整形外科医のブログ

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外傷

外傷性半月損傷のMRI所見

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交通事故などで膝関節の疼痛が持続する患者さんに MRIを施行することは多いと思います。その際に、中高年層では高率に半月損傷が認められます。


このような場合、患者さんは事故による半月損傷と思いがちですが実際はそうではないことが多いです。感覚的には変性断裂なのですが、MRIで特徴的な所見はあるのでしょうか。


関節のMRIを紐解くと、半月損傷は下記のごとく分類されます。
  1.  水平断裂
  2.  縦断裂


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①水平断裂は変形性膝関節症に伴う例が多く、内側半月後節に好発します。この形態の半月損傷は変性断裂が多いため、事故とは無関係であると推測されます。


一方、②縦断裂は外傷性の場合が多いです。このため、MRIで縦断裂を認めた場合には、手術適応になることが多いと思います。






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シャント側の伸筋腱皮下断裂

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先日、90歳の血液透析患者さんが、右手の環指と小指の伸展障害で初診しました。診察すると、麻痺ではなく伸筋腱の皮下断裂のようです。


エコーで確認すると、中手骨頚部あたりで皮下断裂していました。右手は利き手とのことで、環指と小指が自動伸展できないのでお箸を使いづらいとのことでした。


一応、関節リウマチの除外診断は行ったうえで、さて治療をどうしよう...となりました。認知症はほとんどなさそうです。


伸筋腱断裂の部位から考えると移行術は難しそうで、手術を施行するなら腱移植術になります。腱移植といっても伸筋腱なのでさほど難易度は高くありません。


しかし、最終的には右側がシャント側であるということが決め手となり手術は施行しないことにしました。こちらでアップしたように、血液透析シャント側の手術は避けるべきです。


この患者さんに関しては、年齢やADLなどで保存治療が望ましいと思われる条件がありますが、決定的だったのはシャント側だったからです。


シャント側の上肢手術は何を併発するか分かりません。腱鞘切開術であってもミゼラブルな事態に発展する可能性もあるのです。個人的にはシャント側手術は地雷だと思っています。






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頚動脈損傷は天井を見れば分かる?!

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先日、救急室から直電がありました。
自傷行為で頚部を包丁で切った!患者さんがいるのでヘルプとのことでした。


とんでもないことするな...と思って救急室に急行したのですが、まず救急室の天井を見上げました。しかし、天井には血液は付着していません。


以前、頚椎前方除圧固定術の際に、動脈を損傷して出血が止まらなくなったことがあります。泉のように血が湧き出てくるので、ヤバいと思って耳鼻科に応援依頼しました。


すぐに耳鼻科部長が応援に駆けつけてくれたのですが、手術室に入るなり天井を見上げて「大丈夫だな
」とおっしゃいました。



頚動脈本体を損傷した場合には、動脈圧が高いので天井まで血が吹き上がるのですが、天井は無傷(?)だったので、頚動脈損傷ではないという判断だったそうです。


その時はナルホドーという余裕も無かったのですが、後から思い返して得心したしだいです。今度は立場が逆になって、
その時の経験が今回の私の行動になりました。



派手にバックリと開いた傷でしたが、幸いにも小動脈の枝だったようで何とか止血して事なきを得ました。とりあえず、自傷行為で首を切るのは止めてもらいたいと切に思いました。







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腱板疎部損傷って何だ?

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腱板疎部ってご存知でしょうか?
名前はよく聞きますが、実際に腱板疎部損傷の患者さんを診たことはありませんでした。


30歳台で社会人野球をしている方が右肩関節周囲炎で受診されました。そりゃー、あなた四十肩でしょうと思いましたが、投球肩の可能性もあるので MRIを撮像しました。



666 - コピー (2)




すると、腱板疎部に一致して高信号領域を認めます。ムム、これはわが生涯初めての腱板疎部損傷の患者さんではないのか...。


うるさく言う親への対応がメンドーなので、スポーツ整形外科は避けるようにしています。このため、腱板疎部損傷というメジャー(?)な疾患をほとんど認知していませんでした。


これまでは机上の知識だけだったので、このようにMRIで明確な腱板疎部損傷の患者さんを診るのは初めてです。


腱板疎部とは、棘上筋と肩甲下筋の間にある腱板の無いスペースです。この部分のみ関節包しか存在しません。その理由は近位に烏口突起があるためです。


腱板疎部の最も広い部分は烏口突起の横で、遠位にいくほど狭くなります。腱板疎部は関節包しかないので弱いと思いがちですが、腱板損傷が発生しないので意外と強い組織です。


よほどの外力が加わらないかぎり、関節包が断裂することはないからです。そうは言っても投球動作等の慢性的な機械刺激では、腱板疎部の関節包も炎症を併発します。


今回の症例では、そのような状態を捉えたのでしょう。腱板疎部炎と腱板疎部損傷の違いは便宜上のもので、両者はオーバーラップしているそうです。う~ん、奥が深い...。






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腱性マレットの治療体系

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先日、知人の腱性マレットを治療しました。この機会に、なかなか決定打の無い腱性マレットの治療法について勉強してみました。


勉強といっても、いつもお世話になっている大学の手外科の先生に教えていただいた耳学問です(笑)。まずマレット指で困るのは、DIPJの伸展障害だけではありません。


実際にDIPJの伸展障害で困るのは、ポケットに指を突っ込む時に引っ掛かる程度です。それよりも長期経過でスワンネック変形を併発することの方が重要です。


スワンネック変形を併発する理由は、central bandの機能不全のためにlateral bandが側方に落ち込んでいくためです。すぐにスワンネック変形をきたすわけではありません。


しかし、長期的にはスワンネック変形に移行する可能性が高いので、いつも以上に真剣に治療について考える必要があります。


そうは言っても腱性マレットの決定的治療は存在しません。大学の先生は、DIPJ過伸展+PIPJ屈曲で外固定4週→DIPJ伸展固定4週=計8週間がイチオシとおっしゃられていました。


しかし、24時間固定する必要があるので、なかなかハードルが高いです。次善の策として、DIPJ伸展位での経皮的固定術が選択されます。


今回も本治療を選択しましたが、cross pinnningを皮下に埋没させるのにやや苦労しました。普段は皮下埋没しないため、こんなに面倒な手技だとは思っていなかったのです。


高齢者の腱性マレットはそれほど珍しい外傷ではないですが、若年者では仕事との兼ね合いで治療が難しくなることがピットフォールだと思います。





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