整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

救急

昔の後輩が驚くほど優秀な医師になっていた件

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先日、私にとって古巣の某基幹病院の救急科から転院依頼がありました。転位のほぼ無い脛骨高原骨折なので、安静入院をとって欲しいとの依頼でした。


空きベッドがあったので受け入れたのですが、到着した患者さんが持参した画像所見を見て目を疑いました。単純X線では、自信をもって骨折していると言い難い所見なのです。



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たしかに脛骨内顆の皮質が少し窪んでいます。しかし、これだけの所見で「脛骨高原骨折」と言い切るとは一体誰なんだ? と思って医師名を確認すると知った名前です。


10年ほど前まで、その基幹病院で一緒に働いていた整形外科系救急医だったのです。CTもあったのですが、冠状断しかありません。そして、CTでも骨折の所見はありません。


本来なら前額断や矢状断が欲しいところですが、殺人的な忙しさの病院なので CT再構成とか無理な状況なのは痛いほど分かります。


診察してみると、脛骨内顆に一致して主張と圧痛を認めます。確かに、これは脛骨内顆骨折だなと分かりました。しかし、私には堂々と傷病名を言って転院させる自信がありません。


CTを再施行して前額断や矢状断をみると、たしかに脛骨高原骨折(内顆骨折)でした。それにしても、恐ろしいほどハイレベルな診断能力です。


正直言って、基幹病院の救急科医師には、正確な整形外科的診断を期待していません。圧迫骨折の誤診(実際は陳旧性)など日常茶飯事です。


しかし、この整形外科系救急科医師は、私を超える診断能力を実地で証明しました。今回の症例の単純X線像と身体所見だけで、転院先に傷病名を伝える自信は、私にはありません。


整形外科医なら皆、自分が一番だと心のどこかで思っているはずです。しかし、私はこの後輩医師に(しかも半分は救急科医師に)負けたことを実感しました。


フツーだったら悔しいでしょうが、古巣の昔一緒に働いていた医師が、これほど優秀になっていることに少し誇らしくなりました。まさに地域の宝である医師なのでしょう。






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鼻骨骨折をソツなく捌く方法論

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整形外科医であれば、全身の骨折が分かって当然。
どうやら、こういう認識の人は世間に多いようです。医療従事者も例外ではありません。


救急外来にはいろいろな外傷の人が来ますが、その中でも整形外科泣かせなのは、顔面骨骨折ではないでしょうか。顔面の骨折なんて、整形外科医に分かるワケ無いですね。


特に形成外科医師の居ない病院では、顔面骨骨折は形成外科の範疇だと言っても、「けいせい ≒ せいけい」というアホな思考回路で整形外科医に回ってきます。


ホント、みんなアタマの栓が弛んでいるんじゃないのか?と思うことが度々あります。しかし場末病院では断り辛いのも事実。泥縄式に顔面骨骨折の臨床経験を積むことになります。


先日診たのは、鼻骨骨折です。鼻骨って骨なのか?という疑問が湧きます。たしかに用語としての「鼻骨」は一般的です。しかし、遠い昔に習った記憶では、軟骨だった気がします。


正書を紐解くと、鼻骨は鼻の上部分1/3です。鼻の下部分2/3は軟骨でできています。たしかに自分の鼻を触ってみると、眼鏡のパッドが乗る部分は骨っぽいです。


そして、いわゆる「鼻」を形成している部分は柔らかいですね。肋軟骨と同様に軟骨なんです。さて、鼻骨骨折で困るのは、美容面の問題以外にも鼻詰まり(鼻閉)があります。


鼻骨骨折では、左右の鼻を分けている鼻中隔という壁の骨折を合併することが多いです。鼻中隔の骨折では、鼻詰まり(鼻閉)などの症状が残る可能性が高まるのです。


鼻の曲がる斜鼻(しゃび)、つぶれて低くなる鞍鼻(あんび)、鼻中隔という壁の骨折は、頭部CTで診断可能です。


とりあえず頭部CT撮像して、怪しければ形成受診を指示するという流れが、場末病院の整形外科医が生き残る方法論だと思います。






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またまた閉鎖孔ヘルニアに遭遇...ではなかった件

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先日、突然の左股関節部痛(鼠径部痛)を主訴に 70歳台の女性が初診されました。入浴中に突然発症したそうです。痛みが強いようで車椅子に乗っています。


外傷は無いとのことで、少々気持ち悪さを感じました。さらに問診を進めると、左大腿内側から膝関節内側までの痛みとしびれもあるとのことです。


むむっ、どこかで診たことあるような...。少し考えていたのですが、数年前にコレとよく似た状況がありました。閉鎖孔ヘルニアです!



