リハビリテーションの分野では、国の政策誘導のために(?)、外来よりも入院リハビリテーションの方が点数が高いです。
外来リハは入院リハに比べて単価が低いにも関わらず、予約時間に来ない・ドタキャンされると収益的に大打撃を受けるなど、医療機関にとってはロクなことがありません。
このため、病院としては外来リハはできるだけ受けないという選択をせざるを得ません。しかし、整形外科で手術した患者さんなどは受けざるを得ないことも多いです。
術後患者さんは例外的に外来リハを施行していますが、ここでも難関が控えています。それはリハ前診察です。単なる儀礼的なモノですが、これを省略することはできません。
建前上は、外来リハが可能か否かの判断を行うことになっていますが、他の医師が担当の患者さんは治療内容がブラックボックスなので形式的なモノにならざるを得ません。
一方、患者さんは診察室に通されるんだから、アレもコレも医師に伝えようとします。しかし、他の主治医の外来リハ患者さんに下手な説明はできません。
更に、外来リハも PT や OT のスケジュールに組み込まれているため、開始時間が遅れるわけにはいきません。遅刻すると、その間の時間が機会損失になるからです。
限られた医療資源を考えると、リハビリテーション特化施設でもないかぎり、意味のある外来リハ前診察を実践することなど不可能です。
理想論ではきっちりリハビリテーション前の評価を行うべきなのですが、医療資源は有限であるという視点が抜け落ちている気がするのは私だけでしょうか?
リハビリテーション
私は回復期リハビリテーションも担当しています。
回復期病棟においては、自宅退院率の上昇が喫緊の課題です。
その観点から、自宅退院を促す因子として下記が重要だと感じています。
- 住居形態
- 同居する家族の有無
まず①の住居形態ですが、戸建てよりもマンションの方が自宅復帰率が高いです。戸建てには階段や段差があるため、体力の衰えた高齢者には自宅復帰のハードルが高くなります。
一方、マンションに関しては基本的にエレベーター付きの物件が多く、またバリアフリーに近いマンションが多いため、戸建に比べると退院がスムーズな印象です。
次に②の同居する家族の有無ですが、こちらは独居よりも同居家族がいる方が何かと援助を得やすいため、自宅退院がしやすい印象です。
私は不動産投資家なので、余程の好立地物件以外は、区分所有マンションは投資不適格と考えています。
このため、私自身では区分所有は所有しておらず、1棟マンションもしくは戸建てが不動産のメインポートフォリオです。
しかし、もし自分が高齢者になった場合のことを考えると、いくら立地が良くても戸建は生活が不便になるので、区分所有マンションに引っ越すかもしれないと感じています。
投資的な感覚と高齢者にとっての居住性との間には、ミスマッチが存在しているのではないかと思う今日この頃です。
手指の関節捻挫や骨折の治療の際、私はテーピングテープを使用することが多いです。12mm幅のテーピングテープを多用しており、患者さんにも勧めています。
しかし、ドラッグストアで購入すると、テーピングテープは意外と高いんです。以前、近くのドラッグストアで300円ほどで売られているのを目撃したことがあります。
う~ん、高いなぁ。。。私がメインで勤務している医療機関では130円で販売しています。これなら、ドラッグストアで購入するよりも断然リーズナブルです。
患者さんにも病院での購入を呼び掛けていましたが、近くの100円ショップで12mm幅のテーピングテープが売られているのを発見しました! もちろん、108円です。
おおっ、最安値を見つけてしまった。。。ただ、コレを患者さんに勧めるかというと、それは無いなと思いました。
たかだか20円を節約するために、わざわざ100円ショップに行く人は居ないでしょう。今回は、テーピングテープは病院で購入しましょうというオチです。
しかし、病院周囲の市場調査は、整形外科医(もしくはリハビリテーション医)としてはやっておくべきだと思います。
調査対象は、テーピングテープだけではなく、杖などのホームセンターやドラッグストアでも購入可能なモノです。相場感があると、名医にみられること間違いなしでしょう(笑)。
先日の外来で患者さんに、ケアマネさんから勧められた介護用品のパンフレットを見せられました。そのパンフレットにはACSIVEという商品が載っていました。
ACSIVEとは何ぞや? と思って外来終了後に調べるとなかなか面白そうだったのでご紹介させていただきます。
ACSIVE(アクシブ))とは、無動力の歩行支援機で、歩行能力の弱った人の歩容を整える目的で、名古屋工業大学の佐野明人教授が開発されました。
『受動歩行』理論に基づいて作られており、電気やモータなどを使わず、バネと振り子の動きが作用し脚の振り出しをアシストします。下記に動画がありました。
電気やモーターなどを使用せず、重力とバネの力だけで歩くので、軽くて静かだそうです。これはなかなかすごい発明ですね!
販売価格は片脚用194400円、両脚用378000円です。月額10800円でレンタルも可能なようです。比較するなと怒られそうですが、HALと比べると圧倒的にシンプルで安価です。
実際に装着していないので何とも言えないですが、歩くのが億劫になってきた高齢者の歩行サポートにはよい商品かもしれません。 いろいろな商品があるモノですね。
先日話題になった 駄ネタ:あなたの1/3 PWBはいくら? の関連事項です。私はリハビリテーション室に足げに通っています。
駄ネタ:事件は現場で起きてるんだ!
理由は上記に記載していますが、やはり現場(=リハビリテーション室)で回診することは、患者さんの回復具合を確認するのに非常に都合が良いです。
そして、多職種での回診もリハビリテーション室で行うことにしています。回診といえば、大学病院での教授回診を連想します。
しかし、医師・パラメディカルによる多職種でカンファレンスするメリットがあるとは言え、大学病院のようなベッドサイドで行う回診では効果が半減します。
やはりリハビリテーション室で、実際の患者さんの回復具合を皆で確認しながらカンファレンスする方が、多職種で行う回診のメリットを最大限得ることができると思うのです。
例えば、地域連携室のスタッフから自宅の2Fで生活しているという情報が出ると、では階段昇降の状態を確認しましょうとなります。
その場で実際に患者さんに階段昇降してもらうと、十分な昇降能力を獲得できているか否かを全職種が理解できます。報告を読み上げるカンファレンスとは、臨場感が違います。
そこで、住宅改修が必要となると、介護保険の区分変更を申請する等の意思決定を、その場で直接下すことができます。これは業務時間の短縮にもつながります。
業務はできるだけ効率良く、そして患者さんをはじめ全職種のメリットになるにはどうすればよいのか? 常に改善方法を考えながら業務を行うことが吉ではないでしょうか。
- 今日:
- 昨日:
- 累計: