先日、人工股関節再置換術(THA)がありました。
弛みのない30年モノのセメントレスステムの抜去が必要でした。
当時流行っていたフルポーラスのセメントレスステムなので、大腿骨スプリット法を併用せざるを得ず抜去に難渋しました。
最終的には骨量の回復を目的として Impaction bone grafting法(IBG法)併用セメントステムで手術が終了しましたが、セメントレスステムの再置換術の難しさを改めて感じました。
セメントステムであった場合には、当然のごとくセメントレスステムと比較して圧倒的に抜去は容易です。迅速かつ安全にステムを抜去することが可能です。
もちろん、残存しているセメントの摘出には難渋しますが、弛みの無い症例なら最初から cement in cement techniqueで対応することができます。
カップと異なり、ステムに関しては長期成績も良好です。たしかに現在では、セメントステムを第一選択にしている施設は少数派です。
しかし、特に再置換術が前提となる若年者においては、セメントステムを第一に考えることもアリではないかと思いました。
セメントステム
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先日、90歳台の患者さんの大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術がありました。人工骨頭置換術にはセメントレスステムとセメントステムがあります。
症例に応じてセメントレスステムとセメントステムを選択することが理想的ですが、セメントレスステム1本槍やセメントステム1本槍という施設が多い印象です。
私の所属している大学医局では、基本的にはセメントレスステムです。私自身はセメントもセメントレスも使用しますが、同僚を見ているとセメントレスに傾注している印象です。
セメントレスステム1本槍も悪くないですが、90歳台以上の超高齢者ではセメントステムも検討するべきではないでしょうか。例えば下記症例はイスムスの皮質骨が比較的しっかりしています。
右股関節が外旋位で撮影されているためイマイチな画像ですが、大腿骨骨幹部はしっかりしているように見えます。この画像だけであれば、セメントレスステムで充分と判断できるでしょう。
しかし、実際に大腿骨骨近位部を展開すると、非常に骨が脆弱でセメントレスステムでは到底対応できませんでした。慎重にラスピングしたのですが、カルカーに小骨折を併発しました。
セメントステムをバックアップで準備していたので事なきを得ましたが、セメントレスステムのみでは相当厳しかったと思います。
このように、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨がしっかりしていても、実際に手術の参考にはならないケースが、特に90歳オーバーの超高齢者では多いと思います。
このため、90歳台以上の超高齢者では、①基本的にセメントステム使用 ②少なくともセメントステムのバックアップは確保しておく ことが必要だと思います。
くれぐれも、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨が分厚いから、セメントレスステムでOK! という短絡的な発想は避けるべきだと思います。
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