<参考> 閉鎖孔ヘルニアを見た!



もしかして閉鎖孔ヘルニアではないのか? とりあえず骨盤CTを撮像しましたが、閉鎖孔ヘルニアは無さそうです。しかし左大腿から膝関節内側の痛みとしびれが気になります。


そういう目で見ると、ますます左大腿から膝関節内側の痛みとしびれも閉鎖神経の症状に思えてきました。閉鎖孔ヘルニアは自然に嵌頓が戻るケースもあるそうです。


こりゃ、きっと閉鎖孔ヘルニアだと思い、近くの総合病院の外科に紹介しました。場末病院なので、勤務先には外科医が居ないんですね...。


どんな返事が返ってくるのかと思っていると、腰椎椎間板ヘルニアじゃないですか?というツレない返信でした...。ああ、きっとバカだと思われたんだろうな。


まぁ実際バカなので仕方無いですが、巷でそんなに閉鎖孔ヘルニアが転がっているワケありません。それにしても肌感覚として腰椎椎間板ヘルニアは無いと思うのですが...。






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アナフィラキシー対応を具体的に準備しておこう!

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今月号の日本医師会雑誌に付録でついていた医療事故の再発防止に向けた提言が興味深かったのでご紹介します。お題は注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析です。


臨床をしているとアナフィラキシーに遭遇するリスクが常にあります。このため、アナフィラキシー対応は無意識に対応できるレベルで熟知しておく必要があります。


  • 造影剤、抗菌剤、筋弛緩薬を静脈内注射する際は少なくとも5分間は観察する
  • 皮膚症状に限らず患者の容態が変化した場合は確定診断を待たずに薬剤投与中止してアドレナリン0.3㎎を準備する
  • アナフィラキシーを疑った場合は、アドレナリン0.3㎎を大腿前外側に筋肉注射する


幸いにも私の患者さんでアナフィラキシーを発症したことはありませんが、今回の提言を拝読してアナフィラキシーの緊急対応の復習ができました。


普段から救急に慣れているわけではないので、思わずルート確保を優先しそうになりそうです。もちろんルート確保は並行して行いますが、まずはアドレナリン0.3㎎筋注ですね。


ちなみにアドレナリン0.3㎎は、エピペン0.3㎎ もしくは
ボスミン 0.3ml  (ボスミン 1Aは 1mg = 1ml)です。


勤務先にある薬剤の種類と、その薬剤がどこに収納されているのかをあらかじめ確認して、万が一のアナフィラキシー発症に備えておきましょう。






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90歳以上の脳梗塞でも血管内治療をあきらめるな!

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Medical Tribuneに興味深い記事がありました。
90歳以上の脳梗塞でも血管内治療が有効 です。


血管内治療は、80歳以上の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞患者の障害軽減に対する有効性と安全性が示されているが、90歳以上では明らかでなかった。国立循環器病研究センター脳血管内科の藤田恭平氏(現・東京医科歯科大学)らは、前向き国内多施設共同研究RESCUE-Japan Registry 2のデータを用いて90歳以上の急性期脳梗塞患者に対する血管内治療と内科治療単独の効果を比較した結果をStroke(2021年3月1日オンライン版)に発表。90歳以上の脳梗塞患者でも血管内治療は安全に脳梗塞後の障害を軽減させる可能性があることを示した。




これは非常に興味深い研究だと思いました。整形外科医のオマエが、なぜ超高齢者の血管内治療に興味を抱くのか?と言われそうですが、場末病院勤務なので必須の知識と言えます。


つまり、健康な人の人工関節手術ばかりしていればOKではなく、来る者拒まずで何でも診る関係で、必然的に超高齢者の脊椎圧迫骨折の保存治療例も受け持つことになります。


たくさんの超高齢患者さんを抱えていると、年に何度かは脳梗塞を併発します。その際のひとつの指針として、今回の研究は貴重な知見だと感じました。


今までは、90歳以上の超高齢者の脳梗塞症例については、基幹病院に転院依頼するべきか否かに迷いがありました。しかし、今後は今回の研究を念頭に判断していこうと思います。





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