整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

学術

体外衝撃波治療は尿路結石だけではなく整形外科でも有用

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Monthly Book Oethopaedicsの2021年 7月号は整形外科領域における体外衝撃波治療の実際でした。体外衝撃波(Extracorporeal shockwave therapy : ESWT)は尿路結石で有名です。


ところが、上腕骨外側上顆炎の治療では、ストレッチとステロイド注射以外にも、PRP療法(多血小板血漿療法)と体外衝撃波療法があることを知りました。


ESWTには深部に集束させて高エネルギーの衝撃波を作用させる集束型衝撃波治療(FSWT)と、浅い領域に圧力波を拡散させる拡散型圧力波治療(RPWT)があります。


FSWTは身体の深部にあるターゲットに対して、強い物理作用によってその部位の細胞や組織を破壊する一方で、周囲組織の細胞を活性化させて修復を促す作用があります。


一方の RPWTは、皮下の筋肉や筋膜などの浅い領域に作用して筋緊張緩和や筋膜の滑走改善を得られるため、主にスポーツ現場やリハビリテーションで使用されています。


FSWTの主な対象疾患は下記のごとくです。
  • 上腕骨外上顆炎
  • 肩石灰沈着性腱炎
  • アキレス腱付着部炎
  • 足底腱膜炎
  • 骨折の偽関節や遷延癒合


一方の RPWT主な対象疾患は下記のごとくです。
  • 上腕骨外上顆炎
  • アキレス腱付着部炎
  • 足底腱膜炎
  • 関節拘縮


両者ともオーバーラップしている疾患が多いですが、趨勢としては ESWTの方が優勢のようです。保険適応は難治性足底腱膜炎のみのようなので基本的には自由診療になります。


保険適応がほとんど無い現状では厳しいですが、これらの疾患に対して ESWTが効果があるという知識だけでも知っておく必要がありそうです。






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剥離骨折や高輝度はスラングな医学用語なのか?

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整形外科医であれば関節捻挫という傷病名の使用に対して多少の抵抗感があるのではないでしょうか。これらのゴミ箱的傷病名は診断努力を放棄している証左とみなされるからです。


一方、剥離骨折や MRIでの高輝度、低輝度といった用語はどうでしょうか?いずれも広く使用されているため違和感無く使用している人が多いと思います。


しかし、剥離骨折は最近まで正式な医学用語ではありませんでした。整形外科の医学用語は、整形外科学用語集に掲載されているものが正式名称です。


私が整形外科医になったときに購入した第4版では剥離骨折の記載はなく、裂離骨折のみでした。このため剥離骨折という用語を使用すると先輩医師から怒られたものです。


しかし、ICD10には裂離骨折ではなく剥離骨折が採用されています。ICD10はダメだなと思っていたのですが、実は整形外科学用語集でも第8版から両者併記されているそうです。


このため、剥離骨折は医学用語ではないと思っていたのは私の誤りであることが判明しました。どうやら
時代の流れに取り残されていたようです...。



一方、MRIで高輝度や低輝度という表現を使用する人が居ますが、正確には高信号や低信号(intensity)です。「輝度」という表現法は素人っぽい間違いなので注意しましょう。


CTでは density(濃度)ですが、慣用的に高信号や低信号が使用されているようです。このため、MRI、CTとも高信号や低信号という用語を使っていると問題なさそうです。


結構立場が上の人でも「輝度」という用語を使用している場面を散見します。用語が間違っていると、素人っぽくて恥ずかしいので注意が必要だと思いました。






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インパクトファクターのインフレ率がすごい!

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先日、自分の学位論文をPubMedで検索する機会がありました。興味本位で掲載されているジャーナルのインパクトファクターを確認したところ、驚愕の数字になっていました。


  • 2006年:0.2ぐらい?
  • 2020年:2.7


マジですか...インパクトファクターが10倍に跳ね上がっています。久しく英語論文を書いていないので、現在のインパクトファクター2.7のレベル感がイマイチ分かりません。


私が学位を取得した2000年台では、2.7ぐらいのインパクトファクターはそこそこ自慢できる数字だった記憶があります。それでは現時点ではどうなのでしょう?


調べてみると、インパクトファクターが 4未満しかないとまともな論文とはみなされないようです...。ずいぶんインパクトファクターのインフレが発生しているようです。


当時はインパクトファクターが 1未満だと少し恥ずかしかったので、レベル感で言うと今とあまり変わらないのかもしれません。


つまり表面上の数字は大きくなっているものの、実質的な評価は変わらないという、まさにリアルワールドのインフレのような状況です。


自分の投稿した雑誌の評価が上昇したのではないことは残念ですが、世の中そんなに甘くないことが良く分かりました。






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骨粗鬆症性椎体圧迫骨折(OVF)の予後不良因子

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最近、骨粗鬆症性椎体圧迫骨折(OVF; Osteoporotic Vertebral Fracture)の重症化を予見できたか否かで問題になった症例がありました。









手元にある資料を精査すると関節外科の2021年5月号に特集がありました。関節なのに脊椎が載っているのは面白いですね(笑)。拝読すると、一番最初にお目当てがありました。


大阪市立大学の寺井秀富先生の報告ですが、要約すると OVFの予後不良因子はMRIでの下記2つの所見だそうです。


  • T1WI T2WIにおいて低信号領域が受傷椎体面積中50%以上を占める
  • T2WIにおいて高信号領域(髄液と同程度)を認める


T2WIの高信号領域は cleftを形成する予兆となりそうなので理解しやすいですが、T1WIでの広範囲低信号領域は初めて知りました。言われてみるとそのような傾向はありそうです。


すべての症例でMRIを撮像するわけにはいきませんが、単純X線像で強い椎体圧壊や cleftを認めた場合には MRIでの予後不良リスク検索が推奨されています。なるほどですね!






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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

早期膝OAでは MMEとメトホルミンに注目?!

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今月号の関節外科(Vol.40 No.7 2021)の特集は、早期変形性膝関節症の診断と治療でした。ざっくり拝読しましたが、なかなか興味深かったです。







早期変形性膝関節症の病態が分かれば、膝関節OAの予防治療が可能になります。そんな興味も相まって通読してみました。早期膝OAと画像所見の関係は下記のごとくです。


  • 早期膝OAでは半月板逸脱(MME)の発生率は44%あり、骨棘と強い相関がある
  • 早期膝OAでは 骨髄異常陰影(BML)有病率は 52%あり、膝関節痛と相関した


早期膝OAでは、半月板逸脱(MME)と骨髄異常陰影(BML)の両者と関係がありそうです。BMLは肌感覚として分かりますが、MMEは股関節外科医的には新鮮な病態でした。


おそらく
  1.  MME+骨棘形成
  2.  内側半月変性
  3.  軟骨下のマイクロフラクチャー
  4.  BML
  5.  膝関節痛誘発
という流れなのでしょう。


治療編では、装具療法と薬物療法が興味深かったです。まず装具療法ですが、outer wedgeのMMEに対する抑制効果をエコーで確認していました。


一時期、outer wedgeは効果が無いと言われて過去の遺物となっていましたが、MMEの存在や関節エコーの登場によって復活したようです。なかなか感慨深い...。


薬物療法ではメトホルミンが TKAに至る確率が低かった一方で、スタチンは経時的に単純X線像所見が悪化したそうです。両方とも予防効果がありそうですが分からないモノですね。







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