整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

ばね指

手指のロッキングには注意を

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先日の外来で、中指のロッキングを主訴に患者さんが初診されました。
この方は50歳台の女性で、この2~3ヵ月で数回ほど中指の伸展が不能となったそうです。


今までは徒手整復が可能だったようですが、その日は全く伸びなくなったので受診されました。以前、
MP関節のロッキングを経験したので、少し身構えて診察を行いました。


身体所見では、MP関節・PIP関節・DIP関節ともに60度程度で屈曲しています。PIP、DIPとも動かせなかったので、どうやら屈筋腱がA1 pullyで固定されている通常のバネ指のようです。


一応、バネ指の診断でステロイド腱鞘内注射を施行して緩徐にマニュピレーションを施行したところ、ロッキングは解除されました。


自動で中指を屈伸してもらうと、A1 pullyでクリックを触知しました。やはり、バネ指のようです。MP関節のロッキングの場合には、当然A1 pullyでのクリックを触知しません。


両者は、ロッキング時のPIP関節およびDIP関節の可動域制限の有無で鑑別できます。バネ指ではPIP・DIP関節とも動かせないですが、MP関節ロッキングでは可動域制限が無いのです。


MP関節のロッキングの場合には、下手にロッキングを解除すると手術の際に難渋します。このため、初診時に正確に鑑別することが治療のポイントだと思います。



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示指MP関節ロッキングの治療法

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示指MP関節ロッキングをバネ指と誤診するところでした のつづきです


示指MP関節ロッキングの診断のポイントは、MP関節が屈曲位をとり伸展できないのですが屈曲はできることです。徒手整復を試みて成功しなければ手術が必要となります。


ロッキングの原因は中手骨骨頭のvolar lipという骨棘に副靭帯(fan like portion)がインピンジすることで発生します。手術では副靭帯(fan like portion)および骨棘(volar lip)を切除します。


さて、ロッキングは示指の橈側が原因であることがほとんどですが、圧痛点がMP関節橈掌側に
あることで最終確認します。もし、尺掌側であれば尺側を展開しなければならないからです。


アプローチは示指の橈側が原因であれば、側方アプローチが容易です。皮下を展開して伸筋腱膜を末梢に引くと副靭帯(fan like portion)が見えるので起始部で切除します。


どちらが原因側か不明の場合には掌側からアプローチしますが、術野は比較的深いです。通常の腱鞘切開術と同様に腱鞘を切開して屈筋腱を避けます。腱鞘の外側縁を関節面が見えるまで切離することで副靭帯(fan like portion)の停止部を切離することになります。


尚、注意点としてはロッキングを最終段階まで極力解除しないことです。理想的は副靭帯(fan like portion)を切離した瞬間にロッキングが解除されることです。原因個所が判定することが難しいので、術前からロッキングが解除されている症例に手術を行ってはいけません。




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示指MP関節ロッキングをバネ指と誤診するところでした

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先週の金曜日は、示指MP関節ロッキングに対する手術でした。
この方は30歳台の女性で、かばんを握った瞬間から示指MP関節の完全伸展が不能となりました。


ここ数年間は1ヵ月に 1度程度ロッキング症状があったそうですが、徒手整復が可能だったようです。近くの整形外科開業医からは”バネ指”だと言われていたとのことです。


今回もロッキングが出現したので同じ医院を受診しました。バネ指の診断でステロイド腱鞘内注射を施行されたのですが、ロッキングが解除されないため当院を初診されました。


初診時の所見はMP関節が90-30-0と完全伸展が不能でしたが、PIP関節およびDIP関節には可動域制限がありませんでした。バネ指によるロッキングだとすれば屈筋腱がA1 pullyで固定されるのでPIP、DIPとも動かせないはずです。


