整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

頚椎

肩甲上腕反射って何だ???

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肩甲上腕反射(SHR; Scapulohumeral Reflex)をご存知でしょうか? SHRは、C1~C4脊髄節が反射中枢となっている反射弓です。


臨床的には、下顎反射(第5脳神経)と上腕二頭筋反射(C5~6脊髄節)の間の反射中枢のギャップ(C1~C4脊髄節)を埋める意味合いがあります。



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具体的な手技ですが、座位の患者の肩峰もしくは肩甲棘を打腱器で叩いたときに、C1~C4脊髄節に異常があると、肩甲骨の挙上あるいは上腕の外転を認めます。


正常例では、肩峰もしくは肩甲棘を打腱器で叩いても、肩甲骨の挙上や上腕の外転は誘発されません。つまり、BabinskiやHoffman反射のように陽性になると異常な反射なのです。


私は当初、SHR -/-という記載は異常な状況だと思っていました。しかし、よく調べてみると、SHRでは反射が出ないことが正常な状況のようです。


上腕二頭筋腱反射や腕橈骨筋反射と比較してあまり有名ではないですが、上位頚髄に異常を認める際には、実施する必要性のある反射だと思います。






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バランスの円錐(cone of economy)

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先日、cone of economyという概念の存在を初めて知りました。人間は、足を支点とした身体のバランスの円錐を持っており、この円錐を cone of economyと言うそうです。


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上の図が、cone of economyの概念図です。頭部が円錐の中にあれば楽に立位姿勢を維持できますが、この円錐から逸脱すると大きな筋力を必要とします。


一般的に cone of economyが問題になるのは、胸腰移行部の圧迫骨折による脊柱後弯変形です。脊柱が後弯すると頭部は前方に移動するため、立位保持が困難となります。


このアンバランスを代償するため、股関節伸展+膝関節屈曲することで骨盤を後傾します。ご高齢の方が杖無し歩行するときのアノ姿勢です。


このような代償動作を長く続けると、腰背筋群のコンパートメント内圧が上昇して筋肉が阻血状態となります。このため、筋膜性腰痛や腰痛性間欠性跛行を併発するようです。


同じような症状を呈する腰部脊柱管狭窄症では腰部を前屈して間欠性跛行を軽減しますが、脊柱後弯変形では股関節伸展+膝関節屈曲となっているので、鑑別に注意が必要です。







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破壊性脊椎関節症の画像所見

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私は透析患者さんを日常的に診察している関係で、脊椎のチェックも行う機会が多いです。先日、血液透析歴10年以上の年季の入った患者さんが両上肢のしびれで受診しました。


頚椎の単純X線像を確認したところ、C2/3/4で不安定性を認めました。これっていわゆる破壊性脊椎関節症じゃないだろうか???


破壊性脊椎関節症(destructivespondyloarthropathy;DSA)は透析アミロイドーシスの一種で、下記が特徴のようです。

  • 脊椎板腔の狭小化
  • 椎体終板の破壊像や骨のう胞
  • 椎間関節の破壊像(CT)
  • 椎体の亜脱臼


アミロイドの沈着のために椎間板や椎間関節が破壊されることによって、脊椎不安定性が惹起されます。脊椎不安定性は脊髄症状を併発するため、固定術を検討する必要があります。


しかし、破壊性脊椎関節症の固定術後には、隣接椎間障害や内固定材料のゆるみなどの問題が高率に発生するそうです。


関節外科医の私には馴染みの無い疾患ですが、透析患者さんを診察する際には見逃さないように注意しなければいけないと思いました。







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頚胸移行部棘突起骨折をclay shoveler’s fractureと言うのか!

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先日、外傷後に後頚部痛が残存しているという患者さんのご家族から、個人的に相談を受ける機会がありました。受傷時の単純X線像をみると、C7、T1棘突起骨折があります。



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最終的に、両方の棘突起は偽関節となったようです。偽関節部の疼痛が残存しているのでしょうとお伝えしましたが、念のため脊椎外科医の先生に画像をみてもらいました。


このような下位頚椎~上位胸椎の棘突起骨折は、clay shoveler’s fractureと呼ばれているそうです。何度も同部位の棘突起骨折を診ていますが傷病名があることを初めて知りました。


clayは粘土ですが、シャベルで作業するときなどに肩甲帯の筋肉へ負荷がかかった際に、その付着部である棘突起が骨折するという病態が傷病名の由来とのことでした。


その他の原因として、交通外傷などで頚椎の屈曲方向に外力が加わった際の棘突起の剥離骨折や、過伸展による陥没骨折という発生機序も報告されているそうです。


ほとんどの症例で保存治療で改善しますが、痛みが残存して棘突起骨片の摘出手術を必要とする例も存在するとのことでした。
clay shoveler’s fracture...勉強になりました!






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ようやく分かった! Modic変性のMRI所見の意味

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先日、大学の会合に出席したのですが、闖入者が
延々と個人的発言を続ける珍事がありました。退屈のあまり、持参していた日本整形外科学会雑誌をパラパラ流し読みしていました。



すると、徳島大学の西良教授による腰痛の教育研修講演が目に留まりました。闖入者の小者っぷりにうんざりしていたこともあり、椎間板性腰痛に引き込まれました。


2016年に山口大学から報告されたように、整形外科医がきっちり診察すれば、腰痛の 80%は診断可能です。そして腰痛の原因のひとつとして椎間板性腰痛があります。


診断の決め手は MRIの HIZ(high signal intensity zone)とModic changeです。HIZは画像的にも分かりやすいので、日常診療でも注意して確認しています。


一方、Modic changeを知らない人はあまり居ないと思われますが、恥ずかしながら私は Type 1~3の違いを理解していませんでした。


Type 1は T1WIで低信号+T2WIで高信号、Type 2はT1WIで高信号+T2WIで高信号、
Type 3はT1WIで低信号+T2WIで低信号です。


病理学的意味を考えずに丸暗記していましたが、どうやら、Type 1は炎症、Type 2は炎症が収まったあとにできる脂肪髄、Type 3は硬化像とのことでした。


なるほど、そういう一連の変化ということであれば、MRIの所見を丸暗記する必要さえありませんね! 勉強になりました。







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