整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

腫瘍

下垂体腫瘍摘出術後はステロイドカバー必須

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先日、下垂体腫瘍摘出術後の患者さんの手術ありました。下垂体腫瘍の手術歴がある患者さんはそれほど多くありません。


お薬手帳を確認すると、コートリルとチラージンが処方されています。コートリルは鉱質コルチコイドなので整形外科医が自発的に処方する機会はほとんど無いと思われます。


このためステロイドカバーが必要性の判断がすぐにできませんでした。当日手術だったので急いでステロイドカバーの要否を調べると基本的な事項が抜けていることに気付きました。


そもそも下垂体腫瘍摘出術後の患者さんは下垂体機能不全なので、考えるまでも無くステロイドカバーは必須だったのです...。


1. 1 週間以上、ステロイドを投与されている

2. 術前 6ヵ月に4 週間以上ステロイド投与を受けている

3. 術前 6ヵ月以内にコルチゾール 1 g 以上あるいは同等以上のステロイド投与を受けている

4. アジソン病の患者、または両側副腎摘出術や下垂体摘出術の既往およびこれらの手術予定の患者

5. ACTH 刺激試験などで副腎機能低下が明らかな患者



教科書的にも長期間のステロイド投与やt直近のステロイド投与と並んで下垂体腫瘍摘出術後はステロイドカバー必須と記載されています。少し恥ずかしいですね(苦笑)。


周術期のステロイドカバーの量は下記のごとくです。


小手術

ステロイド維持量+コルチゾール 25mg もしくはメチルプレドニン 5mg を術当日のみ静脈内投与、術翌日より維持量へ


中手術

ステロイド維持量+コルチゾール 50~70mg またはメチルプレドニン 10~15mg を術当日静脈内投与し、以後1~2 日で漸減し維持量へ



大手術

ステロイド維持量+コルチゾール 100 ~ 150mg またはメチルプレドニン20 ~ 30mgを術当日静脈内投与し、以後2~3 日で漸減し維持量へ





整形外科手術は再置換術や一部の腫瘍切除術を除き、小~中手術に該当するものと思われます。高齢者の大腿骨近位部骨折などは小手術でしょう。


高齢者に大量のステロイドを投与するのも気持ち悪いので、小手術とみなしてステロイドカバーの量を決定するインセンティブが働きそうです。



それにしても下垂体腫瘍摘出術後にステロイドカバー必須であることは盲点でした。まったくお恥ずかしい限りです。






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がん治療のイノベーションが国内で無視されたワケ

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日経メディカルに興味深い記事がありました。
英国から逆輸入!? 常識覆す放射線増感剤 です。


要約すると、高知大学放射線科の教授だった小川恭弘先生が開発したKORTUCという放射線増感剤が、日本では製品化されなかったが英国で実用化されつつあるという話です。


KORTUCは 3%オキシドールをヒアルロン酸で薄めて 0.5%溶液にしたという単純なものです。これを腫瘍に局所注射して放射線治療すると劇的な効果が発現します。


放射線治療で照射されるX線の効果は 1/3が直接的なDNA傷害によるものですが、残りの2/3
は水分子を分解 ⇒ フリーラジカルを形成 ⇒ 酸素と反応してDNAを傷害という機序です。


腫瘍は抗酸化酵素が豊富で低酸素状態なので放射線治療に抵抗性がありますが、KORTUCを腫瘍内に注入することで腫瘍を酸化してX線の効果が高めるのです。


国内で実施されたI、II期の乳癌患者72例(手術拒否例)に対するKORTUCの治療成績は、5年全生存率100%、無病生存率と局所制御率は97.1%と標準治療に比べて遜色ありません。


英国癌研究所も「KORTUCの有効性が証明されれば、世界中の何百万人もの患者の放射線治療を改善する可能性がある」とコメントしています。


このような素晴らしい治療が日本で実現化しなかったのは、「臨床効果は認められても、採算が取れない」という理由だそうです。



KORTUCの材料費は数百円。日本では原価の3倍を超える価格が付いた薬は前例がない。一方、治験を行うには億単位の資金が必要なので、日本で商品化する道はほぼ閉ざされていた



上記は小川先生の弁ですが、思わず考えさせられます。なるほど、高価な治験費用を吸収するために高価な治療しか製品化されないという、医療費高騰が運命付けられた仕組みです。


せっかくの独自アイデアが製品化に至る仕組みの問題で頓挫してしまい、外国で製品化されて日本に逆輸入されるという目も当てられない状況のようです。困ったものですね...。






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場末病院でオプジーボ患者を受けれるのか?

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先日、大腿骨近位部骨折の転院依頼がありました。
ふたつ返事でOKというところでしたが、既往歴を確認すると癌のターミナルです。


しかも、オプジーボを 2週毎に投与中とのことでした...。オプジーボは有名な薬剤ですが、実際に投与している場面に遭遇したことはありません。


何となくオプジーボ投与に対応できなさそうだったので転院をお断りしたのですが、気になったので本当に転院できなかったのかを調べてみました。


まず、この患者さんの場合、オプジーボの薬価だけで月間 100万円近くするようです。なかなか強烈なインパクトがあります。


そして、仮に入院中にオプジーボを投与する際には「最適使用推進ガイドライン」を満たすことをレセプトに記載する必要があるとのことでした。


ガイドラインでは、施設要件としてがん診療連携拠点病院であることが求められています。これ以外にも、医師要件としてがん薬物療法の 3~5年以上の臨床経験の必要があります。


いずれも全く満たしていません。何となく自院ではダメっぽいと感じていましたが、ぜんぜん話にならないレベルでした。下手に受けると全員が不幸になるところでした...。






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SLAP損傷に併発したガングリオン

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先日、誘因なく右肩関節部痛が出現したとのことで40歳台の患者さんが受診されました。四十肩ですね~と言って関節注射を施行したのですが、イマイチ症状が軽快しません。


思い切ってMRIを撮像してみたのですが、画像所見をみて驚きました。肩甲骨の棘上窩にガングリオンがあったのです!



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調べてみると、肩関節周囲のガングリオンはSLAP損傷に併発することが多いとのことでした。今回の症例でも後上方関節唇が膨化しているようです。


はっきりと後上方関節唇損傷部からガングリオンが伸びている所見は確認できませんでしたが、おそらく関節外の後上方関節唇損傷部から発生したガングリオンなのでしょう。


これだけ大きいと、肩甲上神経を圧迫して棘下筋の運動麻痺を併発する可能性があります。神経伝導速度検査もしなければなりません...。






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胸鎖関節部腫脹を甘く見るな!

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先日、外来で右胸鎖関節腫脹の患者さんが受診しました。単純X線やCTでは右胸鎖関節症(SAPHO症候群)のようでした。


もちろん、これ自体は特に珍しいわけではありません。しかし、だからと言って安易に考えるのは禁物だと思っています。


なぜなら、つい先日診察した患者さんは乳がんの骨転移だったからです。この患者さんも右胸鎖関節の腫脹を主訴に受診されました。特筆すべきはそこそこの疼痛もあったことです。


単純X線では鎖骨近位の一部に骨融解像を疑う所見がありました。驚いてCTを施行したところ、比較的境界明瞭ではあるものの背側皮質の一部が欠損している所見がありました。


MRIでも転移性骨腫瘍疑いです。乳がんの既往があったため外科に紹介したところ、やはり乳がんの骨転移とのことでした。


単なる胸鎖関節症だと思っていたら痛い目に会うところでした。臨床には本当にさまざまな落とし穴があります。気を付けなければ、、、と改めて思いました。






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