整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

関節リウマチ

術後に生物学的製剤を再開する時期は?

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関節リウマチ患者さんに手術を施行する際、ガイドラインでは MTXは継続投与、生物学的製剤は 2~6週間前から休薬すると記載されています。




術前休薬に関してはその通りなのですが、生物学的製剤の再開時期はいつ頃が良いのでしょうか? じつは、このことに関してはあまり明記されている文献はありません。


その理由は定かではないですが、個々の症例で差が大きいことと、頻度は少ないものの生物学的製剤再開によって重篤な合併症を併発する症例がときどきあるためと推察します。


もし、ガイドライン等に明記してしまうと、生物学的製剤再開によって重篤な合併症を併発した場合に大変なことになります。このため皆がこの話題を避けているのかもしれません。


そうは言っても、休薬した生物学的製剤は再開しなければいけません。何となくその場の雰囲気で再開することが多いですが、私は投与再開は遅めの方が望ましいと考えています。


その理由は、生物学的製剤再開によって感染や創治癒不全などの合併症を併発してしまうとリカバリーが大変だからです。


一方、生物学的製剤投与を再開しないことによって関節リウマチが再燃しても、その時点でいくらでも対応可能です。


以前、大学のリウマチ専門の先生が同じようなことをおっしゃられているのを小耳にはさんだ時には、妙に得心したことを覚えています。


このように、関節リウマチの患者さんに手術をする際には、術後合併症が併発しないことを完全に見極めてから、生物学的製剤をおもむろに再開することが安全だと考えています。






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seronegative RAにバイオ早期導入してしまった...

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数ヵ月前に、右手関節から手指に限局した関節炎の患者さんが来院しました。特に外傷の既往はなく、数日で発症したとのことです。腫脹が右前腕から手指にかけてあります。


当初、UAが高かったため痛風を疑ったのですが、関節炎がいっこうに軽快しません。精査のためにMRIを施行したのですが、どうやら遠位橈尺関節および腱鞘周囲炎があります。


屈筋腱・伸筋腱とも腱鞘に水腫があるため、結核やMAC感染症ではなさそうです。念のために施行した T-SPOTや MAC抗体は陰性でした。


ACPA、RFは陰性ですが、CRP/ESR、MMP-3はいずれも高値です。ACR/EULAR 2010では、4点ですが、臨床的にはRAを強く疑います。いわゆる seronegative RAでしょうか。


一応、日本リウマチ学会専門医ではあるものの、seronegative RAの診断を下すのはいつも少しプレッシャーを感じます...。本チャンのリウマチ医から見ると失笑モノでしょう。


仮に診断を seronegative RAだとした場合、治療が問題になります。seronegative RAであっても、基本的には治療のアルゴリズムは通常の RAと同じです。


そして、この方は運悪く腎機能が悪かったのです。eGFRが30 mL/min前後なので、MTXを処方することもはばかられます。


弱気に2 ㎎処方しましたが効果が無いため、早期に生物学的製剤へスイッチしました。
seronegative RA+腎機能障害のため、診断に確証を持てないまま生物学的製剤の導入です。


幸い、生物学的製剤を投与開始すると症状は劇的に完全したので、患者さんにはいたく感謝されました。結果オーライですが、今回は運が良かっただけかもしれません。


外科系医師として手術のプレッシャーは毎日のように感じていますが、内科的な治療でもプレッシャーを感じます。う~ん、私の精神構造は医師向きではないのかもしれません...







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関節リウマチ患者さんの術前休薬期間

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先日、母校の大学病院から関節リウマチ患者の THA症例をご紹介いただきました。すでに予定手術受入れ制限が発動されており、大学での手術が中止されたことが紹介理由です。


かなりの難症例なので、通常であれば大学病院での手術が望ましいのですが、コロナ禍で逼迫した医療情勢のため仕方ありません。


診療情報提供書をみると、関節リウマチに対しては MTX+ABT皮下注製剤でコントロールされているようです。


一応、私もリウマチ専門医ですが、術前の休薬期間どうだったっけ???と戸惑ってしまいました。たしか、MTXは継続投与、生物学的製剤は1ヵ月前ぐらいから休薬だったかな?


このような時に助けになるのは整形外科医のブログです(笑)。何と言っても当ブログは「自分の診療備忘録」として始めたので、自分の weak pointはたいてい網羅されています。


「生物学的製剤」で当ブログ内を検索とすると、すぐに下記がヒットしました。





この記事では、いかにも私が忘れていそうなことが詳細に記されていました。本当に忘れているところが笑えないのですが...。


ポイントは下記のごとくです。
  • MTX:12mg / 週以下では継続投与が望ましい。
  • 12mg / 週超では個々の症例で判断 生物学的製剤:半減期を考慮した休薬



ちなみに、ABT皮下注製剤は術前 2週間の休薬でした。診療情報提供書に記載されている推奨休薬期間とぴったり符合します。さすが、大学の先生...






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外来でのセルフ診断当てクイズ

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先日、興味深いことを経験しました。
偶然なのですが、2名連続で右手背の腫脹・疼痛を主訴に若年女性が初診されたのです。


両者とも発症が3日前で身体所見も酷似していたので、一瞬ですが「何かの疾病が流行しているのか?」と疑心暗鬼になりました。もちろん、そんな疾病は存在しません
(笑)


さて、診断なのですが、それぞれの症例について推測してみました。症例①は20歳台だったので、伸筋腱炎もしくは
関節リウマチを疑いました。


血液生化学所見はCRPのみ軽度上昇です。単純X線像を施行すると診断は一発でした。示指MP関節の結晶性関節炎ですね。エコーではMP関節水腫を認めました。痛そう...。



22 - コピー




症例②なのですが、発赤度合が強かったので蜂窩織炎を疑いました。しかし、問診で毎日ビールを4缶(!)飲んでいることに気付いたので軌道修正です。そう、痛風発作ですね。


血液生化学所見はCRPのみ軽度上昇です。UA値は3.2mg/dLとかなり低値です。ますます痛風発作っぽいですね。


そんな感じで結果的には両方とも最初の診断予想を外しましたが、久しぶりに外来を楽しむことができました。臨床ってなかなか面白くて良いものですね。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








Booleanは医師ではない!

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関節リウマチの寛解基準では、ACR/EULARによる2011年版寛解基準が有名です。この寛解基準は、Boolean型定義やBoolean寛解と呼ばれており、下記のごとくです。


  • 腫脹関節数 ≦ 1
  • 圧痛関節数 ≦ 1
  • 患者疾患活動性全般評価(VASで0~10cm) ≦ 1 
  • CRP  ≦ 1



かなり厳しい寛解基準なので
「Boolean先生、コレはちょっとキツイですよ~」と思っていました。しかし、Boolean=医師ではないようです。


医師でないどころか、ヒトでさえないようです。関節リウマチの論文を作成している人が言っていたのですが、どうやら Booleanは数学の概念のようです。


Boolean logicは、George Boole氏という英国の数学者が提唱した数学の古典理論です。そんな数学的な論理を応用した寛解基準が、Boolean型定義というわけです。


実際、私自身はアホなので、ACR/EULARによる2011年版寛解基準の中で Boolean logicがどのように応用されているのか理解していません(笑)。


それでも、Boolean=医師ではないという事実は、私にとってトリビアでした。






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