整形外科医のブログ

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上肢

開発医師にHYBRIX-Dの適応を訊いてみた

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先日、かなり手関節面に近い部位の橈骨遠位端骨折がありました。CTで計測すると、Watershed lineより近位は 7mm程度しかありません。


橈骨遠位端骨折の掌側プレートは MIZUHOの HYBRIXを使用していますが、今回のような症例では通常タイプではなく 
HYBRIX-Dのような遠位設置型プレートが検討されます



HYBRIX-Dのような遠位設置型プレートの絶対適応は Rim fractureです。しかし今回のような微妙な症例では近位設置型・遠位設置型の両者とも適応があります。


長母指屈筋腱損傷を嫌うのであれば近位設置型ですし、強固な固定優先であれば遠位設置型です。どちらにするのかを迷ったので、HYBRIX開発者の先生のひとりにお伺いしました。


この先生がおっしゃられるには、
condylar stabilizing 法を実施するか否かで判断するべきとのことでした。つまり、CS実施なら遠位設置型プレート、しないなら両者とも可です。


長母指屈筋腱損傷が嫌ですが、やはり周術期の安全性を考えると遠位設置型プレートに軍配があがります。一方、第一列はいずれの場合にも screwではなく pin推奨とのことでした。


素人目には screwの方が強固に固定されそうに思えますが、実際には固定性に差異は無いそうです。にもかかわらず、screwは関節面をカットアウトするリスクが高いとのことです。


ここまでをまとめると、遠位骨片が Watershed lineより近位 7mm程しかなければ、遠位設置型プレート+第一列は pinで CSを実施するのが無難であろうとの結論でした。






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小学生の舟状骨骨折を診た!

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先日、10歳の子供の舟状骨骨折を診ました。
小学生なので骨端線は残っています。


舟状骨と橈骨遠位端の骨端線では後者の方が解剖学的に脆いので、ほとんどの症例は橈骨遠位骨端離開もしくは橈骨遠位骨幹端の若木骨折になると思われます。



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このため、小学生では舟状骨骨折はあまり考えていませんでしたが、単純X線像の手関節正面像で舟状骨橈側皮質に不整な所見があったのでアレっ?と思いました。


もう一度触診すると解剖学的タバコ窩に腫脹と圧痛がありました。そこで舟状骨5方向を撮影したのですが、少なくとも正面像では骨折は分かりません。



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しかし、上図では舟状骨背側にわずかですが皮質の不整像を認めます。う~ん、これは舟状骨骨折かもしれないな...。MRIを撮像すると下図のような所見でした。



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舟状骨の尺側は破綻していなさそうなので bone bruiseかもしれませんが、一応は舟状骨骨折として治療した方が良さそうです。


これまで小学生以下の骨端線が閉じていない症例では、舟状骨骨折はあまり発生しないと思っていました。しかし今回の経験でその考えは誤っていることを認識しました。






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DIP関節固定術は意外と難しい

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ヘバーデン結節は極期の半年ほどを乗りきると疼痛が緩和していきます。このため mucous cystの自壊を繰り返すような症例を除けば保存治療を行うことがほとんどです。


しかしときどき疼痛が軽快しないため手術希望される患者さんが居ます。了解、それじゃDIP関節の固定術を行いましょうと言いがちですが、ちょっと待ってください。


DIP関節固定術は意外と難しいと感じています。DIP関節なんて表層の関節なんだから容易でしょ、と思いがちですが実はいくつかピットフォールがあります。


最大の問題点は内固定材料の選択および挿入法です。関節固定なので強固な固定を目指したいところです。このため Acutrakや DTJスクリューを選択することが多いです。


たしかにこれらの内固定材料がうまく挿入できれば強固な固定性を獲得できますが、挿入する際の角度が問題となります。


中節骨・末節骨とも小さな骨なので、かなり強斜位に挿入しないとうまく固定できないのです。しかもスクリュー挿入時に中節骨の皮質が割れてしまうこともあります...。


私個人の好みではありますが、術中に Acutrakや DTJスクリューの挿入が難しそうだと判断すれば、躊躇なくC-wireの cross pinningにコンバージョンします。


結論的には DIP関節の固定術を舐めてはいけません。それなりに難しい手術であると認識して手術に臨むべきだと思います。






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抜釘時にはドライバーを叩打しよう!

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先日、10年モノの Acu-Locを抜釘しました。
初期のプレートだったため、遠位スクリューが小さな六角ドライバーです...。


比較的若年者だったこともあり、スクリューヘッドを舐めそうになりヒヤヒヤしました。フルスレッドの遠位スクリューにびっちり骨が嚙みこんでいます。


さて、このような場合にはスクリューヘッドの軟部組織を完璧に除去してからドライバーを挿入するのは当然として、もうひとつするべきことがあります。


それは、スクリューヘッドにドライバーを正確に挿入してから、ハンマーで何度かドライバーを叩打するのです。


この手技により、プレートとスクリュー間および骨とスクリュー間の噛み込みが少し外れるそうです。よくハチミツの瓶の蓋を開けるときに包丁の背で叩きますが同じ要領ですね。


この手技の存在は術中に教えてもらいましたが、その効果のためか何とかすべてのスクリューを抜去することができました。


最近の橈骨遠位端プレートのスクリューはスタードライブなので六角よりはマシですが、それでも抜去時に舐める可能性があります。抜釘時にはドライバー叩打が望ましいでしょう。






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小指基節骨の基部骨折は intrafocal pinningがポイント

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先日、小指の基節骨基部骨折の手術がありました。
この部位の骨折は尺背側に転位する傾向にあり、中・高生に多い印象を抱いています。



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中・高生なのでできるだけ保存治療をしたいという思いがあり、昔はがんばって徒手整復を試みましたが、やはり満足のいく整復位を得ることはできないことが多いです。


このため最近では、牽引して整復位を獲得できないことが分かれば、あっさり手術をする方針に転換しています。今回の症例も牽引だけでは徒手整復できませんでした。


小指基節骨基部骨折で尺・背側転位している症例では、尺・背側から骨折に intrafocal pinningを刺入して整復しています。


麻酔下と言えども、小指を屈曲・橈側に牽引するだけでは整復できないからです。今回の症例では intrafocal pinningに加えてクロスピニングを施行しました。



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透視下でも骨折部は安定していたので、疼痛自制内で自動運動を開始する予定です。昔は何度も外来で徒手整復を繰り返していましたが、患者さんにとっては手術の方が楽そうです。


このように、最近はできるだけ患者さんに疼痛を与えず、治療も省略化傾向にしています。この方針が良いのかどうかは分かりませんが...。






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