整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

テニス肘

難治性(?)テニス肘の治療

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先日、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の患者さんが初診されました。
上腕骨外上顆炎の患者さんなど、まったく珍しくはありません。


しかし、この方は近隣の開業医で、すでに3か月で3回のステロイド注射を施行されていました。それにもかかわらず、症状が3カ月も続いているとのことです。。。


上腕骨外上顆炎では症状を慢性化させない配慮が必要です。この方は、テニス肘バンド装着、消炎鎮痛剤が無効とのことでした。う~ん、困った。


既に複数回のステロイド注射を施行しているため、これ以上は難しそうです。多数回のステロイド注射は、上腕骨外上顆炎を慢性化させて難治化する危険性があるからです。


短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis:ECRB)起始部の瘢痕組織を切除するNirschl法を選択せざるを得ないのか???


ひとしきり困ったなぁと考えこんでいると、ふと患者さんの治療に対する前向きな気持ちをイマイチ感じないことに気付きました。


もう一度確認すると、処方してもらったはずのテニス肘バンドは、ほとんど装着しないまま捨ててしまい、消炎鎮痛剤も服用していなかったようです。


もしかしたら、基本的なところが抜けているのかもしれない・・・さしあたって、下記の生活指導を行ってみました。

  • 強い握り動作を避ける
  • 重い物を持つときは前腕回外位にする
  • 前腕伸側のストレッチ


結局ダメかもしれませんが、治療に対するコンプライアンスが極度に不足している印象です。速効性のある治療に頼らずに、まずは地道な治療を進めていこうと思いました。





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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







テニス肘は軟式テニスでも発生する!

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先日、外来をしていると、中学生が右肘の外側部痛で初診しました。
診察すると、テニス肘(上腕骨外上顆炎)のようです。


しかし、ここで問題(?)が発生しました。この子は中学校の部活で「テニス」をしていますが、硬式テニスではなく、軟式テニス(ソフトテニス)なのです。


えっ、軟式テニスでも「テニス肘」って発症するの? ご存知の方が多いと思いますが、軟式テニスはテニスと似て非なるスポーツです。


バックハンドで打球する際に、テニスでは手関節の伸筋群にストレスが加わりテニス肘が発症します。しかし、軟式テニスでは手関節の屈筋群を使って打球します。


このため、私は軟式テニスではいわゆる「テニス肘」は発症しないと思っていました。しかし、目の前の患者さんは明らかに「テニス肘」です。文献を漁ったところ、下記の文献がヒットしました。

  • 【上肢のスポーツ障害 その診断と治療】 テニス肘の診断と治療 
  • Author:薄井 正道(東北海道病院) 
  • Source:Orthopaedics(0914-8124)16巻2号 Page35-41(2003.02) 
  • 論文種類:解説/特集


札幌医科大学の薄井先生の論文を拝読すると、どうやらテニス肘(上腕骨外上顆炎)はテニスだけではなく軟式テニスでも発症するようです。う~ん、まさに目からウロコです。


上記論文によると、薄井先生の疫学調査では30歳台で軟式テニスを開始した女性22名中15名(68.2%)でテニス肘の発生をみたそうです。


未だにテニス肘発症のメカニズムについては統一した見解が無いようですが、薄井先生はテニス肘の発症には把持動作における手関節伸筋群の収縮が関与すると推察しています。


いずれにせよ、テニス肘が硬式テニスのみならず軟式テニスでも発生することは、私にとってトリビアでした。しかし、よく考えると患者さんの大半はテニスをしない中高年の方ですね。。。




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オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






テニス肘ではなく関節リウマチだった!

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今日の午前はアルバイト先で外来をしていました。
先々週、20歳台の女性が3ヶ月前から続く右肘から前腕の痛みを訴えて初診されました。


最初は、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の印象を受けました。chair test、Thomsen test、middle finger extension testを施行すると全て陽性です。単純X線像も異常所見なしです。


少し若いですがそれほど疑問にも思わず上腕骨外上顆炎と診断して、テニス肘サポーターを装着してもらいました。しかし、テニス肘サポーターはあまり効果が無いようです。


橈側手根伸筋のあちらこちらを圧迫して至適位置を探りましたが、なかなか除痛を得られるポイントが見つかりませんでした。その時、ふと肘関節に伸展制限があることに気付きました。


肘関節の可動域は100-10-0です。しかもよく見ると関節の腫脹まで認めるではないですか!朝のこわばりや他の関節の腫脹・圧痛は無かったのですが、RAの精査を行うことにしました。


そして、今日はその結果を説明する日だったのですが、抗CCP抗体が強陽性でした・・・。
2010 ACR/EULAR RA新分類基準では5点ですが、関節リウマチである可能性が濃厚です。


ご本人に説明して関節リウマチの治療を開始する方向としました。それにしても、当初は関節リウマチの可能性を全く念頭に置いていませんでした。


下手にテニス肘サポーターを関節直上に装着していたら、痛みが緩和されて肘関節腫脹に気付かなかった可能性が高いです。普段診慣れた疾患にも落とし穴があることを痛感しました。




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