整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

右股関節部痛では虫垂炎も鑑別に!

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先日、高齢者が右股関節部痛の主訴で受診しました。施設入所中の方で認知症があり、転倒歴は不明とのことでした。


施設内で人知れず転倒していた等のパターンはありがちなので、さしあたって単純X線像を撮像したのですが、明らかな異常所見を認めません。


身体所見として、右鼠径部を押さえると少し痛がります。しかし、右股関節の回旋時痛や軸圧痛は無いようです。


大腿骨近位部不顕性骨折の可能性もあるためMRIを施行しましたが、特に異常所見は無いようです。おかしいな???


熱発は無かったのですが、結晶性関節炎を疑ってMRIと同時に採血依頼もしていました。データを確認すると、CRP / WBCがそれぞれ18mg/dL / 18000/μLもありました。


よく診察すると、右鼠径部というよりも、もう少し中枢方向のMcBurney点に近い印象です。腹部CTではみごとに回盲部の炎症がありました。いわゆる虫垂炎ですね...。


股関節だけみていると「1週間ほど様子をみましょう」と言うところでした。初めての経験でしたが、右股関節部痛の鑑別診断として、虫垂炎も考える必要がありそうです。






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大腿骨頚部不顕性骨折の診断は難しい

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先日、近隣の開業医から右股関節部痛の70歳台患者さんの紹介を受けました。特に外傷の既往はなく歩行も可能だったようです。



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発症後2週間のMRIが上記です。大腿骨頚部から転子部にかけて、
T1WIで低信号領域、T2WIで高信号領域を広範に認めます。


大腿骨頚部にわずかに骨折線がありそうですが判然としません。大腿骨頭荷重部直下にT1WI、T2WIとも低信号を認めます。最初は大腿骨頭下脆弱性骨折と診断しました。



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ところが、THA前提で単純X線像とCTを施行したところ、大腿骨頚部骨折を発症しているではないですか!前医でMRIを撮像してから 2週間の間に骨折が顕在化したようです。


いわゆる大腿骨頚部不顕性骨折と思われます。何年かに一度ぐらいの割合で大腿骨頚部不顕性骨折を診ますが、最初のMRIでは骨折線が判然としないことがネックだと感じました。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








どちらが有用? 関節包 vs 短外旋筋群温存

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股関節後方侵入において、股関節の安定性に寄与するのは短外旋筋群と関節包ではどちらの方が大きいのでしょうか?


最近では、短外旋筋群よりも関節包の寄与度の方が大きいと言われています。本当にそうであれば、短外旋筋群は切離して関節包のみ温存すればよいことになります。


このことを念頭に置いて、先日の人工骨頭置換術では下記のように軟部組織を処理しました。関節包の切開部は内閉鎖筋直下です。

  • 短外旋筋群は梨状筋のみ温存して T字状に切開
  • 関節包は下方へのL字切開


問題の安定性ですが、関節包のみでもそれなりの安定性を獲得していました。いわゆる脱臼肢位にすると、関節包がピンピンに張っていい感じです。


もちろん、短外旋筋群+関節包には劣りますが、短外旋筋群のみ温存とほとんど変わらない印象です。視認性は関節包のみ温存の方が優れています。


今回の小経験では、苦労して短外旋筋群を残さなくても関節包のみ温存でも問題なさそうでした。そうであれば、視認性に優れた関節包温存の方が望ましいのかもしれません。







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腸骨筋起始部の裂離を見た!

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先日、運動会でダッシュした際に左股関節部痛が突然出現したという10歳の児童が初診しました。整形外科医であれば、骨盤周囲の裂離骨折を第一に考えるでしょう。


上記を念頭に置いて単純X線像を施行しましたが、明らかな骨折はなさそうです。単純X線像ではっきりしないので、そんなに大きな問題ではなさそうと判断して経過観察しました。


ところが、1週間しても疼痛がおさまりません。単純X線像を再検しましたが、やはり明らかな骨折はなさそうです。そこで、思い切ってMRIを施行することにしました。



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画像をみて驚愕しました。こんな所見は初めてみます。どうやら左腸骨筋起始部が腸骨翼から裂離しているようです。一部に血種も認めます。


これぐらいの年齢の児童では裂離骨折となることが多いのですが、骨盤腔内では腸骨が凹になっているので骨折ではなく筋肉起始部が剥がれたのでしょう。


幸い、MRIの画像説明をおこなった受傷後2週間の時点では、症状がかなり軽快していました。結果的には、あと数日待てば良かったのかもしれませんね。





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究極のセメントインセメント法?!

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THAでカップの術中リビジョンをせざるを得ない症例はときどきあります。このような事態に陥った時に、問題になるのはステムの存在です。


ステムが挿入されている状態では、ネックが邪魔になってカップ再設置にむけての手技をうまく施行することが難しくなります。


このような場合には、関節包の展開を大きくしてリーマーの出し入れができる状態にする必要があります。しかし、セメントステムの場合にはもう少しスマートな方法があります。


それはセメントインセメント法の亜型の利用です。セメントインセメント法はこちらでご紹介していますが、柔らかい状態のセメントをセメント内に追加充填する方法です。


しかし、術中リビジョンの場合には、ステムをさっき挿入したばかりです。もし
ステムが polishなら、トロトロのセメントを充填する必要さえないのです!



ステムを抜去して、カップを再設置します。そして髄内を完全に洗浄して異物が混入していないことを確認してから、ステムをそのまま挿入するという荒業(?)が使えます。


ステムの肩部分にだけでもセメントが必要ではないかと思う方もいらっしゃるでしょうが、基本的には何もなくてもOKなはずです。


術中リビジョンは辛い経験ですが、polishステムを選択している場合には、その他のステムと異なりカップ再置換術は比較的容易だと思います。






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