整形外科医のブログ

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エコー

肋骨骨折でエコーの是非

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先日、メディカルトリビューンで興味深い記事がありました。肋骨骨折、エコーで診断したことがある人、手を上げて! です。


離島の総合診療科医師が、肋骨骨折をエコーで診断治療しているという記事です。肋骨骨折に対してエコーを利用することは最近よく耳にします。


整形外科的な感覚では割と斬新なアイデアなので、興味深く拝読しました。純粋な医学知識としてはなかなか楽しい記事です。 


しかし、忙しい外来の中で、単なる肋骨骨折に対してここまで施行するか? と言われると、なかなかそういうわけにもいかないことに気付きました。


そもそも、肋骨骨折のほとんどはバストバンドで経過観察するだけで問題なく治癒します。肋骨骨折の確定診断がなくても、実臨床で困ることはほとんどありません。


エコーをコスト計上しているのか否かは存じ上げませんが、グレーだったものを黒というためだけにコストを支払うかと言うと、患者さんの立場では少し微妙かなと感じました。


もちろん、このことは今回の記事を批判しているわけではありません。ただ、整形外科医の立場からすると、少し過剰診療のような気がしたので独りごとを言ってみました。





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骨折の診断にもエコーは有用!

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先日、運動器超音波(エコー)の講演を拝聴しました。整形外科領域におけるエコーと言えば、腱板損傷を始めとする肩関節疾患をまず最初に思い浮かべる方が多いと思います。


肩関節疾患以外では、関節リウマチ領域でのエコーも市民権を獲得しました。ところが、これ以外にも意外な使い方があったのでご紹介します。


それは、骨折に対するエコーです。骨折でエコー? そんなもの施行するまでもなく、単純X線像で充分だろうと思う方が多いと思います。実は私もそのひとりでした(笑)。


しかし、講演を拝聴して考え方が変わりました。私の考え方を変えたのは、小児の上腕骨外顆骨折に対するエコーでした。ご存知のように転位の少ない外顆骨折は診断が難しいです。



AP - コピー



上記の単純X線像では、後追いで診ると外顆骨折が何となく分かります。骨幹端に線状骨折を認めます。ただ、初診時に確信をもって診断するのは相当難しいのではないでしょうか?


この症例ではCTを施行して、外顆骨折の存在を確認しました。しかし、小児にCTを施行すると、ちょっと被爆量が心配です。


このような時にエコーに習熟していると外顆骨折も容易に診断できるそうです。操作方法は簡単で、上腕骨長軸方向にプローベをあてるだけです。


骨折部では骨表面の線状高エコー像に途絶があります。あと、周囲の軟部組織の腫脹や関節血腫も観察できます。講演を拝聴したかぎりでは、かなり有用そうです。


私の場合は、関節リウマチでエコーを習熟しているので、比較的ハードルは低いと感じました。今度、骨折を疑う症例を診察する機会があれば、エコーを試してみようと思いました。






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痛風発作ではdouble contour signが有用!

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痛風なのかその他の炎症性疾患なのかの診断が難しいケースにときどき遭遇します。痛風発作の際には尿酸値が低下していることがあるため、尿酸値も参考にしかなりません。


そのような際にエコーを用いて関節内を観察すると、痛風か否かの診断が可能なことが多いです。痛風発作の際には、関節内に尿酸ナトリウム塩結晶が沈着します。


無エコー像の硝子軟骨の深層に軟骨下骨皮質が高エコー線状像として観察され、硝子軟骨表層に沈着した尿酸ナトリウム塩結晶も高エコー線状像として観察されます。


硝子軟骨を挟んで深層に軟骨下骨皮質・表層に沈着した尿酸ナトリウム塩結晶がそれぞれ高エコー線状像を形成する所見をdouble contour signと言います(下図の矢印)。


double contour sign



( 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 瀬戸洋平先生の リウマチ科外来における関節超音波検査の有用性 から抜粋 )



double contour signは、尿酸ナトリウム塩結晶が沈着する痛風発作に特異的な所見です。そして、痛風の診断で有用なだけではなく、高尿酸血症の治療効果の判定にも有用です。


関節内の尿酸ナトリウム塩結晶は、血清尿酸値を6mg/dl以下に抑えることで徐々に消失します。血清尿酸値では結晶消失を直接確認できませんが、エコーを用いることで観察可能です。


経時的に関節内尿酸ナトリウム塩結晶沈着を示すdouble contour signを観察することにより、安定期における高尿酸血症の治療効果の判定にも有用なのです。



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他科の医師が伸筋腱損傷を診断するポイントは?

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昨日は午後から小指伸筋腱損傷の手術を行いました。
この方は、1週間ほど前に他院を救急受診して救急医によって皮膚縫合を受けていました。


週末に診療情報提供書を携えて私の外来を受診したのですが、どうも小指の伸展力が弱かったのです。紹介状にも専門外なので腱損傷の有無をはっきりとは確認できていないことが明記されていました。このように正直な診療情報提供書には好感を持てますし、実際的に前医には何の落ち度も無いと思います。


intrinsic muscles(手内在筋)があるので、伸筋腱損傷があっても手指のPIP関節とDIP関節の伸展は可能です。MP関節のみ完全伸展できないのですが、他科の医師が身体所見のみで伸筋腱損傷の有無を判別することは困難でしょう。


エコーで確認すればよいという意見があるかもしれませんが、これも整形外科専門医でなければ判定は困難と思われます。確かにエコーを施行すると腱断裂部を確認できましたが、関節リウマチの診断で伸筋腱を観察する機会が多いから可能なのです。


他科のドクターに伸筋腱損傷の診断に関してのアドバイスがあるとすれば、仮に伸筋腱が断裂していても手内在筋の働きで、手指はある程度伸展できる点かなと思います。そうは言っても他科の医師が自信をもって診断するのは相当難しいでしょうね・・・。




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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。
特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく
実践的な医学書です。




                                                   

                                        
            
手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








肘内障の病態は『輪状靭帯脱臼』!

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整形外科超音波画像の基礎と臨床応用 -見えるから分かる、分かるからできる-
日整会誌(J. Jpn. Orthop. Assoc.)86: 1057-1064  2012


第26回日本整形外科学会基礎学術集会で教育研修講演として発表された
城東整形外科の皆川洋至先生の論文の一部です。


下記に肘内障の病態の部分のみ要約します。


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・ 肘内障の病態は古くから橈骨頭の前方亜脱臼や腕頭関節内への輪状靭帯の嵌頓と考えられてきた

・ 関節エコーを使用して調べたところ、回外筋が輪状靭帯と共に腕橈関節内へ引き込まれるて発症することが判明した

・ 輪状靭帯から起始する先細りの回外筋が、輪状靭帯とともに腕橈関節内に引き込まれた像を「Jサイン」という

・ 輪状靭帯の消失、滑膜ひだの巨大化、回外筋の腕橈関節内への引き込み(Jサイン)は、肘内障の特徴的所見である

・ 肘内障の整復後も回外筋は高エコー像化するので、自然整復例も捕捉できる


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提示されているエコーが非常に分かりやすいので、原著を読むことを強くお勧めします。





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