部にあるターゲットに対して、強い物理作用によってその部位の細胞や組織を破壊する一方で、周囲組織の細胞を活性化させて修復を促す作用があります。


一方の RPWTは、皮下の筋肉や筋膜などの浅い領域に作用して筋緊張緩和や筋膜の滑走改善を得られるため、主にスポーツ現場やリハビリテーションで使用されています。


FSWTの主な対象疾患は下記のごとくです。
  • 上腕骨外上顆炎
  • 肩石灰沈着性腱炎
  • アキレス腱付着部炎
  • 足底腱膜炎
  • 骨折の偽関節や遷延癒合


一方の RPWT主な対象疾患は下記のごとくです。
  • 上腕骨外上顆炎
  • アキレス腱付着部炎
  • 足底腱膜炎
  • 関節拘縮


両者ともオーバーラップしている疾患が多いですが、趨勢としては ESWTの方が優勢のようです。保険適応は難治性足底腱膜炎のみのようなので基本的には自由診療になります。


保険適応がほとんど無い現状では厳しいですが、これらの疾患に対して ESWTが効果があるという知識だけでも知っておく必要がありそうです。






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剥離骨折や高輝度はスラングな医学用語なのか?

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整形外科医であれば関節捻挫という傷病名の使用に対して多少の抵抗感があるのではないでしょうか。これらのゴミ箱的傷病名は診断努力を放棄している証左とみなされるからです。


一方、剥離骨折や MRIでの高輝度、低輝度といった用語はどうでしょうか?いずれも広く使用されているため違和感無く使用している人が多いと思います。


しかし、剥離骨折は最近まで正式な医学用語ではありませんでした。整形外科の医学用語は、整形外科学用語集に掲載されているものが正式名称です。


私が整形外科医になったときに購入した第4版では剥離骨折の記載はなく、裂離骨折のみでした。このため剥離骨折という用語を使用すると先輩医師から怒られたものです。


しかし、ICD10には裂離骨折ではなく剥離骨折が採用されています。ICD10はダメだなと思っていたのですが、実は整形外科学用語集でも第8版から両者併記されているそうです。


このため、剥離骨折は医学用語ではないと思っていたのは私の誤りであることが判明しました。どうやら
時代の流れに取り残されていたようです...。



一方、MRIで高輝度や低輝度という表現を使用する人が居ますが、正確には高信号や低信号(intensity)です。「輝度」という表現法は素人っぽい間違いなので注意しましょう。


CTでは density(濃度)ですが、慣用的に高信号や低信号が使用されているようです。このため、MRI、CTとも高信号や低信号という用語を使っていると問題なさそうです。


結構立場が上の人でも「輝度」という用語を使用している場面を散見します。用語が間違っていると、素人っぽくて恥ずかしいので注意が必要だと思いました。






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ベテラン医師の言うことは聞いておけ!

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先日、受け持ち患者さんの回診をしていると、何となくボーッとしていることに気付きました。居合わせた看護師さんが、検温の際に SaO2が 90%しかなかったと言っています。


ご本人に「息苦しくないですか~」と訊いても「しんどくない」とのことです。しかし、何となく普段と違った印象を受けます...。


脳梗塞があったら嫌だなと思って四肢を診ましたが、自動運動は可能です。何となくボーッとして呼吸機能がイマイチな病態は???


さしあたって胸部CTを撮像することにしましたが、何となく頭部も撮像しておいた方がよい気がしたので、ついでに撮像してみました。


すると、橋出血があるではないですか!!!ビジュアル的に衝撃的な所見だったのですが、なぜか意識障害や四肢麻痺はありません。


後から考えると、何となくボーッとしているのは意識障害の亜型なのかもしれませんが、あの状況で頭部CTを撮像しようと思ったのは我ながら奇跡に近かったです。


定石で考えると胸部CTだけのはずですが、なぜ頭部CTまで撮像したのか? その理由は何となくの胸騒ぎでした。よくベテラン看護師さんの言うことは聞いておけと言われます。


私は忠実にベテラン看護師さんの意見には従うのですが、それはかれらの経験を信頼しているからです。しかし自分の勘も彼らに相当するレベルかも? と思うようになりました。


よく考えると、すでに卒後 20年以上も臨床にどっぷり浸かっているので、自分も「大ベテラン」です(笑)。ベテラン看護師さんだけでなく、自分の胸にも訊いてみよう...。





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膝蓋下脂肪体炎の診断と治療

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先日、50歳ぐらいの方が、階段を昇る際の膝蓋骨の裏あたりの疼痛で初診されました。職業はトラック運転手なので重量物を挙上することが多いです。


この問診だけで膝蓋下脂肪体炎を強く疑うことになります。膝蓋下脂肪体炎は、スポーツや仕事による過負荷で発症しやすいです。


膝蓋下脂肪体炎の原因は、外傷や繰り返しの小外傷などと言われており、膝蓋下脂肪体の慢性炎症から線維性肥厚を生じて、いわゆる Hoffa 病となります。


身体所見としては Hoffa signが有名で、膝蓋下を押さえながら膝関節を屈曲位から伸展していくと、同部位に圧痛が出現します。


膝蓋下脂肪体炎の治療は、急性期では安静が必要ですが、慢性期では大腿四頭筋の内側広筋の筋力増強を目的とした理学療法が推奨されます。


局所安静や理学療法で効果が不十分な場合には、膝蓋下脂肪体にステロイド局注が有効であることも多いです。


一方、保存的治療で痛みが軽快しない場合には、関節鏡による脂肪体部分切除術の有用性も報告されています。


膝蓋下脂肪体炎は症状がしつこい場合が多いですが、オーバーユースであることを患者さんに説明して局所安静を促すことが第一だと考えています。





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オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






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