整形外科医のブログ

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学術

MRIの撮像断面の考え方

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MRIの撮像断面には、冠状断、矢状断、横断があります。それぞれがどのような断面なのかは完全に理解していると思いがちです。


しかし四肢に関しては少しアタマの体操が必要だと思います。例えば、下記のような手関節の正面っぽい画像は何断でしょうか?



210916 - コピー



答えは冠状断(coronal section)です。これは簡単だったかもしれません。では次の前足部の正面っぽくみえる画像はどうでしょう?



2109162



答えは冠状断ではなく横断なんですね。上記の手関節と足部は両方とも冠状断に思えますが、下肢に関しては横断となります。何故このようになるかは下図でよく分かります。



2109163 - コピー (2)



Wikipediaからの転載ですが、手のひらを前にして両上肢を下した状態で撮像断面を判断するようです。このため、手関節では冠状断だった断面が、足部では横断になります。


う~ん、少しややこしいですね...。困った時には上記の図を思い出して撮像断面を考えてみましょう!






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スポーツ整形で扱うグロインペイン

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グロインペインってご存知でしょうか?
鼠径部痛(groin pain)のことで、スポーツ選手に多いそうです。


私はグロインペインという概念を知らなかったのですが、今月号の MB Orthop. 34(8) 2021の特集が難治性グロインペインだったので興味深く拝読しました。


臨床的には下記のように分類されるそうです。
  • 鼠径部痛 ①内転筋関連 ②腸腰筋関連 ③鼠径部関連 ④恥骨関連
  • 股関節関連の鼠径部痛
  • その他(腫瘍等)


最も多いのは鼠径部痛で、恥骨結合(pubic plate)が破綻している症例が多いです。内転筋や腸腰筋は恥骨結合と密接に関係しており、それらの過負荷で恥骨結合破綻にいたります。


画像では MRIが重要で、恥骨結合周囲の恥骨骨髄浮腫や secondary cleft signという、恥骨結合のヘルニアのような所見が認められることが多いそうです。


治療はリハビリテーションなどが主体で、専門施設での治療によって数ヵ月程度でスポーツ復帰する症例が多いとのことでした。


プロレベルの選手を扱うのは限られた施設なので、一般的な整形外科医が治療にあたることはありませんが、知識としてグロインペインを知っておく必要があると思います。





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オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






体外衝撃波治療は尿路結石だけではなく整形外科でも有用

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Monthly Book Oethopaedicsの2021年 7月号は整形外科領域における体外衝撃波治療の実際でした。体外衝撃波(Extracorporeal shockwave therapy : ESWT)は尿路結石で有名です。


ところが、上腕骨外側上顆炎の治療では、ストレッチとステロイド注射以外にも、PRP療法(多血小板血漿療法)と体外衝撃波療法があることを知りました。


ESWTには深部に集束させて高エネルギーの衝撃波を作用させる集束型衝撃波治療(FSWT)と、浅い領域に圧力波を拡散させる拡散型圧力波治療(RPWT)があります。


FSWTは身体の深部にあるターゲットに対して、強い物理作用によってその部位の細胞や組織を破壊する一方で、周囲組織の細胞を活性化させて修復を促す作用があります。


一方の RPWTは、皮下の筋肉や筋膜などの浅い領域に作用して筋緊張緩和や筋膜の滑走改善を得られるため、主にスポーツ現場やリハビリテーションで使用されています。


FSWTの主な対象疾患は下記のごとくです。
  • 上腕骨外上顆炎
  • 肩石灰沈着性腱炎
  • アキレス腱付着部炎
  • 足底腱膜炎
  • 骨折の偽関節や遷延癒合


一方の RPWT主な対象疾患は下記のごとくです。
  • 上腕骨外上顆炎
  • アキレス腱付着部炎
  • 足底腱膜炎
  • 関節拘縮


両者ともオーバーラップしている疾患が多いですが、趨勢としては ESWTの方が優勢のようです。保険適応は難治性足底腱膜炎のみのようなので基本的には自由診療になります。


保険適応がほとんど無い現状では厳しいですが、これらの疾患に対して ESWTが効果があるという知識だけでも知っておく必要がありそうです。






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剥離骨折や高輝度はスラングな医学用語なのか?

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整形外科医であれば関節捻挫という傷病名の使用に対して多少の抵抗感があるのではないでしょうか。これらのゴミ箱的傷病名は診断努力を放棄している証左とみなされるからです。


一方、剥離骨折や MRIでの高輝度、低輝度といった用語はどうでしょうか?いずれも広く使用されているため違和感無く使用している人が多いと思います。


しかし、剥離骨折は最近まで正式な医学用語ではありませんでした。整形外科の医学用語は、整形外科学用語集に掲載されているものが正式名称です。


私が整形外科医になったときに購入した第4版では剥離骨折の記載はなく、裂離骨折のみでした。このため剥離骨折という用語を使用すると先輩医師から怒られたものです。


しかし、ICD10には裂離骨折ではなく剥離骨折が採用されています。ICD10はダメだなと思っていたのですが、実は整形外科学用語集でも第8版から両者併記されているそうです。


このため、剥離骨折は医学用語ではないと思っていたのは私の誤りであることが判明しました。どうやら
時代の流れに取り残されていたようです...。



一方、MRIで高輝度や低輝度という表現を使用する人が居ますが、正確には高信号や低信号(intensity)です。「輝度」という表現法は素人っぽい間違いなので注意しましょう。


CTでは density(濃度)ですが、慣用的に高信号や低信号が使用されているようです。このため、MRI、CTとも高信号や低信号という用語を使っていると問題なさそうです。


結構立場が上の人でも「輝度」という用語を使用している場面を散見します。用語が間違っていると、素人っぽくて恥ずかしいので注意が必要だと思いました。






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インパクトファクターのインフレ率がすごい!

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先日、自分の学位論文をPubMedで検索する機会がありました。興味本位で掲載されているジャーナルのインパクトファクターを確認したところ、驚愕の数字になっていました。


  • 2006年:0.2ぐらい?
  • 2020年:2.7


マジですか...インパクトファクターが10倍に跳ね上がっています。久しく英語論文を書いていないので、現在のインパクトファクター2.7のレベル感がイマイチ分かりません。


私が学位を取得した2000年台では、2.7ぐらいのインパクトファクターはそこそこ自慢できる数字だった記憶があります。それでは現時点ではどうなのでしょう?


調べてみると、インパクトファクターが 4未満しかないとまともな論文とはみなされないようです...。ずいぶんインパクトファクターのインフレが発生しているようです。


当時はインパクトファクターが 1未満だと少し恥ずかしかったので、レベル感で言うと今とあまり変わらないのかもしれません。


つまり表面上の数字は大きくなっているものの、実質的な評価は変わらないという、まさにリアルワールドのインフレのような状況です。


自分の投稿した雑誌の評価が上昇したのではないことは残念ですが、世の中そんなに甘くないことが良く分かりました。






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