昨日の午後の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。出張先で行う初めての手術だったので、普段以上に気を使いました。アウェーでの戦いはやはり緊張しますね(笑)。
THAにおいて手術台の種類は、カップの設置角度にかなり影響を与えます。最近はイメージ下に骨盤の傾きをニュートラルにするので、病院が変わっても設置角度のばらつきは小さくなりました。
昔はその病院での執刀記憶だけで、この病院のベットは柔らかいからカップの傾きは少なめに・・・、等の経験則に頼ったカップ設置でした。今にして思えばかなりファジーです。
手術台の特性によるカップ設置角度のばらつきは、この方法で回避できます。あと問題になるのは使い慣れた器具が無いことによる手術時間の延長です。これは事前に分からないことが多いです。
昨日の例では非常に深い術野の方だったので、大きなヘルニア鉗子がボトルネックになる器具でした。通常の鑷子では寛骨臼底に届かなかったのです。
2回目以降はそれほど苦労しないと思いますが、初回手術ではかなり念入りに下準備をすることをお勧めします。また、どれだけ下準備をしてもやり難さを感じることは覚悟しておくべきでしょう。
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術
カップ設置角度
今日の午前の手術は人工股関節全置換術(THA)でした。
THAのカップ設置角度は、外方傾斜角40度・前方開角20度ぐらいが理想といわれています。
ただ、この設置角度を実際の手術で常に再現することは意外と難しいです。
これをクリアする方法の一つとしてナビゲーションがあります。
しかし、大きな設備投資が必要なことや、レジストレーションの頻雑さを考えると全ての医療機関で導入することは難しいと思います。
私達は、単純X線の両股関節立位正面像に外方傾斜角40度・前方開角20度でのカップ設置することを目指しています。ナビゲーション無しで正確なカップ設置角度を得るために、麻酔導入後にイメージ下に両股関節立位正面像と同じように透視できるように手術台の傾きを調整します。
具体的には透視を使用して下記の調整を行っています。
①骨盤の傾きが床に対して90度になるよう手術台の傾きを調整する
②次に骨盤の前倒れ・後倒れの調整をする
③骨盤の傾斜角(前傾や後傾)を確認して、床にテープを貼付してインプランテーションの際の指標にする
この方法により、ナビゲーションを用いることなく、常に正確なTHAのカップ設置角度を得ることが可能となります。
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