医療でも、AI(エーアイ)というと、人工知能を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、Ai(オートプシー・イメージング)の存在も忘れてはいけません。
Ai(オートプシー・イメージング)とは、ご存知のように死亡時画像診断です。患者さんが急変した時には、死因究明の選択肢をご家族に提示する必要があります。
しかし、病理解剖までは二の足を踏みます。ただでさえも突然お亡くなりになって傷心しているのに、更に病理解剖を提案するのは傷口に塩を刷り込むような行為とも言えます。
そこで登場するのがAiです。AiならCT撮像なので、物理的・精神的負担は病理解剖ほどではありません。そのような理由で、私は急変例には Aiを提案することにしています。
ところが、Aiにも欠点は多いです。まず費用負担を誰がするのかという問題があります。死後なので健康保険を使用できません。
急変時には医療機関の立場が弱いので、流れ的に医療機関負担になる例が多いと思います。この点については、国が音頭をとって整備して欲しいところです。
そして肝心の死因確定率ですが、Aiは約30%に過ぎないようです。確かに、私も何度かAiを実施しましたが、死因が確定した経験はありません。
病理解剖での死因確定率が70~80%なので、ずいぶん開きがあります。このため、真に死因を究明するためには、Aiだけでは力不足で病理解剖が必要です。
しかし、実臨床の立場では、遺族とのトラブル回避のためにも、Aiの選択肢があることは強力な切り札になると思います。
実際にAiを実施しなくても、遺族に提案するだけである程度はトラブルの芽を摘むことができるからです。費用負担問題はありますが、Aiの選択肢は覚えておいて損は無いでしょう。
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