先日、L5圧迫骨折の高齢者を診察する機会がありました。外傷の既往はありません。胸腰移行部の骨折であれば分かるのですが、下位腰椎骨折なので何となく違和感を感じました。
そして、血液生化学検査で、蛋白分画の γ-グロブリン域にMタンパクを疑うピークが検出されました。以前にとぜんな脊椎外科医のブログで、血液腫瘍の話題があったな・・・
そこで、総蛋白・アルブミンを確認しましたが、やや低い値です。CBCは軽度の貧血のみです。しかし、追加依頼した免疫電気泳動検査でIgG-λ型Mタンパクを認めました。
多発性骨髄腫なんて今まで当たったことはありません!と思っていましたが、単に見過ごしているだけではないのか? という恐怖感が沸き上りました。
上記は、国立がん研究センターのHPから転載した、多発性骨髄腫の症状の表です。形質細胞が癌化したものが多発性骨髄腫です。多彩な症状を呈することが分かります。
高齢者の脊椎圧迫骨折患者さんは、非常にポピュラーな存在です。しかし、通常の症例と比べて何か違和感を感じたら、血液腫瘍系の検査を行ってみても良いかもしれません。
ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。