先日、足関節脱臼骨折(PE stage 4)の手術に関するブログ記事をアップしたところ、北の整形外科医先生から三角靭帯深層損傷の可能性を指摘されました。
三角靭帯の深層損傷??? 恥ずかしながら知識ありません...。医中誌webで検索すると下記文献がヒットしました。
三角靱帯損傷を修復しなかった足関節果部骨折の手術成績. 神保幸太郎, 原口敏昭, 川崎優二 聖マリア病院整形外科 骨折 41(4): 1405-1409, 2019.
さっそく文献を購入すると、非常に興味深いことが記載されていました。今までこんなことも知らずに足関節脱臼骨折の治療をしていたのか...。要約すると下記のごとくです。
- 脛腓間損傷の評価や修復については多くの議論がなされているが、三角靭帯損傷についての議論は不十分である
- 三角靭帯損傷を伴う足関節顆部骨折では、内側と脛腓間の2か所の不安定性が残存する症例がある
- AO分類C typeでは、内側不安定性が残存しやすい
- 三角靭帯損傷が完全断裂であれば、脛腓間固定を追加しても多少の脛腓間不安定性が残存する可能性がある
- 脛腓間不安定性が内側不安定性に関与している
三角靭帯損傷を修復しない場合の予後不良因子は、①脛腓間固定6週(12週と比較して) ②術直後の内側関節裂隙離開 とのことです。
私たちが採れる対策は、骨接合が終了した段階で透視下に内側関節裂隙を確認し、離開していれば三角靭帯縫合を追加する。脛腓間固定必要例では12週後に抜釘となります。
整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。