グロインペインってご存知でしょうか?
鼠径部痛(groin pain)のことで、スポーツ選手に多いそうです。
私はグロインペインという概念を知らなかったのですが、今月号の MB Orthop. 34(8) 2021の特集が難治性グロインペインだったので興味深く拝読しました。
臨床的には下記のように分類されるそうです。
- 鼠径部痛 ①内転筋関連 ②腸腰筋関連 ③鼠径部関連 ④恥骨関連
- 股関節関連の鼠径部痛
- その他(腫瘍等)
最も多いのは鼠径部痛で、恥骨結合(pubic plate)が破綻している症例が多いです。内転筋や腸腰筋は恥骨結合と密接に関係しており、それらの過負荷で恥骨結合破綻にいたります。
画像では MRIが重要で、恥骨結合周囲の恥骨骨髄浮腫や secondary cleft signという、恥骨結合のヘルニアのような所見が認められることが多いそうです。
治療はリハビリテーションなどが主体で、専門施設での治療によって数ヵ月程度でスポーツ復帰する症例が多いとのことでした。
プロレベルの選手を扱うのは限られた施設なので、一般的な整形外科医が治療にあたることはありませんが、知識としてグロインペインを知っておく必要があると思います。
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