先日、外来をしていると De Quervain 病の方を診察しました。
もちろん、De Quervain 病自体は珍しくも何ともありません。


しかし、今回の方は橈骨茎状突起部がかなり膨隆していました。ぎょっとする程度ではないのですが、「アレ?ちょっと腫れているな 」 程度には目を引きます。


しかし、De Quervain 病で滑膜炎症の強い患者さんでは、橈骨茎状突起部がびまん性に腫脹することは散見します。今回の患者さんもそのケースに該当するのかなと思っていました。


一応触診してみるとAPLとEPB上に何となく固い腫瘤を触知するような気がしました。 ???と思って丹念に触診すると僅かに可動性のある径10mm×5mm程度の腫瘤のようです。


「 これは、もしやガングリオンでは? 」 と思い、橈骨神経浅枝がイヤでしたが思い切って穿刺してみました。すると、少量のゼリー状の内容物を吸引できました・・・


結論的にはガングリオンによる物理的圧迫が原因のDe Quervain 病だったのです。よく考えると第一コンパートメントには腱鞘があるので、ガングリオンが発生しても不思議ではありません。


しかし、私の比較的長い医師生活で、ガングリオンがこの部位に発生した患者さんを診察するのは初めてです。ふと、本当に初めての経験なのか? という疑念が湧き上がってきました。


今までびまん性の滑膜炎だと思っていた患者さんの何割かは、実はガングリオンであったということは無いのか? という疑念です。


思い返すと、絶対にガングリオンでは無いと言い切れないDe Quervain 病の患者さんが何人か居るような気がしました。もしや、あの患者さんも実はガングリオンではないのだろうか・・・


次回からは橈骨茎状突起周囲が腫脹している場合には、一応ガングリオン併発の可能性も頭の片隅に留めておきたいと思います。



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