整形外科医のブログ

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がん検診

がん検診のトリビア

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日本整形外科学会雑誌のVol.91 No.7 July 2017の423-427 シンポジウム【がん診療の常識への挑戦】で、興味深い論文が記載されていました。


国立がん研究センター社会と健康研究センターの津金昌一郎先生による「がんの早期発見・検診は良いことばかりなのか」です。


「がん検診は百害あって一利なし」という極論を言う医師は論外としても、津金先生は「がん検診には害もあるが利益もある」が正解だと考えています。




がん検診の利益=死亡率減少効果


がん検診により、死亡率減少効果の有無を検証する最も質の高い研究は、ランダム化比較試験(RCT)です。複数のRCTのメタ解析で死亡率低下効果があったのものは下記です。

  • マンモグラフィー検診による乳がん死亡率15%低下
  • 便潜血検査検診による大腸がん死亡率16%低下
  • 重症喫煙者に対する低線量肺CT検診による肺がん死亡率20%低下



がん検診の最大の不利益=過剰診断


マンモグラフィー検診やPSA検診の普及で罹患率が急速に高くなるが、その増加に見合う進行がん罹患率や死亡率低下は確認されていません。


50歳の女性1000人がマンモグラフィー検診を10年間受けたと仮定すると、200~500人が偽陽性を経験、このうち50~200人が生検をうけ、5~15人が乳がんと診断されます。


RCTからのエビデンスに基づくと、この中で検診により乳がんによる死亡を回避できたのは1人、2~10人が過剰診断と推計されています。


1000人の10年間の検診で1人の死亡を回避できるが、多くの偽陽性と過剰診断という不利益を生む可能性が示唆されています。


2013年のコクラン・レビューの出しているリーフレットでは、近年の乳がん治療の進歩を考慮すると、マンモグラフィー検診は死亡率減少効果はないかもしれないと記載されています。


一方、55~69歳の男性1000人が1~4年ごとにPSA検査による前立腺がん検診を10年にわたり受けたと仮定すると、100~120人が偽陽性となり、110人が前立腺がんと診断されます。


このうち50人が治療合併症に悩まされ、0~1人が検診により前立腺がんを回避できる一方、それでも4~5人が前立腺がんにより死亡すると推計されています。


前立腺がんの5年相対生存率は全体で97%、ステージ1~3まで100%、ステージ4で58%であるので、遠隔転移がなければステージを前倒しにして診断する意味がありません。




米国における、がん検診推奨状況


米政府の予防医学作業部会は、検診を下記のように分類しています。下記AとBについては、健康保険による無償提供が義務付けられています。


A: 総合的利益が大きいことが確実
B: 総合的利益が中程度であることは確実であるが大きいとまでは確信できない
C: 総合的利益が小程度であることが確実
D: 総合的利益が無い、あるいは不利益が上回ることがおそらく確実




A: 総合的利益が大きいことが確実
  • 50~75歳を対象とした便潜血、S状結腸鏡、大腸内視鏡による大腸がん検診
  • 21~65歳を対象とした3年ごとの細胞診による子宮頸がん検診
  • 30~65歳を対象とした5年ごとの細胞診とHPV検査併用による子宮頸がん検診


B: 総合的利益が中程度であることは確実であるが大きいとまでは確信できない
  • 50~74歳を対象とした2年ごとのマンモグラフィーによる乳がん検診
  • 50~80歳の喫煙指数30以上の喫煙者、あるいは禁煙後15年以内の過去喫煙者に対する肺低線量CTによる肺がん検診


C: 総合的利益が小程度であることが確実
  • 40~49歳を対象としたマンモグラフィーによる乳がん検診
  • 76~85歳を対象とした大腸がん検診


D: 総合的利益が無い、あるいは不利益が上回ることがおそらく確実
  • PSA検査による前立腺がん検診
  • 卵巣がん検診
  • 85歳以上に対する大腸がん検診
  • 65歳以上に対する子宮頸がん検診



診断されなければ告知されることなく、治療やそれによる合併症、心理的・経済的負担に悩まずハッピーな人生を過ごし、他の病気で亡くなるシナリオがあるかもしれません。


津金先生がおっしゃられるように、利益が不利益を上回るエビデンスが確立していない早期発見のための検査・検診は提供しない、受けない方が良いのかもしれません。






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ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。







PET健診を受けてきました!

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昨日は、健診でPET-CTを受けてきました。
目的は、全身のがん検診です。


以前のブログに書きましたが、私は生活習慣病に関しては年2回は職員健診を受けているので、少なくとも治療が必要なレベルの疾患は無いことを把握できています。


残るは癌なのですが、全身の癌を一網打尽に発見するスクリーニングとしては、やはりPETが第一選択です。スクリーニング目的のPETは保険適応でないため検査費用は自費となります。


最近ではPETを導入している施設が多いため価格競争が発生しており、
安ければ8万円程度でPET-CTを受けることができる施設もあります。


インターネットで調べた限りでは、全国的にみて7万円台が最安値のようです。
しかし、私の居住地域では軒並み10万円を超えていました。


PET健診の費用に関しては、需給関係のためか都心部で高く、地方になるほど安くなる傾向にある印象でした。そこで隣の県のPET健診を調べると、8万円前後が相場のようでした。


自宅から徒歩圏内にある画像センターが10.5万円で、自動車で1時間ほど掛かる隣の県の病院は8万円だったので少し迷いました。


結局、夫婦で受けるため両施設の差は5万円となります。往復2時間で5万円の差は大きいと考え、ドライブがてら隣の県の病院でPET健診を受けることにしました。


午前のPET健診だったので当日は絶食でした。問診後に地下のPETエリアに移動してFDGを静注してもらいました。鉛入りガラス越しに、看護師さんがFDGを注入したのが印象的でした。


FDG静注後は60分ほど薄暗い部屋で横になりました。その後25分かけて撮像を行います。検査はあっけないほど簡単に終了しました。これは楽で良い検査ですね。


PET-CTのデータは放射線科医師の読影レポートと一緒に1ヶ月後に郵送されてくるのですが、昨日は特別にデータをCD-Rに焼いていただいて来ました。


昼食を食べながら自分のPET-CTの画像を拝見しましたが、なかなか興味深かったです。夕方に大学からMRIやCTの読影に来ている放射線科医師に読影してもらいました。


謙遜かもしれませんが、PET-CTの読影技術は少し特殊で経験値が必要なため、PET-CTを受けた病院の放射線科医師の読影の方が信頼がおけると思います と言われました(笑)。



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 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)


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