整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

救急

急性血管閉塞にはマイルドなタイプも!

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先日の外来で、70歳台の方が左下肢痛・しびれで初診されました。なんでも自動車を運転していた際に、突然左下肢に疼痛としびれが発症したとのことです。


一応、独歩で入室してきたのですが、問診票の「1時間前から」という記載にくぎ付けになりました。このような突然の発症はロクなことがありません。


整形外科医として、まず考えることは下肢痛・しびれが血管性か否かということです。今回の患者さんは下肢といっても臀部からの疼痛・しびれでした。


それなら腰椎由来の可能性が高いと思うところですが、ソックスを脱いでもらって両足を比較すると、明らかな左足が蒼白です。足背動脈も左側は触知できません。


コレはまずいなということで循環器内科に紹介すると、すぐに造影CTが施行されて左大腿動脈の急性血管閉塞という診断がつきました。


以前にも急性大腿動脈閉塞を経験しましたが、その症例は七転八倒の疼痛で尋常じゃない病態であることが一目瞭然でした。しかし、今回は曲がりなりにも歩行可能でした...


緊急で血栓除去術を行うとのことですぐに転院されましたが、ちんたらやっていたら危なかったのでゾッとしました。


「急性血管閉塞=七転八倒の症例ばかりではない」という経験を積ませていただきました。やっぱり臨床はコワいですね。







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閉鎖孔ヘルニアを見た!

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先日、突然の左股関節部痛を主訴に80歳台の高齢女性が初診されました。そこそこの認知症があるため転倒の既往の有無は不明です。


この時点で、整形外科医ならほぼ大腿骨近位部骨折を疑うことでしょう。臨床的にはその判断で9割以上間違いではありません。


しかし、今回の症例では単純X線像では明らかな骨折をみとめませんでした。フフッ、それなら関節内血腫の確認だ! と CTを施行しましたが、どうやら血種が無いようです。



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この所見ではMRIを撮像しても大腿骨近位部骨折の可能性は低そうだな・・・と判断しました。しかし、認知症がある割には尋常ではない痛がりようです。


気持ち悪かったので、とりあえず入院してもらうことにしました。入院時検査では血液生化学検査も正常範囲内です。


まぁ、しばらく様子をみようと思っていると、同僚の整形外科医から「ヘルニアがある!」と指摘を受けました。


ヘルニア??? よ~く見ると、CTの恥坐骨の間の閉鎖孔よりやや表層に、エアを伴った楕円状の腸管影を認めるではありませんか!!!


外科医にコンサルトすると、たしかにコレは閉鎖孔ヘルニアとのことでした。骨盤CTを撮像すると、骨条件より分かりにくいですが閉鎖孔ヘルニアでした。



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鼠経ヘルニアは比較的よくみかけますが、閉鎖孔ヘルニアは初めてです。どおりで痛いはずです。認知症の方が、安静時にまでメチャメチャ痛がるのは尋常ではありません。


よく、こんなモノをみつけたなと、同僚医師に関心しました。ちなみにCPKは正常範囲内でした。発症間もないので動きがなかったのでしょう。


明朝まで放置していたら、腸管壊死に至っていた可能性が高いです。それにしても思わぬところに落とし穴があるものです。






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アナフィラキシーの初期対応

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日本医師会から送られてきた資料の中に、注射剤によるアナフィラキシーにかかる死亡事例の分析 という小冊子がありました。以下要約します。




【アナフィラキシーの認識】
アナフィラキシーはあらゆる薬剤で発症の可能性があり、複数回、安全に使用できた薬剤でも発症し得ることを認識する。


【薬剤使用時の観察】
造影剤、抗菌薬、筋弛緩薬等のアナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を静脈内注射で使用する際は、少なくとも薬剤投与開始時より5分間は注意深く患者を観察する。


【症状の把握とアドレナリンの準備】
薬剤投与後に皮膚症状に限らず患者の容態が変化した場合は、確定診断を待たずにアナフィラキシーを疑い、直ちに薬剤投与を中止し、アドレナリン 0.3 mg(成人)を準備する。


【アドレナリンの筋肉内注射】
アナフィラキシーを疑った場合は、ためらわずにアドレナリン標準量 0.3 mg(成人)を大腿前外側部に筋肉内注射する。


【アドレナリンの配備、指示・連絡体制】
アナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を使用する場所には、アドレナリンを配備し、速やかに筋肉内注射できるように指示・連絡体制を整備する。


【アレルギー情報の把握・共有】
薬剤アレルギー情報を把握し、その情報を多職種間で共有できるようなシステムの構築・運用に努める。




アナフィラキシーショックに遭遇する可能性は誰でもあるため、上記の6つの提言はしっかり覚えておく必要があります。


最後に、小冊子に記載されていたアナフィラキシーショックの初期対応が記載された図を転載しました。普段から体が自然に動くように理解しておきたいものです。




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医療事故の再発防止に向けた提言 第3号 より転載






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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








医療者としてのテロへの対応法 その2

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先日の東京医科歯科大学 救急災害医学分野の大友康裕教授による、テロへの対応 ― 爆傷外傷を中心に のつづきです。




爆傷患者受け入れ上の注意点

近隣で爆弾テロが発生し、多くの爆傷外傷患者を収容することになった場合、受け入れ医療 機関として認識しておくべき点は下記のごとくです。


1. 現場トリアージは正しく判定できない

2. 現場の危険性を考慮して、搬送受け入れは即決回答する

意図的なテロの場合、ほとんどの事例で第2、第3の爆弾が仕掛けられています。現場は非常に危険な状況となっており、現場への滞在時間の延長は2次被害のリスクを増大させます。


