先日、当直していると7歳児が転倒して後頭部を打ったとのことで救急受診しました。
後頭部に約3cmの裂創があったのでナイロンで縫合しました。
通常、私はスキンステープラーで頭部外傷の縫合を施行します。しかし、この時にはスキンステープラーだと両親に文句を言われそうだったので、わざわざナイロンで縫合しました。
縫合後に患児の創部を観察しましたが、やはりナイロンは毛髪と似ているため抜糸の際に見難そうでした。う~ん、明らかにスキンステープラーの方が視認性が良くて優れていそうです・・・
後日、アルバイト先の脳神経外科部長の先生に、頭部外傷の際にスキンステープラーとナイロンでの縫合ではどちらを推奨されますか? という低レベルな質問を恥を忍んで行いました(笑)。
その部長の先生は、① 頭部外傷はどんな方法でも問題なく治癒する ② したがって手っ取り早いスキンステープラーの方が良い とおっしゃられました。
子供の場合には親の目があるからナイロンの方が良いのでは? と質問したところ、子供こそ暴れるので素早く施行できるスキンステープラーが望ましいとのことでした。
ちなみにスキンステープラーをしていても、頭部CTを施行する際にアーチファクトにならないそうです。頭部CTのアーチファクトにならないのなら、全例スキンステープラーで良さそうです。
以上のことから、頭部外傷の縫合処置は全例スキンステープラーで縫合することにしました。素早く縫合できて安価かつ抜鉤も容易なので、スキンステープラーに勝るものは無いですね。
★★ 『 整形外科の歩き方 』でお宝アルバイト獲得のための基本講座を公開中です! ★★
スキンステープラー
先日、上腕骨近位端骨折の手術がありました。
今回は前立ちで手術に参加したのですが、シーツ掛けで興味深い手法を目撃しました。
執刀医の医師は同じ大学の同門なのですが、医局人事でローテーションしてきた病院が全く異なるため、私とは異なるカルチャーで育っています(笑)。
私のしる限りでは、シーツを留める方法は、下記のいずれかです。
① シーツ鉗子を使う
② シーツ用のテープを使う
③ 絹糸等で患者さんに縫い付ける
しかし、この医師はスキンステープラーでシーツを留めていました。シーツ越しに患者さんの皮膚にステープラーを打つのではなく、シーツ同士をステープラーで留めていました。
一箇所に付き、2~3のステープラーで留めるだけですが、迅速・手軽・しっかりとシーツ同士を固定することができていました。
そして、①のように大きな異物がイメージに映ってしまうことはなく、②よりは安価で、③のように患者さんの皮膚を傷めることもありません。
これはなかなか秀逸な手法だと思いました。病院の垣根を越えて異なるカルチャーに遭遇することは、お互い良い影響を与え合うため多様性の観点からも推奨されると思います。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。
AO法骨折治療
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
管理人によるケアネット連載コラム
管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
人気記事
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
お気に入りリンク集
記事検索
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。
利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。
当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。