今日の午前は外来でした。
10歳の男児が転倒してから右足関節が痛いとのことで初診されました。
単純X線像では脛骨遠位骨端離解(Salter-Harris type 2)でした。転位が小さい場合、側面像で腓骨の斜骨折と紛らわしいことがありますが、健側比での脛骨遠位骨幹端の形状から脛骨の骨端離解であることが分かります(下図はCTです)。
通常の足関節外側靱帯損傷や腓骨遠位骨端離解と比べて、脛骨遠位骨端離解では足関節周囲の腫脹が高度なので局所の重症感があるのが特徴です。私が経験した症例は転位が10mm未満のことが多いです。
治療ですが、転位が大きい場合には徒手整復が必要です。足関節前面からカウンターを掛けて踵部を前方方向に力一杯押すと整復されます。
ただし完全に整復することは難しく、整復後にも側面像で2-3mm程度の転位が残存するケースが多い印象です。この程度の転位はある程度許容せざるを得ないのかなと考えています。
整復後は足関節中間位でのギプスシーネ固定を施行します。足関節を背屈する方が骨折部が安定しますが、背屈位までなかなか持っていけないことが多いです。
尚、同じ脛骨遠位骨端離解であっても、Salter-Harris type 3は手術が必要なことが多いです。この骨折はjuvenile Tillaux fractureと言われる骨折で、転位がある場合には手術適応です。
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