整形外科医であれば、全身の骨折が分かって当然。
どうやら、こういう認識の人は世間に多いようです。医療従事者も例外ではありません。
救急外来にはいろいろな外傷の人が来ますが、その中でも整形外科泣かせなのは、顔面骨骨折ではないでしょうか。顔面の骨折なんて、整形外科医に分かるワケ無いですね。
特に形成外科医師の居ない病院では、顔面骨骨折は形成外科の範疇だと言っても、「けいせい ≒ せいけい」というアホな思考回路で整形外科医に回ってきます。
ホント、みんなアタマの栓が弛んでいるんじゃないのか?と思うことが度々あります。しかし場末病院では断り辛いのも事実。泥縄式に顔面骨骨折の臨床経験を積むことになります。
先日診たのは、鼻骨骨折です。鼻骨って骨なのか?という疑問が湧きます。たしかに用語としての「鼻骨」は一般的です。しかし、遠い昔に習った記憶では、軟骨だった気がします。
正書を紐解くと、鼻骨は鼻の上部分1/3です。鼻の下部分2/3は軟骨でできています。たしかに自分の鼻を触ってみると、眼鏡のパッドが乗る部分は骨っぽいです。
鼻骨骨折では、左右の鼻を分けている鼻中隔という壁の骨折を合併することが多いです。鼻中隔の骨折では、鼻詰まり(鼻閉)などの症状が残る可能性が高まるのです。
鼻の曲がる斜鼻(しゃび)、つぶれて低くなる鞍鼻(あんび)、鼻中隔という壁の骨折は、頭部CTで診断可能です。
とりあえず頭部CT撮像して、怪しければ形成受診を指示するという流れが、場末病院の整形外科医が生き残る方法論だと思います。
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です