3. 放射線検知を忘れない

爆弾に放射性物質を混ぜ込んだDirty Bomb の可能性を常に念頭に置いておきましょう。爆弾テロ現場からの患者を診療する前に、かぶった粉塵の放射線検知を実施します。


放射性物質の有無にかかわらず、粉塵の吸入自体にも長期的な呼吸器障害が報告されているので、爆傷患者を診察する際にはN95マスク を装着しましょう。


4. 初めに受診する軽症例に忙殺されない

海外の報告では、爆弾テロ発生後に近くの救急医療機関を最初に受診する患者は、自力移動可能な軽症者で、それは発災10~15分後と非常に早いです。


気が付いたら救急外来に大量の軽症患者が待っている状況となります。軽症患者の診療に忙殺されていると、その後に重症例が搬送されてきます。


初期の軽症例に医療資源をすべて費やすことなく、その後来るであろう重症患者の受け入れ体制を整えておく必要があります。


5. 病院のセキュリティを確保する

医療機関はテロのターゲットとなります。このため「病院が狙われる」ということを念頭に置 いておくことが必要であります。





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医療者としてのテロへの対応法

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日医雑誌 第146巻・第11号 2262-2266に興味深い記事がありました。東京医科歯科大学 救急災害医学分野の大友康裕教授による、テロへの対応 ― 爆傷外傷を中心に です。


テロに用いられる手段を示す用語は、 CBRNE(シーバーン)と呼ばれています。CBRNE とは、化学剤・生物剤・放射性物質・核物質・爆発物を総称したものです。


これらをCBRNE テロと称し、爆弾テロが多いです。東京オリンピックが開催される日本はテロの対象になりやすいですが、日本に爆傷患者診療経験のある医師はほとんどいません。


爆傷の病態生理ですが、爆発物によって人体に生じる損傷のメカニズムは、1次爆傷から4次爆傷の4つに整理されます。



1次爆傷

衝撃波(爆発圧)によって生じる損傷です。肺や消化管などの内部にair-fluidをもつ臓器に発生し、急激な圧力上昇による空気と水の圧縮比の違いによって組織が損傷されます。




2次爆傷

飛散物による穿通性外傷です。 爆弾による損傷の大半が、このタイプによるものです。釘などを混ぜ込んで殺傷力を高めた爆弾では、さらに被害者の数と損傷の程度が増大します。


3次爆傷

爆風によって飛ばされて地面や壁 などにたたき付けられる鈍的外傷で、その際に鋭利な物に刺されば鋭的外傷も生じます。高所墜落によって生じる損傷と類似します。


4次爆傷

爆風の成分(熱・中毒物質・放射性物質など)による損傷です。爆発の中心からの距離を見ると、熱による4次爆傷の発生する範囲が最も狭く、飛散物による損傷が最も広範囲です。





次に、爆傷で生じうる代表的な損傷をご紹介します。ここでは代表的な傷害ですが、あらゆる臓器に外傷が生じ得ます。


爆傷肺(blast lung)


1次爆傷(衝撃波)によって生じます。「即死でない受傷者の死因のトップ」であり、見逃しは時に致死的となるため、見逃しや不適切な初期対応を回避することが重要です。


受傷初期には無呼吸・徐脈・低血圧の3徴を呈します。臨床徴候として、呼吸困難・喀血・咳・胸痛・低酸素血症があり、胸部の直接打撲によらずに生じます。


無症状でも必ず胸部単純X線を撮影しましょう。典型像は butterfly shadowですが、肺挫傷・気胸・血胸・気縦隔・皮下気腫・肺水腫など、あらゆるタイプの所見を生じ得ます。


治療上重要なのは「不用意な気管挿管下での 陽圧換気」です。これにより緊張性気胸や空 気塞栓を発生させることになります。



消化管損傷

1次爆傷衝撃波)によって生じるが、2次「飛散物」や3次「たたき付けられ」 でも生じ得ます。閉鎖空間、水中での爆発では消化管損傷合併の頻度が上昇します。


当初無症状でも遅発性に出現することがあるため、腹部外傷が疑わしい症例では受傷後48時間程度まで繰り返して評価する必要があります。


臨床症状は消化管穿孔に伴う腹膜刺激症状ですが、意識障害や他部位 損傷を伴う場合には、症状がマスクされるので注意が必要です。


鼓膜損傷

1次爆傷
衝撃波)によって生じます。症状は耳鳴り、耳痛、聴覚障害, 眩暈です。生命にかかわる損傷の評価と治療を優先し、 その後必ず聴覚と鼓膜の評価を耳鏡を用いて行う。


四肢損傷

爆傷による損傷の中で筋骨格系 の頻度は最も高いです。轢断および不全轢断では大量出血により死に至る危険がある。四肢損傷全体では、飛散物による2次損傷が最も多いです。


自爆した犯人や周囲の人間の組織(骨など)が異物/汚染を来す可能性があります。たとえ小さい創であっても、きちんとデブリードマンと洗浄を行いましょう。


四肢損傷の大量出血による死亡は 「防ぎえた死」の代表格です。米国では、
AED の隣にターニケットが備え付けられ、一般市民によるターニケット使用が推奨されています。


眼球損傷

1次爆傷
衝撃波)による眼球破裂もしくは眼球の構造物の一部破綻と、2次爆傷(飛散物)による眼球の穿通性外傷が生じ得ます。


特に飛散物による眼球異物は、生存者の最大10%程度に上ります。すべての目の損傷は眼球破裂の可能性を考えて対応します。


眼球腫脹がある場合、無理に眼瞼を開けてはいけません。無理に開眼すると眼球破裂が悪化するためです。眼球損傷を疑った場合は、必ず眼科診察を実施しましょう。







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