先日、粉砕型の尺骨肘頭骨折の手術を施行しました。
術前の画像は斜位で見づらいですが、下記のごとく大きな第3骨片を伴っています。
粉砕型の肘頭骨折なので、通常の鋼線締結法以外にもロッキングプレートを用いた手術も検討することになります。少し迷いましたが、今回も通常の鋼線締結法を選択しました。
術後の単純X線像は下記のごとくで、大きな第3骨片は軟鋼線で上から抑え込んでいるため、特に追加の骨接合術は施行していません。とにかくシンプルさを追求しました。
私は、できるだけシンプルな手術を心掛けています。このため、人工関節はモジュラー型ではなく一体型でシンプルなもの、骨接合術では鋼線締結法などの安価で単純なものを好みます。
手技や機器が複雑になるほど、習熟度が問題となります。ひとりの医師が経験できる症例数は限られているので、汎用性の高いシンプルな手技に特化して経験値を上げる作戦です。
ちなみに、私は簡単な骨接合術であっても必ずイメージを使用します。今回の肘頭骨折では、側面像のイメージコントロール下に肘頭骨片からK-wireを刺入しました。
私の最初の師匠は、オープンリダクションではイメージ不要論者でした。しかし、イメージを使用すると確実性を見込めるので、私は師の意見に反してイメージを使います。
確かにイメージ無しでさっさと手術を終わらすのは整形外科医としてかっこいいのですが、できるだけ治療成績を高めるために、敢えて私は名よりも実を取る方針を貫くつもりです。
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