先日、手指DIPJレベル背側の軟部腫瘤が主訴の患者さんが受診されました。普通に考えたらHeberden 結節の mucous cyst もしくはガングリオンです。
気軽に穿刺したのですが、内容物を吸引できません。あれ???MRI を施行すると単純ではよく分からず、造影してみると腱鞘巨細胞腫(GCTTS)っぽいことが判明しました。
手指のこの部位に発生する軟部腫瘍は、schwannoma もしくは GCTTS であることが多いそうです。通常、部位発生の腫瘍であれば、悪性の可能性は低いでしょう。
このため、痛み・しびれ・可動域制限等の症状がなければ、手術の絶対適応ではありません。ご存知のように GCTTS は5~30%と局所再発率が高いです。
病理的には色素絨毛結節性滑膜炎(PVS)と同一群の疾患であり、辺縁切除術での局所再発率が高いことがピットフォールです。
このため、特に症状が特に無いのであれば経過観察が吉だと思われます。ガングリオンを疑って穿刺しても何も吸引できないときには少し焦ります。
そのような時でも、手指に発生した小さな軟部腫瘍には悪性腫瘍が少ないことを念頭に、落ち着いて外来を進めたいものです。
ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。