整形外科医のブログ

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下腿

脛骨遠位骨端離解の治療

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今日の午前は外来でした。
10歳の男児が転倒してから右足関節が痛いとのことで初診されました。


単純X線像では脛骨遠位骨端離解(Salter-Harris type 2)でした。転位が小さい場合、側面像で腓骨の斜骨折と紛らわしいことがありますが、健側比での脛骨遠位骨幹端の形状から脛骨の骨端離解であることが分かります(下図はCTです)。


P1060528




通常の足関節外側靱帯損傷や腓骨遠位骨端離解と比べて、脛骨遠位骨端離解では足関節周囲の腫脹が高度なので局所の重症感があるのが特徴です。私が経験した症例は転位が10mm未満のことが多いです。


治療ですが、転位が大きい場合には徒手整復が必要です。足関節前面からカウンターを掛けて踵部を前方方向に力一杯押すと整復されます。


ただし完全に整復することは難しく、整復後にも側面像で2-3mm程度の転位が残存するケースが多い印象です。この程度の転位はある程度許容せざるを得ないのかなと考えています。


整復後は足関節中間位でのギプスシーネ固定を施行します。足関節を背屈する方が骨折部が安定しますが、背屈位までなかなか持っていけないことが多いです。


尚、同じ脛骨遠位骨端離解であっても、Salter-Harris type 3は手術が必要なことが多いです。この骨折はjuvenile Tillaux fractureと言われる骨折で、転位がある場合には手術適応です。



juvenile Tillaux fracture





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切断術では動脈内ステントに注意!

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今日の午前は足部壊疽に対する下腿切断術でした。この方は閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して他院で血管内治療を施行されましたが、残念ながら壊疽を併発しました。


総腸骨動脈から膝窩動脈まで広範に閉塞していたようで、なんとステントを総腸骨動脈から膝窩動脈まで継ぎ目無く約45cmも留置されていました。ステントの材質はチタン製なので単純X線像で確認可能です。


下腿中央にも壊疽を併発しかけていたので、本来なら大腿切断術の方がより安全だと思います。しかし、この方は膝関節面より約3cm末梢の膝窩動脈までステントが留置されていました。


もし、ステントが留置されている部位で膝窩動脈を切断した場合、ステント越しに結紮できるのかが不明です。循環器内科のドクターに確認しても経験が無いので分からないとのことでした。


ステント部に血流が保たれていると考えると、その部位で切断した場合には動脈断端の処理が不可能かもしれません。このため膝窩動脈ステント部ぎりぎりの下腿切断で対応することにしました。


ここまで、短断端の下腿切断術は初めての経験でしたが、できるだけ中枢側で切断しようとすると仕方ありません。術後単純X線像ではステントよりも約2cm末梢で切断できていました。


仮にステント部で切断しても結紮できるかもしれませんが、心臓血管外科医が居ない施設ではリスクを取ってステント部で切断する意味は少ないと考えます。


そして、下肢切断術を検討する症例ではステントや人工血管が留置されているケースも多々あるので、これまでの経過と単純X線像でステントの有無を確認することは絶対必要だと思いました。



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脛骨髄内釘の抜釘術

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昨日の午後は脛骨髄内釘の抜釘術でした。
髄内釘挿入部に骨形成していたためかなりの骨切除が必要でした。


更に10mmのエンドキャップだったので、髄内釘の頭が脛骨内深くに埋まっていました。エンドキャップ周囲は全て骨なので、抜去器を挿入する方向が限られて非常にタイトな術野でした。


一応、テーパー型の抜去器も用意していたので事なきを得ましたが、初回の骨折時の手術で長いエンドキャップを選択するのは問題があるなと感じました。


もちろん、数mm単位でぴったりの長さの髄内釘を予め選択することは不可能ですが、初回手術時から抜釘のことを考えて髄内釘を深く挿入し過ぎないことも重要だと思いました。


髄内釘の頭が脛骨前面と面一になる深さでに留めることに拘って骨折部の安定性が損なわれれば本末転倒ですが、少しの差であれば抜釘時のことも考えるべきなのかなと感じました。




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シンスプリント(Shin splints)の診断・治療

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今日の午前は外来でした。3週間前に受診した中学生が、まだ下腿内側の痛みが続くとのことで再診されました。この中学生はハードにバトミントンをしているとのことです。


以前にも記事にしましたが、スポーツをする人が下腿の痛みを訴えて受診することがときどきあります。急激な発症でないかぎりは鑑別診断として下記2つが挙げられます。


  1.脛骨疲労骨折
  2.シンスプリント(Shin splints)


シンスプリントは、脛骨過労性骨膜炎とよばれています。原因は下腿伸筋群の起始部の炎症です。好発部位は下腿遠位1/3といわれていますが、なんとなく脛骨内側が全体的に痛いという方が多いように思います。


今日の患者さんは下腿内側を中心になんとなく腫れているような所見がありました。脛骨の軸圧痛はなく、単純X線像もやはり特記する所見を認めませんでした。


初診では疲労骨折(好発部位は脛骨近位1/3)との鑑別が難しいです。まずシンスプリントだと思っても完全に疲労骨折を否定することができないのです。


しかし、今日の患者さんのように3週間経って単純X線像の所見がなければ、さすがに疲労骨折の可能性は低いと思います。


治療は、安静と伸筋群のストレッチです。難治例では足部アーチサポートが有効な場合もあります。痛みで困っているようなので鎮痛剤を処方しようかとも思いましたが、未成年には鎮痛作用はあまり高くないカロナールしか選択枝が無いので処方しませんでした。学生の診察には気を使いますね・・・。




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見逃されやすい下腿三頭筋の筋腱移行部損傷

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昨夜は当直でした。20歳台の男性がバトミントンで着地した際、下腿後面に激痛が出現したとのことで受診されました。


診察するとアキレス腱のレリーフが目視でも触診でも確認できますが、Thompson testは陽性でした。圧痛点はアキレス腱停止部から12cm程度中枢です。


部位から判断して下腿三頭筋の筋腱移行部損傷と診断しました。たまに診る機会がありますが、アキレス腱のレリーフがあることと、足底筋や足趾屈筋の力である程度は足関節底屈できるので注意が必要です。


部位が腓腹筋損傷と紛らわしいのですが、Thompson testが陽性なので鑑別可能です。治療は、アキレス腱断裂に準じたgravity positionでのギプス固定を行う必要があります。腓腹筋損傷と思って2-3週の外固定で終了すると著明な足関節底屈力の低下を残します。


病態的にはアキレス腱損傷なので、見逃すとかなりやっかいなことになります。したがって、私は腓腹筋損傷と思っても全例にThompson testを施行するようにしています。



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