先日、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の患者さんが初診されました。
上腕骨外上顆炎の患者さんなど、まったく珍しくはありません。
しかし、この方は近隣の開業医で、すでに3か月で3回のステロイド注射を施行されていました。それにもかかわらず、症状が3カ月も続いているとのことです。。。
上腕骨外上顆炎では症状を慢性化させない配慮が必要です。この方は、テニス肘バンド装着、消炎鎮痛剤が無効とのことでした。う~ん、困った。
既に複数回のステロイド注射を施行しているため、これ以上は難しそうです。多数回のステロイド注射は、上腕骨外上顆炎を慢性化させて難治化する危険性があるからです。
短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis:ECRB)起始部の瘢痕組織を切除するNirschl法を選択せざるを得ないのか???
ひとしきり困ったなぁと考えこんでいると、ふと患者さんの治療に対する前向きな気持ちをイマイチ感じないことに気付きました。
もう一度確認すると、処方してもらったはずのテニス肘バンドは、ほとんど装着しないまま捨ててしまい、消炎鎮痛剤も服用していなかったようです。
もしかしたら、基本的なところが抜けているのかもしれない・・・さしあたって、下記の生活指導を行ってみました。
- 強い握り動作を避ける
- 重い物を持つときは前腕回外位にする
- 前腕伸側のストレッチ
結局ダメかもしれませんが、治療に対するコンプライアンスが極度に不足している印象です。速効性のある治療に頼らずに、まずは地道な治療を進めていこうと思いました。
広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。