整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手技

まぐれ?遠隔診療で急性腎盂腎炎の診断がついた!

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先日、私的なオンライン診療を行いました。
朝から腰が痛くなって動けなくなったとのことで、知り合いから LINEが来たのです。


遠くに住んでいる人なので、直接診ることはできません。しかし、メッセのやりとりをしていると、安静時痛があるため通常の急性腰痛症では無いような印象を受けました。


そこで、LINEのビデオ通話機能を利用して疑似診察してみました。知り合いのお子さんにスマホでご本人の腰部を撮影してもらいながら指示を出します。


まず、腸骨稜の位置を確認してもらい、その部分から真下(床方向)に降ろした垂線上の中央で腰椎棘突起を触知してもらいます。


整形外科医相手であれば「L4棘突起を触知して」で済みますが、素人の子供相手では説明に少々コツが要ります。腰椎棘突起を順番に触知してもらいましたが、圧痛は無いようです。


次に腸骨稜から10㎝ほど中枢側部分の腰部を左右とも叩打してもらいました。子供さんは恐る恐る軽く叩くだけなので、「もっと気合を入れて叩いて!」と喝を入れました(笑)。


左側は問題なかったのですが、右側で叩打痛があります。尿路結石っぽい感じですね。体温を測ってもらうと37度台後半あります。急性腎盂腎炎を併発していそうです。


すぐに病院
受診するように促しました。ここまでで約 5分ほどの時間です。病院を受診した結果は尿路結石に伴う急性腎盂腎炎で、そのまま入院治療となりました。


今回の経験から、意外とその辺に転がっているツールを利用することで、遠隔診療(?)が成り立つことが分かりました。体系化すれば面白い展開になりそうな気がします。






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新型コロナウイルス感染症のワクチン接種

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先日、私も新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種しました。三角筋に打つと肩が結構痛くて腕があがりにくくなるとのことなので、中殿筋に接種しました。


新型コロナウイルス感染症のワクチンごときで、日々の日課(筋トレ)を中断するわけにはいかないのです(笑)。


さて、今回は筋注なのですが、多くの注射は皮下注です。病棟の看護師さんに訊いても、ソセゴンやフェノバールぐらいしか筋注の経験は無いそうです。


ちょうど、日本医師会が筋肉注射の手技を解説していたので、備忘録として記載します。

  • 注射部位は三角筋の肩峰より2~3横指下中央
  • 三角筋をつままず、広げて皮下組織を固定する
  • 注射針は皮膚に直角に刺入
  • 刺入の深さは13~2mm
  • シリンジ陰圧確認は行わない
  • 抜針後は揉まない


体型によって刺入深度が変わるところがポイントだと思いました。私たち整形外科医は、関節注射や腱鞘内注射の際に、日常的に針先で組織を感じながら刺入します。


このため、筋膜を貫く感覚は分かるのですが、大量に接種する場合はイチイチ筋膜を貫く感覚を確認しながら刺入しないかもしれません。


刺入深度が深くて骨に当たっても問題ないですが、
三角筋に関しては整形外科医的には肩峰下滑液包内に誤注入することを危惧します。その意味でも中殿筋がベターだと思いました。


ちなみに中殿筋への接種では、クラークの点(上前腸骨棘と下前上後腸骨棘を結んだ線の前方1/3)が摂取部位の目安となります。






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本人がアキレス腱断裂に気付いていない症例をみた!

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先日、70歳台の方が左下肢の歩きにくさを主訴に初診されました。1カ月前に、溝に足をつっこんでから、疼痛が無いのに歩きにくいとのことです。


左足関節と足部を診察すると、わずかに腫脹が残存していますが叩打痛はありません。単純X線像でも明らかな骨折を認めませんでした。


しかし、実際に診察室内で歩いてもらうと、たしかに跛行があるようです。一体何なのでしょう? 左足関節と足趾を動かしてもらうと、ぎこちないですが自動運動できます。


よく診察すると最も腫脹が残存しているのは、足関節よりやや中枢側でした。もしかするとアキレス腱断裂?と思ってアキレス腱を触知すると、何となくそれっぽいモノがあります。


腹臥位になってもらい、Thompson testを実施すると陽性でした! この状態でアキレス腱のレリーフを触知しましたが、やはりなんとなくそれっぽいモノがあります...。


なるほど、この方は1ヵ月前にアキレス腱断裂を受傷したものの、そうとは知らずに放置していたため、陳旧性アキレス腱断裂の状態になったようです。


若年者ならアキレス腱が断裂していることに気付かない症例は稀でしょうが、高齢者や受傷機転しだいでは、アキレス腱が断裂したことに気付かない症例があることを学びました。






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リハビリテーション科への紹介状作成方法

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日整会広報室ニュース第124号で興味深い記事がありました。東京女子医科大学名誉教授の伊藤達雄先生による「紹介状は書いた医師のレベルが知れる」です。


若手医師の紹介状の内容に対して
苦言を呈しておられ、伊藤先生が推奨している診療情報提供書の記載内容が列記されていました。


患者紹介状は受け取る医師が何科であろうと斟酌せず、

  1. 患者の人柄、職業、家族
  2. 病歴のポイント、当科の診断・検査所見および治療
  3. 入院時と退院時の身体所見の比較、手術所見など
  4. 現在の問題点と今後の治療方針、ゴール設定、患者の希望など


について簡潔・明瞭に記す。重要な画像、検査のコピーを添える。そして自科のみで通じる外国語の略語は絶対に使わない



、とおっしゃられています。①~④すべてを完璧に記載するのは、多忙な臨床では厳しい印象を受けますが、基本的な姿勢としては見習うべき点があると思いました。


おそらく①④に関しては、リハビリテーション科医師の立場から記載された内容と推察しますが、特に②③に関しては簡潔に記載して後医への情報伝達をしたいものです。







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石鹸使用の創洗浄は有害だった?!

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Medical Tribuneに興味深い記事がありました。
創洗浄はタラタラ洗えばよい。石鹸を使うと再手術率が増える! です。


日常診療で外傷をどのように洗ったらよいのか、その解答(FLOW試験)がNew Engl J Med(2015; 373: 2629-2641)に掲載されています。

  • 洗浄の水圧(高、中、低)と再手術率の間に相関はない!
  • 石鹸で洗うと生食で洗うより再手術率が高くなる! 

つまり、「創はふつうに生理食塩水(生食)でタラタラ洗えばよい、開放創1㎝以下なら生食3L、1cm超えていれば6Lで洗浄です。石鹸の使用はやめておきましょう」 ということです。




これは驚きの論文です。今までの常識が覆されました。挫滅創の患者さんが救急搬送されたら、勢いよく水道水で洗浄して、汚染度合いが強いと石鹸を使用することもありました。


正直言って、石鹸を使用した過去の症例の成績が悪い印象はありません。しかし、RCTの結果だけに無視するわけにはいきません。


これからはできるだけ、勢いは付けずに、かつ石鹸は使用せずに創部をしようと思います。しかし、工場内事故などの油成分の多い症例は本当に石鹸無しでいいのかな???


ちなみに、本日手指挫傷の患者さんが受診したのですが、おもわず石鹸での手洗いを指示してしまいました...。一度身についた習慣はなかなか修正できないものです。






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