同門の先輩ドクターの奥様も示指MP関節ロッキングを発症したそうです。その先輩は自分の奥様を”バネ指”と診断して腱鞘切開術を施行しました。しかしロッキングが解除されなかったため、家族内での威厳が地に落ちたという笑い話がありましたが、確かに紛らわしいです。


ちょうど大学の手の外科医師が出張しに来られる日だったので、相談したところ示指MP関節ロッキングであることに気付いたのです。私の手の外科を紐解くと詳細にロッキングのメカニズムや治療法が載っていました。


大学の手の外科医師がおっしゃられるには、大学で10年以上診療しているにも関わらず、私の手の外科に載っていない症例をほとんど経験したことが無いそうです。なるほど20カ国以上で翻訳されて、世界中の手の外科医のバイブルとなっていることも納得できます。


示指MP関節ロッキングの治療法 につづく



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digital snapping finger ?

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今日の午前は中指基部の軟部腫瘍?の手術でした。
主訴は皮下に触れる米粒大の大きさの腫瘤に、モノが当たると痛いというものでした。


触診では皮膚直下に腫瘍がありそうでしたが、展開しても正常な軟部組織しかありませんでした。指先で探ると屈筋腱鞘上に米粒大の腫瘤を触知しました。


屈筋腱鞘を展開すると、A2プーリー上に5mm×7mm程度の瘢痕様組織があることを確認しました。指先で触知すると確かに術前から触れていた感触です。


少し迷いましたが、思い切って腫瘤部分のみ切除しました。瘢痕様組織はA2プーリーと連続していました。これは、A2プーリー部での屈筋腱鞘炎(digital snapping finger)だったのかもしれません。


屈筋腱鞘炎は、ほとんどの症例でA1プーリー部に発生します。しかし、A2、3 プーリー部にも頻度は少ないですが発生することがあり、これらを総称してdigital snapping fingerというそうです。


注意点としては、bow stringsを併発して筋力低下や深屈曲不能となることがあるので、A2プーリーの遠位1/3の切離は避ける必要があります。





狭窄性屈筋腱鞘炎(ばね指)に対する経皮的腱鞘切開術

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今日の午前は、外来でした。
2ヶ月前発症の環指狭窄性屈筋腱鞘炎(ばね指)の方が初診で来ました。


普段ならまず腱鞘内注射で様子をみるところですが、かなりきついスナッピングだったので経皮的腱鞘切開術を施行しました。腱鞘炎による痛みが主訴の方には腱鞘内注射が有効ですが、スナッピング(引っかかり)が主訴の場合にはあまり効果が無いと思っています。


経皮的腱鞘切開術をマスターすると結構重宝します。腱鞘切開術をわざわざ手術室で施行していると、手術申し込みや指示出し等で時間を取られますが、診察室で手軽にできるので時間の節約になります。


コツおよび方法は、下記の如くです。
① 母指ばね指には手を出さない(直視下で従来通りに行う)
② 慣れないうちは素手(指先をイソジン消毒)で行う。グローブ越しでは指先の感覚が鈍ります。
② 18G針を皮下に刺入して、プローベで探る感覚で腱鞘表面に針先を進める 
③ 抵抗感のある組織(=腱鞘表面)に針先が到達した時点で、長軸方向に針先で表層からすこしずつ切離します。
④ 通常、1回では切離できないので4-5回往復することが多いです。
⑤ 切離の際に、耳で聞こえるほどの”ジャリジャリ”した切離音が聞こえます。


ピットフォールは、下記のごとくです。
① 術後にスナッピングは解除されても、”シャリシャリ感”が残存することがある 
② あくまで手術なので、当日の窓口支払いが高額になることを患者さんに説明しておく 
③ 間違っても、指神経や屈筋腱を切離しないでください!


初めての方は、先輩医師の手技を見て予習しておくべきでしょう。尚、応用編として変形性股関節症に対するTHA術後に内転拘縮が解除されない場合(=麻酔下でも外転10度程度以下)、経皮的に内転筋切離術を施行できるようになります。





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