整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

ライナー抜去にはタップを切るのが良い?!

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先日、人工股関節全置換術(THA)後のライナー交換手術がありました。リップ付きライナーも意外と良いですねという記事でしたが、今回は少し異なる切り口です。


ライナーを抜去する際には、AO(大)の皮質骨スクリューもしくは海綿骨スクリューを使用することが多いと思います。


昔はこの方法で問題なかったのですが、最近ではハイリークロスリンクポリエチレン
(HXLPE)のためにライナーの厚みが薄い症例が多いです。



このような症例ではスクリュー挿入時にカットアウトしがちです。また HXLPEは従来型より硬いためか、ドリル後にスクリューがうまく挿入できないことが多いです。


このため、ライナーにスクリューを挿入するという初期段階でつまずいてしまいます。このような事態を回避するためには、タップを使用すると良いと思います。


表面から 1/2ほどタップしておくと皮質骨スクリュー挿入が容易になるのです。セルフタップスクリュー使用も良いかもしれませんが、先端が尖っているのでカップに傷が付きます。


ハイリークロスリンクポリエチレン
(HXLPE)のライナー抜去は意外と難しいです。小さな工夫ですがご参考にしていただければ幸いです。





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股関節手術ではなく補高だけで治療が完結した件

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先日、人工股関節全置換術(THA)希望の患者さんが受診しました。80歳台の方で、Crowe type 3の高位脱臼股です。しかも単純X線像では、大腿骨がかなりの粗鬆骨です...。


CTでは、腸骨翼内に新臼蓋が存在しており、寛骨臼前方開角はマイナス45度でした(つまり後方開角)。必然的に原臼蓋まで引き下ろす必要があります。


これはなかなか難易度の高い手術になりそうだなぁと思っていましたが、よくよく主訴を聞いてみると股関節部痛ではなく
「歩きにくさ」で困っているとのことです。


診察室内で少し歩いてもらうと、著明な中殿筋爬行でした。これだけ派手に Trendelenburg signが出ていると、歩きにくさを自覚するのも当然です。


中殿筋爬行の原因は、高位脱臼による中殿筋機能不全と脚長差です。中殿筋機能不全に関しては、原臼蓋に股関節を持っていくしかないですが、脚長差は補高で簡単に補正できます。


試しに 10mm補高すると、歩容が劇的に改善しました。THAを希望されたのが疼痛ではなく歩容改善なので、補高だけでニーズを満たしたことになります。


殿筋内脱臼ではないので、今後股関節痛を発症する可能性はあります。しかし、現時点では差し迫った手術の必要性は無くなったため、このまま少し経過観察しようと思います。


患者さんも手術せずに「治った」という気持ちになったようで、とても満足して帰っていきました。股関節診療では時々こういうことがあります。







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右股関節部痛では虫垂炎も鑑別に!

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先日、高齢者が右股関節部痛の主訴で受診しました。施設入所中の方で認知症があり、転倒歴は不明とのことでした。


施設内で人知れず転倒していた等のパターンはありがちなので、さしあたって単純X線像を撮像したのですが、明らかな異常所見を認めません。


身体所見として、右鼠径部を押さえると少し痛がります。しかし、右股関節の回旋時痛や軸圧痛は無いようです。


大腿骨近位部不顕性骨折の可能性もあるためMRIを施行しましたが、特に異常所見は無いようです。おかしいな???


熱発は無かったのですが、結晶性関節炎を疑ってMRIと同時に採血依頼もしていました。データを確認すると、CRP / WBCがそれぞれ18mg/dL / 18000/μLもありました。


よく診察すると、右鼠径部というよりも、もう少し中枢方向のMcBurney点に近い印象です。腹部CTではみごとに回盲部の炎症がありました。いわゆる虫垂炎ですね...。


股関節だけみていると「1週間ほど様子をみましょう」と言うところでした。初めての経験でしたが、右股関節部痛の鑑別診断として、虫垂炎も考える必要がありそうです。






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大腿骨頚部不顕性骨折の診断は難しい

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先日、近隣の開業医から右股関節部痛の70歳台患者さんの紹介を受けました。特に外傷の既往はなく歩行も可能だったようです。



2 - コピー



発症後2週間のMRIが上記です。大腿骨頚部から転子部にかけて、
T1WIで低信号領域、T2WIで高信号領域を広範に認めます。


大腿骨頚部にわずかに骨折線がありそうですが判然としません。大腿骨頭荷重部直下にT1WI、T2WIとも低信号を認めます。最初は大腿骨頭下脆弱性骨折と診断しました。



1 - コピー



ところが、THA前提で単純X線像とCTを施行したところ、大腿骨頚部骨折を発症しているではないですか!前医でMRIを撮像してから 2週間の間に骨折が顕在化したようです。


いわゆる大腿骨頚部不顕性骨折と思われます。何年かに一度ぐらいの割合で大腿骨頚部不顕性骨折を診ますが、最初のMRIでは骨折線が判然としないことがネックだと感じました。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








どちらが有用? 関節包 vs 短外旋筋群温存

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股関節後方侵入において、股関節の安定性に寄与するのは短外旋筋群と関節包ではどちらの方が大きいのでしょうか?


最近では、短外旋筋群よりも関節包の寄与度の方が大きいと言われています。本当にそうであれば、短外旋筋群は切離して関節包のみ温存すればよいことになります。


このことを念頭に置いて、先日の人工骨頭置換術では下記のように軟部組織を処理しました。関節包の切開部は内閉鎖筋直下です。

  • 短外旋筋群は梨状筋のみ温存して T字状に切開
  • 関節包は下方へのL字切開


問題の安定性ですが、関節包のみでもそれなりの安定性を獲得していました。いわゆる脱臼肢位にすると、関節包がピンピンに張っていい感じです。


もちろん、短外旋筋群+関節包には劣りますが、短外旋筋群のみ温存とほとんど変わらない印象です。視認性は関節包のみ温存の方が優れています。


今回の小経験では、苦労して短外旋筋群を残さなくても関節包のみ温存でも問題なさそうでした。そうであれば、視認性に優れた関節包温存の方が望ましいのかもしれません。







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